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2016-09-15 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社エムズ 代表取締役
的羽 一郎 |
飲食店開業には必須!売れる店舗立地・物件を見つける方法とフランチャイズの活用
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このコラムのポイント
いつかは自分のお店を出したい…。ある日、心に思い描いた通りの物件を見つけて、いよいよ開業!したものの、客の入りが想定以上に少なく、無念の廃業。これではもったいない。 フランチャイズの飲食業界においても「繁盛店に成るか否かは、その立地も含め、オープン前戦略で勝負の7割が決まる」と言われているくらい重要です。 今回のコラムでは、出店場所をどう考え選定していくかについて、その実際の方法に至るまで、詳しく教えてくれます。
フランチャイズWEBリポート編集部
出店場所は、どういう基準で選べばよいのか?
飲食業で独立する場合、出店場所の選定は非常に大きな要素になります。 独立を希望する人は、どういう基準で出店場所を選んでいるのでしょうか。
・自分の自宅に近いから
・小さな店舗で営業できそうだから
・家賃が安いから、周辺に同じような店がないから
ほかにも理由はたくさんあります。
一番大事なことは、その場所でいくら売れるのかということです。そして、最終的にいくら利益が出るのかということです。
とりわけ、飲食業など設備投資に多額の費用が掛かる業種での起業は、途中で場所を変更することは俄かにはできないため、出店場所の選択には極めて慎重になる必要があります。
今回は、事業の明暗を決めるとも言える「出店場所の選び方と立地調査」について考えてみましょう。
出店に適した「いい立地」とは?
業種・業態によって「いい立地」の定義は変わります。
一般に、人通りが多く目立つ場所は「いい立地」になることが多いですが、例えば… 店に入るのをあまり人に知られたくない場合などは、人通りの少ないひっそりとした場所を選びます。美容整形やサラ金などは、表に看板はあるものの、入口は わざと目立たない場所に作ったりしています。飲食店の場合でも「隠れ家」として、わざと目立たない店を作っていることもあります。
自分が始めようとしている店は、どういう利用動機で、どういう客層をターゲットにしているのかを見極めておくこと。これが「いい立地」を選出する、一番の基準になります。
立地調査では、なにを調査するのか?
出店場所を検討したいと思った時は、まず、不動産屋を訪問するでしょう。
希望するエリア、坪数、おおよその希望賃料等を告げると、いくつかの物件を紹介してくれます。
例えば、候補物件を3件紹介されたとします。これを仮に、A物件・B物件・C物件とします。
紹介してもらった物件を見たところ、どれがいいのか、この時点ではまだよくわかりません。 一般的な飲食店の場合、まず(1)周辺の人口(2)交通量(3)競合店を調べてみるとよくわかります。
(1)人口調査の仕方
・都市地図を広げ、A物件を中心に、半径1キロ圏・半径2キロ圏の円を描く。
・各町名ごとに人口が何人いるかを調べる。
(市役所に行き「町丁別人口統計」をくださいと言うと、ほとんどの市で無料で入手できます。)
この資料には、○○市△△町1丁目は…○○人という様に、細かい行政単位で人数が出ています。この人数を基に、半径1キロ圏内の人数を合計します。1丁目が、半径1キロ圏と半径2キロ圏の両方にまたがっている時には、その面積の割合でおおよその人数を振り分けます。
このようにして、半径1キロ圏内の人口、半径1キロを超えて半径2キロ圏内の人口を調べます。
同様にして、B物件、C物件でも人口を調べます。
一見すると住宅地のように思えていても、公園や池があったり、工場があったりすることで、人口は大きく変わってきますので、その辺りもチェックしておきます。半径1キロ圏内の人口は「足元商圏」とも呼ばれ、特に正確に人口分布を把握しておくことが重要なエリアになります。
(2)交通量の調べ方
・実際に、物件の前を何人の人が通っているかを1時間ごとにカウンターを使って計ります。
営業予定時間が、朝11時から夜10時までなら、その時間帯を図ります。1時間ごとに計り記録することで、一日のうちどの時間帯が多いかがわかります。連続して計るのは大変ですので、30分計っては30分休むというのが無理のない計り方です。その場合、各時間帯の数字は倍にしておきます。できれば、平日と日曜は計りたいものです。
これをA・B・Cの各物件で行います。大変な作業ですが、実際にやってみるといろいろなことが分かります。
主婦が多いのか、学生が多いのか、サラリーマンが多いのか、年齢層はどうなのか。
実際に作業をすることで、立地の良しあしが確実にわかるようになってきます。 30分の休憩時間に、周囲を歩き回ったり、競合店で食事したりすることで、その地域のことがより詳しくわかるようになります。
(3)競合店を調べる
・先ほど円を描いた地図に、今度は、飲食店がどこにあるのか書き込んでいきます。
人口・交通量・競合店を調べると、その地区の全体像がかなり明確になってきます。この3つのデータを見比べることで、各店舗の出店戦略が想像できます。
立地調査で収集したデータから「繁盛している店」を分析する
繁盛店に成りやすい「立地を知る」
収集したデータを照らし合わせながら、改めて競合店を見てみると、繁盛店とデータの相関関係が見えてきます。足元商圏の人数が多く、交通量も多いところは、繁盛店も多くなっています。また、そのように一見いい立地に感じるエリアの中にも、前面の道路が駅やショッピングセンターなどへの通り道になって、繁盛店になりにくいゾーンなどを見つけることができます。
繁盛店の「売上を予測する」
繁盛店かどうかがわかっても、実際に「いくらの商品」が「どのくらい売れるのか」がわからなければ『立地調査』になりません。
大手チェーン店は、実際に調べた人口や交通量などの基礎資料を参考に、類似の自社店舗と比較します。それらの資料を基に、売り上げ予測をしています。しかし、初めて出店する場合、比べる店舗がありません。その場合は、競合店との比較をします。
例えば、ラーメン店で出店を考えているとします。
・立地条件が似ているラーメン店の実際の客数をカウントします。
(平日・土日の3日間は調べたいものです)
・次に、客単価を予想します。
月間売上=(平日客数×5日+土曜客数+日曜客数)×客単価×4.3週
上記の計算式で、カウントしたラーメン店の売上を大まかに予測することができます。
次に、自分の計画している店が、調査したラーメン店より優れているのか、劣っているのかを冷静に判断し、最終の予測をします。
但し、冷静に考えて自分の店がライバルより劣っていると思われた場合は、出店計画自体を見直した方が賢明です。
以上のように、立地調査やそのデータを基に分析してみた結果、売り上げ予測に自信が持てなかったり、自分の店舗レベルに自信が持てない場合は、自分が目指す業態に近いフランチャイズへの加盟を考えてみるのも有力な選択肢の一つです。
編集部より
人口減少や中食産業の成長によりで、店舗型事業の継続がますます厳しいくなっている飲食業界において、このコラムで取り上げられている立地調査や出店場所の選定は、個人だけでなく、フランチャイズを運営する本部にとっても大きな課題です。
フランチャイズは、言わば「ビジネスの成功モデル」をパッケージ化したものです。本部が持つ、業界で生き残るためのノウハウ、出店希望地を調査し、その現場の状況に合わせてお客様の動員見込みを調整していけるノウハウには、やはり舌を巻きます。
早期に起業・独立したい、業界の知識に自信がない場合など、フランチャイズの活用を検討してみてはいかがでしょうか。