ミニストップが「フランチャイズ契約」から「パートナーシップ契約」に!
町中には数多くのフランチャイズチェーン店が軒を連ねていますが、店舗数の多さから「フランチャイズ=コンビニ」という印象の方も多いのではないでしょうか?しかし、昨今はコンビニフランチャイズの問題についても多く報道され、世間ではコンビニへのフランチャイズ加盟に対する不安が大きくなっています。
そんな情勢をふまえてミニストップが新たに打ち出した「パートナーシップ契約」。コンビニ変革期の今、パートナーシップ契約への注目が高まっています。今回は現在のコンビニのフランチャイズシステムと、新たに始まるミニストップの「パートナーシップ契約」についてご紹介いたします。
昨今のコンビニフランチャイズ
おそらくもっとも皆さんの記憶に新しいコンビニフランチャイズの問題は、24時間営業の問題ではないでしょうか。
ことの発端は2019年、東大阪に出店していたセブンイレブンの加盟店オーナーが、本来24時間営業が規則となっているにも関わらず人手不足により営業時間を短縮したことから始まりました。これに対して、セブンイレブン側が契約違反に該当するとして契約の解除と違約金1,700万円の支払いを求めたという内容です。本部に救援を要請したものの人員の増加などは行われなかったため、やむを得ず短縮営業をしたことや、オーナーの妻が亡くなって人員不足が深刻になったことなどから世間から大きな注目を浴びました。
オーナー側に同情の声が多く上がるものの、もともと契約により24時間営業が定められていたため、情と契約は分けて考えるべきという意見もありました。
コンビニに対するイメージの変化
これまでコンビニは24時間営業で非常に便利な存在とされていました。必要なものが時間に関係なく調達できることで、人々の生活に大きな恩恵をもたらしています。しかし一方で、次第にオーナー側の負担が大きくなっているという一面もありました。
そのため、「便利であることは嬉しいが、オーナーや従業員の負担を増やしてまで24時間営業を続けるべきではない」「時代に合わせて契約内容を変えるべきだ」といった意見が多くなっています。
SNSやインターネットで簡単に多くの情報が仕入れられる現代では問題点も多く目につきやすく、オーナーへの負担がより身近になったことも問題が注目された要因のひとつでしょう。とはいえ、コンビニの24時間営業問題の背景には、日本全体の社会課題でもある人材不足などさまざまなに問題が絡んでいるため、コンビニに限った問題とはいえません。
コンビニのフランチャイズ契約とは
これまでのフランチャイズ契約
コンビニを含め、フランチャイズ契約は高い知名度やブランド力のあるフランチャイズ本部に、加盟金や毎月売り上げの一部(ロイヤリティ)を支払うことで、提供する商品やサービスの仕入れ、運営ノウハウを借りることです。
コンビニのフランチャイズでは複数の契約プランが用意されていることが多く、選んだプランによって加盟金やロイヤリティが異なります。一般的には300万円から500万円程度が開業に必要な資金の相場とされています。
ロイヤリティの相場は35~45%が相場とされており、たとえ赤字経営であったとしても控除されることはありません。
コンビニフランチャイズの問題点
よくコンビニのロイヤリティは高いといわれますが、これは加盟時に物件取得費や店舗工事費などを本部が事前に立替えているからです。本来コンビニを1件建てるには飲食店同様1000万円以上必要ですが、これらを本部が用意し、その分ロイヤリティという形で利益から差し引かれています。
その他にも、個人ではなし得ない頻度と精度による商品開発などロイヤリティの用途は多岐にわたっています。
そういったコンビニフランチャイズは本部からのサポートもあるものの、内容が充実しているかという認識は、実際に現場で働いているオーナーや従業員との間に差があるといえます。
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コンビニ業界のフランチャイズを変えるミニストップ
コンビニ大手ミニストップ
ミニストップはイオングループの連結会社であるミニストップ株式会社が運営するコンビニです。特徴として店内加工のファーストフード販売を行っており、コンビニ店舗内にはイートインコーナーが設けられています。創業から40年の歴史があり、コンビニフランチャイズの中でも低価格のロイヤリティ、総収入保証など、手厚いサポートがあることで有名です。
ミニストップ発の「パートナーシップ契約」とは
現在のコンビニフランチャイズはこれまでご紹介したように、いくつかの問題を抱えています。これらの事態を深刻に受け止めたミニストップは、これまでのフランチャイズ契約を根本から見直し、2021年9月から新たに「パートナーシップ契約」を運用することを発表しました。
現行のフランチャイズ契約では、加盟店はロイヤリティが除かれた収益から人件費や廃棄といった店舗営業に必要な経費を捻出していました。そのため、実質加盟店の経費はすべて店舗を運営するフランチャイズ加盟オーナーの負担となっています。
そこで、ミニストップが提案する新たなパートナーシップ契約では、収益から人件費や廃棄費といった経費を引いた事業利益の中から、加盟店利益と本部利益を出すことになりました。
これまで加盟店の売り上げが多くなるとロイヤリティの金額も増加しており、せっかく売り上げが増えても加盟店にはあまり利益になっていませんでした。しかし、パートナーシップ契約ではこれまでのフランチャイズ契約に比べて、売り上げが増えると店舗の純利益も増加するとされています。
純利益の増加も見込めるパートナーシップ制度
ミニストップの資料によると現行のフランチャイズ契約で売上が40万円から50万円に増ふえても加盟店純利益はほとんど変動が見られません。しかし、新たなパートナーシップ契約になると40万円から50万円の売り上げになることで加盟店純利益が15%の増加をするとされています。
パートナーシップ契約では店舗運営に必要な経費は実質全て本部の負担になります。また、人材不足が大きな問題とされる中、従業員が長く働きやすい環境をつくるために法定福利費も事業経費化することが発表されています。
コンビニ業界のこれから
コンビニフランチャイズの問題点が多く指摘される中、業界大手のミニストップがフランチャイズも時代や環境に合わせて変化すべきと発表したことで、他社のコンビニでも次第にフランチャイズの見直しが始まることが期待されています。
各メーカーが切磋琢磨することでフランチャイズの形もどんどん変わっていくでしょう。それぞれのコンビニメーカーがフランチャイズでどのような変化を見せるのか、今後も目が離せません。
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