個人でネットショップを開業する方法!基礎知識から必要な手続きまで徹底解説
さまざまなECサイトが利用できる近年では、個人でネットショップを開設して副収入を得ている方も増えてきています。実際にネットショップを開設する際には、いくつかのステップがあり、それらをしっかりと踏まえることでスムーズに開業することが可能です。今回の記事では、個人でネットショップを開設する方法について詳しく紹介します。
ネットショップ開業までの7ステップ
ネットショップを開業するまでには、以下の7つのステップがあります。
①事業計画を立てる
②取り扱う商品がネットショップで販売可能か確認する
③必要な許認可・届出を確認し取得する
④仕入れ方法を決める(仕入れor製造)
⑤出店方法を決める(モール型 or ASP型)
⑥ネットショップのシステムを構築する
⑦運用を開始する
それぞれの詳細について、順番に解説します。
STEP①:事業計画を立てる
ネットショップの開業に向けて、まずは事業計画を立てることから始めましょう。事業計画で決めておきたい項目の代表的な例は、以下の4つです。
●開業時期をいつ頃にするか
●目標とする売上はどのくらいか
●ショップのコンセプトはどういったものにするか
●どのような商品を取り扱うか
事業計画をしっかりと立てることで、スムーズなネットショップ開業につながります。
STEP②:取り扱う商品がネットショップで販売可能か確認する
ショップで取り扱う予定の商品が、実際に販売できるか確認する必要があります。というのも、法律や保有している資格によっては、ネットショップで販売できない商品があるためです。具体的には、中古品を扱う場合は古物商許可、食品を扱う場合は食品衛生法に則った営業許可が必要になるほか、酒類は通信販売酒類小売業免許が必要になります。また、ネットショップサービスによっても販売できない商品が定められている場合もあります。たとえば、メルカリShopsでは下記が定められています。
・法令に違反するもの、またはそのおそれがあるもの、あるいは法令への違反を助長するおそれのあるもの
・犯罪に使用されるおそれのある商品
・換金性の高い商品または換金を目的としたもの
・チケット類
・たばこ
・医薬品/医療機器関係/非科学的商材
・危険物や安全性に問題があるもの
・安全面/衛生面に問題のある食品類
・農薬/肥料
・受け渡しに伴う手続きが複雑であったり専門的な知識が必要な商品
・サービス・権利など実体のないもの
・手元にないもの
・健康食品/サプリメント/化粧品を除く美容用品
・自動車/自動二輪車および原動機付自転車
・メルカリShopsで不適切と判断されるもの
販売できない商品は、店舗を構えるネットショップサービスによって異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。
STEP③:必要な許認可・届出を確認し取得する
ネットショップで扱う商品を決定し、販売に必要な資格が分かったあとは、その資格の取得に向けて動き出す必要があります。資格の取得には数日~数ヶ月かかる場合もあるため、取得したい資格がどれくらいの期間で取得できるのかを、しっかりと把握しておくようにしましょう。
STEP④:仕入れ方法を決める(仕入れ or 製造)
資格の取得や届出の認可の目途が立ったあとは、商品の仕入れ方法を決定します。ネットショップは、商品の原価をどれだけ抑えて利益率を向上させられるかが重要です。そのため、仕入れ先にこだわる必要があります。また、自身で商品を製造する場合は、材料を仕入れる費用を抑える努力も必要になるでしょう。
ネットショップの仕入先として人気なのが、問屋や卸、メーカーとの取引を仲介してくれる「仕入れサイト」です。仕入れサイトを利用するほかにも、工場やメーカーと直接契約したり、海外から仕入れたりする方法もあります。
STEP⑤:出店方法を決める(モール型 or ASP型)
商品の仕入れ方法を決めたあとは、出店方法を決めましょう。ネットショップの種類は、大きく分けてモール型とASP型に分けられます。詳細については後述しますので、違いについてよく確認して、自分にあった出店方法を選びましょう。
STEP⑥:ネットショップのシステムを構築する
この段階では、ショップ名やサイトのURLを決定します。サイトのトップページのほかにも、商品ページや問い合わせページなどに関しても練る必要があります。基本的には、用意されたテンプレートやフォーマットを基にネットショップを完成させられるため、初めて出店する場合でも難易度はさほど高くないといえるでしょう。また、ショップデザインについてなど、サイトに関する判断に迷った場合は、最初に決定したショップコンセプトに沿っているかどうかで判断することがおすすめです。
STEP⑦:運用を開始する
ショップのシステムが完成したら、いよいよオープンです。オープンに合わせて、開業届は事業開始から1ヶ月以内に税務署に提出しましょう。開業届を提出するメリットとして、控除額の高い「青色申告特別控除」を利用できることが挙げられます。ただし、ネットショップの場合、開業届の提出は必須ではありません。
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ネットショップの種類【モール型/ASP型】
ネットショップの出店方法には、大きく分けて3つの種類があります。以下では、それぞれの特徴について詳しく解説します。
モール型
モール型とは、ひとつのプラットフォームのなかにテナントや商品が多数展開される方式のネットショップです。そのなかでも、ショップごとに出店料がかかるタイプは、テナント型と呼ばれます。ショッピングモールをイメージするとわかりやすいのではないでしょうか。テナント型のネットショップは、テナントごとにデザインを変えやすいというメリットがありますが、その分開業に手間がかかります。テナント型の代表的なネットショップとして、楽天やYahoo!ショッピングなどが挙げられます。テナント型に対して、さまざまな商品を1つの市場に並べるのがマーケットプレイス型です。代表的なマーケットプレイス型のネットショップとしては、AmazonやZOZOTOWNが挙げられます。
ASP(SaaS)型
ASP(SaaS)型とは、ECレンタルサービスを利用して、自分だけのショップを立ち上げる方式のネットショップです。独立したサイトを自社で運営する形になるため、カスタマイズ性が高く、コンセプトをより前面に押し出すこともできます。代表的なASP(SaaS)型のネットショップサービスとしては、BASEやShopifyが挙げられます。
オープンソース型
オープンソース型は、無料で公開されているインターネット上のシステムを活用して立ち上げる方式のネットショップです。オープンソース型でショップを立ち上げる際には、プログラミングやWebに関する知識はもちろんですが、集客に関してもモール型やASP(SaaS)型と比べると専門的な知識が必要となります。メリットとして、ソースが公開されていることから、カスタマイズや機能拡張を自由に行なえることが挙げられます。また、知識があれば初期費用やランニングコストを抑えられることも、メリットの1つです。
ネットショップ開業にかかる費用
ネットショップの開業を検討している方にとって、どのくらいの開業費用が必要なのかは、気になる要素の1つではないでしょうか。実は、ネットショップは、無料で出店することも可能です。とくに、ShopifyやBASEなどのASP(SaaS)型は、0円から数千円で出店可能なため、近年人気を集めています。
対してモール型は、数万円単位の初期費用がかかるケースがほとんどです。たとえば、楽天市場の場合だと、初期登録費用に60,000円が必要になります。そのほかに必要となる主な開業費用については、以下のようなものが挙げられます。
●システム費:サイト運営費用
●仕入れ費:商品の仕入れ費用
●機材費:機材(PCやカメラなど)にかかる費用
●広告宣伝費:集客にかかる費用
●配送費:商品の物流にかかる費用
●決済手数料:クレジットカードや代引などにかかる手数料
●諸経費:営業許可申請などにかかる費用
ネットショップを出店する方式によって必要な経費は異なる部分もあるため、出店方式を決定する際は、どれだけの費用が必要になるのかもあわせて確認しておきましょう。
ネットショップ運営に必要な手続き
以下では、ネットショップの運営に必要な資格や手続きについて紹介します。
開業届の提出
先述したように、開業届は必ずしも提出する必要はありませんが、個人でネットショップを開業する場合は、開業届を提出することで控除が受けられ、節税につながります。ただし、開業届を提出すると、失業手当を受け取れなくなるなどのデメリットもあります。開業届を提出した場合のメリットとデメリットについて、それぞれしっかりと調べておくようにしましょう。
必要資格の取得
ネットショップで商品を販売するために資格が必要な場合は、それらを取得することも準備として必要になります。商品の販売に関する主な資格や許可は以下のとおりです。
対象商品 | 許可・資格 |
---|---|
食品 | 食品衛生責任者 食品衛生法に基づく営業許可 |
酒類 | 通信販売酒類小売業免許 |
化粧品 | 化粧品製造業許可 化粧品製造販売業許可 |
医薬品 | 医薬品販売許可 特定販売許可届出 薬局開設許可 登録販売者の資格や薬剤師の資格 |
中古品 | 古物商許可 |
輸入品 | 食品等輸入届出書 |
管理医療機器(コンタクトレンズなど) | 管理医療機器販売業・貸与業届書 |
ネットショップサービスの契約
ネットショップの開店に、モール型やASP型のネットショップサービスを利用する場合は、事前にサービスを契約しておく必要があります。サービスの契約には、0~数万円の初期費用が必要になり、サービスの内容もそれぞれ異なるため、自分にあったサービスを選ぶことが重要です。
成功するためのネットショップ開業法【4選】
以下では、ネットショップで成功するための開業のコツを4つ紹介します。
コツ①:固定費を抑える
ネットショップは、売上が少ない場合でも固定費を抑えることができれば、事業を継続することができます。具体的には、在庫の保管を自宅や安価な倉庫を利用して行なう、賃料を可能な限り抑えるなどです。
コツ②:在庫は最小限に
ネットショップで成功するためには、抱える在庫を最小限にすることがポイントになります。在庫を抱えることは、リスクを抱えていることと同義です。季節や流行を考慮し、しっかりと在庫を管理しましょう。また、在庫を持たないドロップシッピング形式でネットショップを開業することも選択肢の1つといえます。
ドロップシッピング形式とは、自身では在庫を抱えずに営業する形式です。注文を受けたあとに、メーカーや商品を保有している企業から、注文先に直接送付してもらうため、在庫を抱えるリスクがありません。ただし、ドロップシッピング形式での営業を禁止しているネットショップサービスもあるため、事前に確認しておく必要があります。
コツ③:集客は無料の方法から始める
ネットショップの集客は、無料の方法から始めることで初期費用を抑えることが可能です。XやInstagramなどのSNSやブログは、ネットショップとの親和性が高い媒体です。これらを駆使して、できる限りコストを抑えながら商品の魅力を発信することが、ネットショップで成功するための重要なポイントといえるでしょう。
コツ④:濃いファンの獲得に注力する
取り扱う商品に関しても、ネットショップで成功するためにはしっかりと考えなければならないポイントです。儲かる商品を手当たり次第に扱うだけでは、先述したようなコンセプトを打ち出すことができず、客層も定まりません。ターゲットとなる顧客のペルソナを明確にして、その層に刺さる商品展開を行なうことが重要です。また、メルマガやSNSなどで顧客と接点を作り、リピートしてもらえるように努力を重ねましょう。
まとめ
ネットショップは、開業費用をかけずに事業を始められるのが大きな魅力です。開業の際には、どの方法でネットショップを開設するのか、取り扱う商品に合わせてしっかりと考える必要があります。開業までのステップについてもしっかりと把握し、コツを押さえてネットショップを開業しましょう。