花月嵐の会社が仕掛ける「麻辣日和」――マーラータンフランチャイズの勝算とは?

宮原 史知 |2026年06月03日 公開
芳香麻辣湯のフランチャイズに加盟されたオーナーの写真

SNSをきっかけに検索数が100倍に急増し、空前のブームを迎えている麻辣湯(マーラータン)。中国では30年以上にわたり愛され続けるこの食文化を、日本のフランチャイズとして展開するのが「麻辣日和」です。運営元はらあめん花月嵐で知られるグロービート・ジャパン株式会社。

グロービート・ジャパン株式会社 FC開発本部 本部長の宮下卓也氏に、ブランドの強みと今後のビジョンを伺いました。

マーラータン(麻辣湯)のビジネスとしての魅力

――まず、麻辣日和のフランチャイズ事業について教えてください。
芳香麻辣湯の宮原 史知

宮下本部長

弊社は、もともとらあめん花月嵐をフランチャイズで展開しています。このたび、マーラータンでフランチャイズ募集をしようと考えた理由は、ラーメンと比べてオペレーションが格段にシンプルだからです。お客様自身が好きな具材を選び、それを茹でてスープを注げば完成する。飲食店のなかでも画期的に調理工程が簡素化されています。

パートやアルバイトの方でも基本的な調理ができるので、店長クラスの人材確保が難しい時代でも運営しやすい。軸となる人は当然必要ですが、フランチャイズ向きの業態だと判断して展開を決めました。

――マーラータンは中国発祥ですが、日本での広がりはいつ頃からですか?
芳香麻辣湯の宮原 史知

宮下本部長

中国では30〜40年前からポピュラーな食べ物で、日本でブームになり始めたのは約5年前です。Googleトレンドですと2024年頃から検索数が100倍ほどに跳ね上がっています。SNSでバズったことで一気に加速しました。

――出店しやすさも広がった一因なのでしょうか。
芳香麻辣湯の宮原 史知

宮下本部長

そうですね。マーラータンは厨房区画が小さくて済むのが特徴です。麻辣日和の場合、出店に必要な坪数は10坪から25坪ほどで、一般的な飲食店の25〜30坪より小さい物件でも出店できます。競合が少ない小規模物件に出店できるのは、ブランドの成長を加速させる強みになっていると思います。

麻辣日和の強みは、4種のスープとスケールメリットを活かしたパック方式

――麻辣日和ならではの特徴を教えてください。
芳香麻辣湯の宮原 史知

宮下本部長

スープは薬膳・トムヤム・担々・サンラータンの4種類から選べます。辛さは5段階、麺も春雨・中華麺・こんにゃく麺・もちもち平春雨の4種類を用意しています。麻辣日和の特徴として、中華麺は春雨と同じく無料で提供しています。

――中華麺が無料というのは驚きです。らあめん花月嵐のスケールメリットが活きているのでしょうか。
芳香麻辣湯の宮原 史知

宮下本部長

スケールメリットが特に活きているのはスープです。通常、マーラータンはスープを店舗で自家仕込みしますが、うちはスープがパックになっています。そのため味のブレが少なく、仕込みの手間も省け、水道光熱費も抑えられる。これは大きな強みですね。

――他にらあめん花月嵐で培ったノウハウが活かされている部分はありますか?
芳香麻辣湯の宮原 史知

宮下本部長

スーパーバイジングの体制です。年に数回、スーパーバイザーが実際に店舗を訪問してチェックやアドバイスを行う仕組みを整えています。オンラインだけのサポートが多いなか、オンラインも取り入れつつ実際に店舗に足を運ぶ体制にしています。

――マーラータンの客層はラーメンとは異なりますか?
芳香麻辣湯の宮原 史知

宮下本部長

まったく違います。マーラータンは女性客が多く、10代から50代まで幅広い層に支持されています。男性も店舗によって3〜4割ほどを占めていて、他のマーラータン店に比べて男性客が多いのも特徴です。

麻辣日和の出店目標は年内20店舗――フランチャイズ・ショーで見えた高い関心度

――麻辣日和の現在の店舗数と今後の出店計画を教えてください。
芳香麻辣湯の宮原 史知

宮下本部長

事業をスタートしたのは2025年で、現在は3店舗です。ただ、次の出店が6店舗ほど決まっていて、フランチャイズ加盟も進んでいます。まだ実績としては少ないのですが、実際に食べていただいて「この味なら可能性を感じる」とおっしゃっていただき、加盟に結びついています。

――年内の目標はどのくらいですか?
芳香麻辣湯の宮原 史知

宮下本部長

年内に20店舗を目指しています。フランチャイズ・ショーの初日と2日目だけで問い合わせが約70件あり、そのうち確度が高そうなお話しが16件ほど。非常に関心度が高いと感じています。

――投資回収の目安はどのくらいでしょうか。
芳香麻辣湯の宮原 史知

宮下本部長

初期投資は2,000万〜3,500万円程度で、投資回収は2年以内を見込んでいます。人件費も水道光熱費も抑えられる構造なので、利益率は高めです。

麻辣日和の本部サポート

――加盟希望者の属性で特徴的なことはありますか?
芳香麻辣湯の宮原 史知

宮下本部長

飲食未経験の方が多いのは驚きました。オペレーションが簡単なので、飲食経験がなくてもチャレンジしやすいと感じていただいているようです。商売を始めるにあたっていろいろな業態を見て回るなかで、「これから可能性を感じる」という声が多いですね。

――ピーク時に必要なスタッフ数はどのくらいですか?
芳香麻辣湯の宮原 史知

宮下本部長

立ち上げ時は10名ほど採用しますが、ピーク時でも3人いれば回せます。お客様自身が具材を選んでいただくシンプルなオペレーションだからこそ実現できる体制です。

――開業前の研修制度について教えてください。
芳香麻辣湯の宮原 史知

宮下本部長

研修期間は2週間です。調理を覚えるのは5日ほどで一通りできるようになりますが、食材の発注方法や仕入れの流れなども含めて、余裕を持った研修期間を設けています。そのほか、資金融資の相談や経営面でのアドバイス、人材に関する相談にも対応しています。

マーラータンブームは続くのか?タピオカとは違い、"定番"になる理由

――マーラータンのブームは今後も続くと思いますか?
芳香麻辣湯の宮原 史知

宮下本部長

よく聞かれる質問ですが、タピオカとの違いは明確です。タピオカはドリンクやおやつですが、マーラータンはランチやディナーとして食べる「食事」です。さらにカスタマイズで毎回違う組み合わせを楽しめるので飽きが少なく、健康志向やダイエットのニーズにもマッチしています。注目度はまだまだ続くと感じています。

――中国では30年以上の歴史がありますからね。
芳香麻辣湯の宮原 史知

宮下本部長

そうなんです。もはやブームではなく文化として定着しています。「早く終わるのでは」という意見もありますが、長く可能性を感じるという意見のほうが圧倒的に多いと感じています。

――今後の出店戦略について教えてください。
芳香麻辣湯の宮原 史知

宮下本部長

まずは1都3県の都心の駅近で20店舗を展開し、実績を作ります。地方からも開業したいという声はいただいていますが、今はお待ちいただいている状態です。勢いに乗って一気に広げるのではなく、しっかり結果を見てから。来年あたりから本格展開をスタートできればと考えています。

また2026年4月より「麻辣日和」をバージョンアップさせて「芳香麻辣湯」の展開を開始します。今後は「芳香麻辣湯」が中心と考えております。

取材を終えて

「飲食店のなかでも、これだけ手軽に出店しやすいものはない」という宮下さんの言葉が強く印象に残りました。らあめん花月嵐で培ったスープ開発力やスーパーバイジング体制をマーラータンに応用しつつ、地方展開を急がず着実に実績を積み上げる堅実な姿勢も信頼感があります。

省スペース・省人員で高い利益率を見込めるビジネスモデルは、飲食未経験からの開業を考えている方にとって、一度詳しく話を聞いてみる価値があるのではないでしょうか。

芳香麻辣湯の宮原 史知

フランチャイズメディア 編集者兼ライター
宮原 史知

大阪府堺市出身の編集者・ライター。フランチャイズWEBリポートの運営メンバーとしてディレクション業務に携わり、現在は合同会社デジタル屋さん代表を務めている。これまで100以上のフランチャイズ関連コンテンツの制作を担当。Web制作やSEO分析など幅広い技術的バックグラウンドを活かし、「実装まで見える編集者」として記事制作に取り組む。既知のテーマに新しい視点を持ち込み、読み手が「ワクワクする」コンテンツ作りを信条としている。