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2015-08-25 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
ATカンパニー株式会社 代表取締役
浅野 忍土 |
如何にして、成長性の高いフランチャイズビジネスを見つけるか?
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このコラムのポイント
成長市場のビジネスに参入しようというのは頭にあるけど、どのような視点から見れば成長しているマーケットかどうかわかるのか。そのコツが解説されたコラムです。
フランチャイズWEBリポート編集部
はじめに
成長性の高いフランチャイズビジネスを見極めるポイントに関して、解説したいと思います。
成長性はいくつかの要因により、大きく変化するものであります。
1.事業が属しているマーケット
2.ビジネスモデル
3.経営者の資質
1.事業が属しているマーケット
当然、事業が属しているマーケットが成長している場合、事業は比較的成功し易いと言えます。
一時期の介護事業しかり、もっと以前であれば、外食事業も成長マーケットに属していました。市場は成長へと向かい成熟し、衰退していきます。如何に、成長マーケットに属する事業を見つけ出すかは重要な視点と言えます。
成長マーケットを見極める上で、重要な視点は複数あるのですが、ここでは4つ紹介します。
1)人口動態
2)社会的課題
3)法改正
4)流通構造の変化
の4点は十分に意識すべき点です。
1)人口動態
まず人口動態。やはり人口の変化は大きな要素であります。
現在の日本の状況を見れば、少子高齢化であり、高齢者人口が爆発的に増えています。よって、高齢者を対象としたマーケットは大きく伸びているのです。だからこそ、介護マーケットは注目を浴びたと言えます。人口動態の変化は確実に予測出来る未来を示しているのです。人口動態を見れば、どの人口ボリュームが増えたり、減ったりするかを確実につかむ事が出来るのです。
2)社会的課題
次に対象人口が増えている事と同時に重要な視点が、社会的課題であります。
明確な課題、皆が共通して解決したいと考える課題があり、それが解決出来る場合、対象人口の増加が無くとも、事業として、成長する可能性があります。
以前に弊社(ATカンパニー株式会社)が支援した幼児教室は3年で300店舗を超える事業展開を実現しました。対象は0~3歳の乳幼児です。一見すれば、少子化の為、対象人口は年々減少しているとも見れます。
しかし、核家族化、ネットによる情報の氾濫により、子を持つ親は正しい育児を勉強する機会がないこと、さらには少子化故に、一人のお子様に掛ける養育費の向上等が合わさり、幼児マーケットは成長マーケットとなりました。正しい育児を学びたくても誰も教えてくれない。そんな課題の解決策として登場した幼児教室は急激に成長を実現したのです。
最近では、弊社の支援する放課後等デイサービスも、成長マーケットに属していると言えます。障害を持ったお子様を対象とした事業でありますが、実にこの15年で、発達障害を中心とした軽度の障害を持ったお子様は3倍以上に増えています。同時に、障害を持ったお子様が放課後過ごす場所が無いという課題も浮き彫りになり、その解決策さくとして、放課後等デイサービスが誕生し、昨年だけでも1500店舗もの施設が出店しました。正に、対象人口の増加と課題の解決が合わさった事業体であります。
3)法改正
次に、着目すべきは法律の改正です。分かりやすいところで言えば、介護業界は法律の改正により民間解放され、一気に市場は成長しました。先に記載した放課後等デイサービスも、平成24年の法律改正により生まれた事業です。常に法律の改正により、新たな事業分野が誕生する事も着目すべき点であります。
4)流通構造の変化
最後に、流通構造の変化もまた注目すべき視点です。代表的なところで言えば、インターネットは最たる例です。
インターネットの誕生と共に、様々な分野における流通構造は変革が起こり、新しい成長事業がいくつも誕生しています。フランチャイズ関連で言えば、来店型保険ショップは保険の流通構造の変化から生まれた事業と言えます。それまで訪問営業が主であった保険販売が、店舗型になり、来店頂く事で、保険を販売するという販売方法の変化が新しい事業を生み出したと言えます。
2.ビジネスモデル
次に、見極めるべきはビジネスモデルであります。
成長マーケットに属した上で、優れたビジネスモデルを持ち込めば、成功確率は高まります。
また成熟、衰退マーケットに属する事業であっても、ビジネスモデルが優秀である事で、成長事業へと変貌する可能性も大いにあると言えます。
その点で、ビジネスモデルに着目すべきでしょう。例えば、外食産業は成熟から衰退へと向かっている市場です。その中で、「俺のイタリアン」などでおなじみな俺のシリーズ等、ビジネスモデルを大きく変革する事で、急成長を遂げている企業は数多く存在します。
市場の変化に応じて、さらには市場の減少に負けないビジネスモデルを如何に構築できてるのかを確認することをお勧めします。
ビジネスモデルとは、「ビジネスを成り立たせ、収益を上げる仕組み」と言い換える事が出来ます。しっかりと事業として成り立ち、収益を上げる差別化された仕組みが整ってこそ、ビジネスモデルと呼べるのです。
3.経営者の資質
最後に重要な事柄は誰が経営しているのかであります。結局、成長マーケットに属し、優秀なビジネスモデルを構築できても、成長を継続するには経営者のセンス、努力次第であります。
故に、フランチャイズビジネスであれば、どんな経営者が本部の代表を務めているのか、しっかりと見極める事を強くお勧めします。終始一貫、お伝えしていますが、フランチャイズビジネスは経営のアウトソーシングであります。アウトソーシング先としての企業が優秀かどうかは経営者によって、判断されます。