焼肉ライクは3日あれば十分! 異業種参入の上場企業がフランチャイズ加盟で掴んだ手応え

株式会社バッファロー取締役 町田 明 |2021年01月31日 公開 (2022年07月06日 最終更新)
株式会社バッファローの取締役,株式会社バッファローフードサービス代表務める町田 明氏

1983年の創業以来、カー用品を取り扱うオートバックスのフランチャイズ加盟企業(フランチャイジー)として事業を拡大し、2004年にはジャスダック上場を果たすなど、車業界一筋で歩んできた株式会社バッファロー。そんなバッファローが2019年に突如、焼肉ライクのフランチャイズに加盟し、異業種である飲食事業に参入。

今回は、株式会社バッファローの取締役及び、飲食事業部門を担う連結小会社である株式会社バッファローフードサービスの代表も務める町田 明氏に、事業多角化を決断した理由と、焼肉ライクに加盟して感じた手応えなどを伺いました。

「焼肉ライク」で異業種参入を果たした、オートバックス事業一筋の上場企業

1983年にカー用品店最大手の「オートバックス」へのフランチャイズ加盟を目的に、埼玉県川口市で創業した株式会社バッファロー。同年には1店舗目となるオートバックス川口店をオープンさせると、その後も「トータルカーライフサポート」を事業コンセプトに掲げ、順調に増店を重ね、現在フランチャイジーとして、東京に3店舗、埼玉に12店舗の(スーパーオートバックス含む)を手掛けています。 また、2004年にはジャスダック証券取引所(現JASDAQ)への上場を果たしており、まさにオートバックスグループのリーディングカンパニーとして成長を続ける企業です。

オートバックス事業
オートバックス事業
株式会社バッファローがフランチャイズに加盟し、メイン事業として手掛けているオートバックス事業

そんな35年以上に渡り、オートバックス事業一筋で成長を続けてきた同社が、2019年に株式会社バッファローフードサービスを設立。初めての飲食事業参入に選んだのは、外食フランチャイズのなかでも高い注目を集める、一人焼肉という新コンセプトを打ち出す「焼肉ライク」のフランチャイズでした。

この取材では、創業以来オートバックス事業一筋で成長してきた株式会社バッファローが、事業多角化を決断した理由、そして異業種である飲食フランチャイズ「焼肉ライク」への加盟で感じた手応えについて、掘り下げていきます。

今回、お話を伺ったのは…

焼肉ライクの町田 明

株式会社バッファロー取締役
町田 明

株式会社バッファローの取締役と焼肉ライクへの加盟にあたり設立された株式会社バッファローフードサービスの代表を兼任。現在は焼肉ライク事業の拡大に尽力している。

連日500人超でスタートダッシュに成功した「焼肉ライク」初出店

──焼肉ライクといえばオープン記念キャンペーン(※)で毎回行列ができると聞いていますが、2019年10月15日にオープンした1号店の「焼肉ライク目黒東口店」は、オープン時は特にすごい反響だったみたいですね! ※オープン日に290食限定で、通常1,290円の商品を290円で提供している(一部店舗では例外あり)。
焼肉ライクの町田 明

町田代表

そうなんです。当時、私もオープンの時にお店に入っていましたが、終日お客さんが途絶えなくて、1日があっという間でした。

というのも焼肉ライクの通常のオープニング記念キャンペーンは初日を含む2〜3日なんですが、出店立地的に行列を作れないってなって。人を分散させるためにキャンペーン価格を550円と少し高めにして、その代わりに日数を8日に増やしたんですが、キャンペーン中はお客さまが常に列を作っている状態でした。

行列を避けるはずが行列が途絶えない店外
バッファローフードサービスとして、1号店となる焼肉ライク目黒東口店のオープン時の様子。行列を避けるはずが行列が途絶えない店外
──それはすごいですね。どのくらいの集客だったんですか?
焼肉ライクの町田 明

町田代表

26席のお店なので10回転、つまり1日260人の集客でもかなり忙しいほうなのに、連日500人以上。1番多い日だと566人ものお客さまにご来店いただきました。

本部でも想定以上の集客だったようで、単価550円で日販30万円はすごいと、驚いていましたね。

──8日間というのは、なにか理由があったのでしょうか。
焼肉ライクの町田 明

町田代表

特に意味はなく、カレンダーを見ながら軽い気持ちで決めたんですが、最終日には『痩せたね」と言われるほどハードな8日間を過ごすことになりました(笑)

──想定の倍以上の集客ですからね、ただただすごいです(笑) その4ヶ月後には2号店の「焼肉ライク大宮西口店」をオープンさせていますね。順調振りがうかがえます。
焼肉ライクの町田 明

町田代表

そうなんです。じつは加盟当初から『30店舗はやりたい』って本部の方には伝えていて、ずっと物件を探していたんです。

1号店の目黒東口店は、キャンペーンの後も順調に集客ができ、文字通り“成功”と呼べるくらいの手応えがあったので、次はバッファローが本社を構える地元埼玉で、と考えていました。そんななか大宮駅の西口の物件に巡り合って、2020年2月19日に2号店として「焼肉ライク大宮西口店」をオープンしました。

焼肉ライク大宮西口店でも行列
続く2号店となる焼肉ライク大宮西口店でも行列を作り、お客様でごった返す店内
──この2号店のオープンの後まもなく、新型コロナウイルスの影響が大きくなりはじめ、現在進行形で外食事業者には大きな打撃になっていますよね。お店への影響はいかがでしたか?
焼肉ライクの町田 明

町田代表

影響はありますね。でも東京と埼玉という立地の違いもありますが、2号店なんかは売上が戻りつつあります。一人ひとりにヒアリングしたわけではありませんが、やはり焼肉というコンテンツは強いなと思います。そして焼肉ライクがもともと個食対応している点も、このコロナ禍では、はまっていると思いますね。

もちろん、もともと描いていた売上までは正直足りませんけど、こんなご時世なので、まだまだ見れる数字ですね。

──影響はあるということですが、直近でも2020年10月に3号店、11月には4号店をオープンされていますね。
焼肉ライクの町田 明

町田代表

そうですね。10月16日に3号店となる「焼肉ライク吉祥寺南口店」をオープンしました。そして4号店に関しては、2号店と同じ大宮駅の反対側、東口に「焼肉ライク大宮東口店」をオープンしました。良い物件があれば積極的に出店していこうと。

──コロナ禍で飲食店の閉店などのニュースも目にすることが多くなっている中、順調に出店を重ねていますね。

加盟のきっかけは、企業の成長を考えた事業多角化

──続いて皆さんが気になっている『異業種への挑戦』について話をお伺いします。バッファローさんは創業から35年以上、オートバックスのフランチャイジーとして事業を拡大してきましたが、事業多角化を検討された背景を教えてください。
焼肉ライクの町田 明

町田代表

大きなきっかけは2つあります。まず1つは、オートバックスは現在、全国に500店舗以上あります。当社はエリアドミナントで東京や埼玉を中心に、新規オープンやM&Aで店舗数を15店舗まで拡大してきましたが、近隣となると今すぐには新たな出店が難しい状況にありました。

そしてもう1つが、車業界自体が昔に比べると衰退していると言わざるを得ない状況です。「若者の車離れ」という言葉が用いられるようになって久しく経ちますが、いまは車の免許すら取らない方も珍しくありません。

町田代表
──仮に車の免許を取っても、若い人を中心に車を所有する人は減っていますよね。
焼肉ライクの町田 明

町田代表

そうなんです。しかも、昔は、車が他の人と違うことが「かっこいい」など、1つのステータスになっていたので、カー用品にお金をつぎ込んでカスタマイズを楽しんでいる方がたくさんいましたが、今は車を買ったとしても、ホイールやタイヤを変えて見た目を格好良くしようとか、そういう考えをする方も減りました。

そして、最近の車はカスタマイズしない純正の状態で、機能や装備が十分すぎますよね。すごく身近な例ですが、昔でいえばドリンクホルダーなどを買いに、こぞってオートバックスに行ったもんですが、いまやドリンクホルダーが装備されていない車なんてありませんからね。こうした部分でも昔と比べると変化がありますね。

──たしかに言われてみればそうですね。
焼肉ライクの町田 明

町田代表

とはいえ、カー用品の需要がいきなりなくなることはありません。また、当社はオートバックス加盟店のなかでも少し特徴があり、逆風のなかでも、板金やコーティング、自動車保険の提案など、営業やサービスに注力して、お客様とのつながりを大切にすることで業績をここまで伸ばしてきました。

しかし今後の継続的な企業成長という点では、やはり限界があるということで、15年くらい前から少しずつ事業の多角化を検討していました。

──事業多角化を検討する中、なぜ完全に異業種の飲食事業に舵を切ったのでしょうか。
焼肉ライクの町田 明

町田代表

もともと、当社の代表を務める坂本が飲食事業に関心を持っていました。最終的に縁がなくて加盟という決断には至りませんでしたが、焼肉ライク加盟以前も大手の飲食フランチャイズに加盟をして事業多角化という構想もありました。

──そうだったんですね。そんななかで、焼肉ライクにフランチャイズ加盟を決めたきっかけはなんだったのでしょうか。
焼肉ライクの町田 明

町田代表

先程のバッファロー代表の坂本が、直営1号店のオープン間もない頃にメディアで「焼肉ライク」のことを知ったみたいで、役員会で話題にあがっていたので、代表と私を含めた役員4人で「焼肉ライク新橋本店」に食事をしにいったんです。

──初期の頃から焼肉ライクに注目されていたんですね。当初一人焼肉と聞いて、どのような印象をお持ちでしたか?
焼肉ライクの町田 明

町田代表

私個人の意見でいうと『焼肉はお酒を飲みながら皆でわいわい食べるもの』だという認識が強いので、なにか寂しいなって思ってました。正直、個食のニーズが本当にあるのか半信半疑でしたね。

一人ひとりに専用の無縁ロースターが完備されている
一人ひとりに専用の無縁ロースターが完備されている、一人焼肉ニーズに完全対応している焼肉ライク
──実際に店舗視察を経て、焼肉ライクへの印象に変化はありましたか?
焼肉ライクの町田 明

町田代表

いい意味で一人焼肉にカルチャーショックを受けましたね。

4人でお店に行ったんですが、席の関係で私と他3人が背中合わせになる席になったんです。まさに一人焼肉を体験することになったんですが、隣を見ると年配の男性の方が、そして反対側には女性の方が本当に1人で焼肉を食べにきていたのを見て、面白いなと思いました。

これだけでも驚いたのに、お肉もご飯もおいしくて、そのコスパに感銘を受けたのを覚えています。一度足を運んでいただいたら、多くの方に共感いただけると思います。

焼肉ライク新橋本店の店内
焼肉ライク新橋本店の店内。一人ひとりの区画が決められている
──実際に食事をして感銘を受けたとのことですが、視察の後すぐに「焼肉ライク」のフランチャイズに加盟する流れになったのでしょうか。
焼肉ライクの町田 明

町田代表

いえ、その時はまだ『こういうフランチャイズがあるんだな、加盟はどうなんだろう』程度で話は終わりました。でも、その後いろいろと調べていくうちに加盟にどんどん傾いていきましたね。

というのも、『1人焼肉」をコンセプトにした焼肉店が他にはありませんでした。お店の雰囲気もお洒落だし、綺麗で話題性もある。そしてなにより、オペレーションがとてもシンプルだったんです。

そうこうしているうちに、役員全員が面白そうだとなっていて、結果的に焼肉ライクの開発担当の方に事業説明で来社いただいたときには、『どうやったら焼肉ライクのフランチャイズに加盟できますか?』というぐらい前のめりになっていましたね(笑)

人手不足・採用への不安が、180名を超える応募で杞憂に

──そうして2019年8月に「焼肉ライク」のフランチャイズ契約を締結されましたが、店長やスタッフの採用はどのようにされたのでしょうか。
焼肉ライクの町田 明

町田代表

1店舗目の店長だけはオートバックスから転籍してもらいましたが、それ以外のスタッフは新たに採用しました。正直、焼肉ライク加盟にあたっては、店舗や運営のオペレーションよりも何よりも、採用にもっとも不安を抱えていました。

──他の飲食店も同様で、担当者からは人手不足など採用に関する悲鳴をよくお聞きします。
焼肉ライクの町田 明

町田代表

私もその状況をとても不安視していたんですが、加盟後の最初のミーティングのときに『募集をかければ間違いなく大丈夫です』って本部の方にいっていただいて、実際に求人を出したら想像を超える180名もの方から応募がありました。

3号店の「焼肉ライク吉祥寺南口店」の募集では、それをはるかに超える400名の方からご応募いただいて、不安に思っていた採用を難なくクリアできました。

町田代表
──400名はすごいですね。先ほど、オペレーションの話も出ましたが、はじめての飲食事業ということで戸惑いなどはありませんでしたか。
焼肉ライクの町田 明

町田代表

まず、1号店の開業にあたって、本部で2週間ほど店長が研修を受けました。研修の評価では、50台後半という年齢もあって体力面でやや問題ありという声もありましたが、衛生に関する研修も含めて2週間で、お店を回すのには十分な知識を習得できたと報告を受けています。

その後店長に続いて、アルバイトスタッフの4名が「焼肉ライク」の直営店でOJT研修を受けさせていただきました。

──調理に関してはいかがですか。
焼肉ライクの町田 明

町田代表

調理に関しては、お肉はすでにカット済みで納品されているので、本当に盛り付けるだけ。最初に本部の方も言われていましたが、いい意味で技術は必要ないんです。私が言うのもなんですが調理と言っていいのかも怪しいぐらいです(笑)

焼肉ライクの開業前研修の様子
焼肉ライクの開業前研修の様子。効率化されたオペレーションを学ぶ
──店長やオーナーがオープン前に研修を受けることは他のチェーンでも一般的ですが、アルバイトスタッフも同様にオープン前に研修を受けられるんですね。
焼肉ライクの町田 明

町田代表

一応オプションということですが、「焼肉ライク」ではそうでしたね。直営の店舗に普通にシフトに入って、キッチン業務を中心に2週間ほど研修を受けさせていただきました。

総じて言えるのは、「焼肉ライク」は本当にオペレーションがシンプルなので、集中すればお肉の盛り付けなども含めて3日もあれば、誰でもマニュアルを見ずにすべてを習得できるくらい簡単ということ。というのも、まったく飲食経験のなかった私が、いまや肉場も含めてすべてのオペレーションを完璧にできていますからね(笑)

調理の必要がなく飲食経験不要だという焼肉ライクの盛り付け
調理の必要がなく飲食経験不要だという焼肉ライクの盛り付け
──説得力がありますね(笑)。それだけオペレーションがシンプルで、なおかつオープン前に研修を5人も受けたとなれば、安心してオープンを迎えられますね。
焼肉ライクの町田 明

町田代表

そのはずだったんですが、実際には、最初にお話したオープン記念キャンペーンが想定以上の反響だったので、本部の方のサポートに助けていただいた部分が多いです。

──町田代表もオープン当初現場に入っていたと聞きましたが、今でも現場に入ったりするのでしょうか?
焼肉ライクの町田 明

町田代表

実は昨日も2号店の「焼肉ライク大宮西口店」に入っていましたよ。

──そうなんですね(笑)
焼肉ライクの町田 明

町田代表

とくに人が足りないという理由ではなく、オートバックス時代から現場主義なんです。現場が見えなくなるのが怖いんですよね。

──現場に入って感じる部分はありますか。
焼肉ライクの町田 明

町田代表

オートバックスと焼肉ライクは確かに業種が異なりますが、実際にやってみると接客業という観点では、オートバックス事業で大切にしているものと通じるものがあると感じています。

特に焼肉ライクは調理技術が不要なので、アルバイトの面接時も技術や、飲食の経験云々ではなく、お客さまへ適切な対応ができるかどうかにポイントを置いて採用の合否を決めていますね。

現在も現場を大切にしているという町田氏(左)。バッファローの執行役員総務部長であり、バッファローフードサービスの役員も務める加藤
現在も現場を大切にしているという町田氏(左)。バッファローの執行役員総務部長であり、バッファローフードサービスの役員も務める加藤氏とのツーショット

30店舗を目指して! 進化を続ける焼肉ライクにも期待

──コロナ禍にも関わらず、1号店のオープンから約1年で4店舗をオープンさせていますが、今後の構想についてお聞きできますか。
焼肉ライクの町田 明

町田代表

あくまでも構想ですが、この焼肉ライク事業を開始するにあたってバッファローフードサービスを設立しているように、どうせやるなら30店舗はやりたいと考えがありました。そして、その気持ちは変わってないですね。

もちろん物件ありきにはなりますし、見つけた物件の本部審査もなかなかOKがでなかったりと難しい面はありますが、担当の方に物件を紹介いただいたり、良好な関係が構築できていると思います。

──今後、焼肉ライクに期待することを教えてください。
焼肉ライクの町田 明

町田代表

焼肉ライクは、現状でもオペレーションがとても簡略化されているので、マニュアルを見なくても本当に真剣にやれば3日もあれば、必要なことは覚えられると思います。

その上、2020年10月にオープンした「焼肉ライク吉祥寺南口店」では、フードコートのようにお客さまご自身でオーダーした料理をテーブルに運ぶセルフキャリー式も導入しました。また、他の店舗では、レジや水などもセルフ式になっていたり、一貫した効率化で人件費を削減するとともに売上を伸ばしていく仕組みを、本部が主導して次々に導入していっていますので、店舗運営に関しては特にありません。

セルフキャリーを導入している焼肉ライク吉祥寺店
さらなる省人化へ、セルフキャリーを導入している焼肉ライク吉祥寺店
──では、店舗運営以外に関してはいかがでしょうか?
焼肉ライクの町田 明

町田代表

焼肉ライクの認知度アップを図っていただくことですね。今でも十分にメディアに露出していますが、万人が知るお店になっていけばいいなと思います。そんな本部にしかできない取り組みに期待したいですね。

我々は出店した店舗に集中して、目標の30店舗を目指します。

——コロナ禍でも焼肉業態は好調というニュースを拝見しますが、町田代表に話を伺うなかで、本来の100パーセントのパフォーマンスではないかもしれませんが、その好調振りがうかがえたように思います。ありがとうございました。

株式会社バッファローの取締役,株式会社バッファローフードサービス代表務める町田 明氏

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