弁当屋開業の完全ガイド!必要な資格、開業資金、成功の秘訣を徹底解説します
高齢者の増加や共働き家庭の増加、労働の長時間化などを背景として、自宅で料理をする時間が確保できない人が増えるなか、勢力を伸ばしているのが「中食市場」です。
外食と自炊の中間にあたる中食の持ち帰り弁当を必要とする人は、コンビニ惣菜やデリバリーの発達によって、中年々拡大しています。
そんな中食市場のなかで、弁当屋は飲食店よりも設備投資が少なく、運営コストも低いのが特徴です。今回は、弁当屋開業に必要な資金や資格、営業形態など、成功のためのポイントを詳しく解説します。
弁当屋開業のメリットとは?少ない資金で始められる理由
開業資金を抑えられる
弁当屋開業のメリットとしては、広い物件が不要であり、1〜2人の少数の従業員で運営が可能という点が挙げられます。通常の飲食店の場合、お客さまに来てもらえるようないい立地や、席数を確保できるような物件が必要です。弁当屋では、物件の規模と従業員数から費用を抑えることができます。
コストを抑えて運営できる
持ち帰り弁当屋であれば、調理スペースと販売スペースのみを確保すれば運営可能です。宅配弁当屋の場合はお客さまが来店しないので、立地を気にする必要がなく、家賃の安い場所で開業できます。弁当屋はホールサービスがないため、少数の従業員で済み、場合によっては1人でも営業可能です。
客数に限界がない
弁当屋開業の魅力は、客席を設けていないため、弁当を用意している限り売り続けられることです。これは特に高い需要が見込める地域で大きなメリットとなります。
軽減税率の対象となる
弁当屋は軽減税率の対象にもなっています。軽減税率は2019年10月1日から施行される消費増税における経過措置です。
ほとんどのものが増税対象となり、飲食の中でも外食は10%に引き上げられますが、弁当を含むテイクアウトや出前などの税金はこれまで通り8%です。メニュー・品質の飲食物を提供する場合は、飲食店よりも弁当屋のほうが商品をより安く提供できます。
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弁当屋の営業形態は3つ!それぞれの特徴を紹介
弁当屋の営業形態は、店舗型・宅配型・キッチンカー型の大きく3つに分けられます。それぞれ特徴が異なっているので、弁当屋を開業する際は把握しておきましょう。ここからは3つの営業形態について紹介します。
店舗型
店舗型は特定の物件を決め、店舗を構えて弁当を販売する営業形態です。お客さまに来店してもらう営業形態なので、売上を上げる・維持するためには、店舗を構える場所に気をつけなければなりません。安定した集客を実現するためには、店舗の立地が重要です。
物件を決定する際には、周辺の交通量や客層を調査しましょう。平日・休日の人通りがどの程度なのか、周りにある競合店・コンビニの数などは売上に直結するのでよく確認しておく必要があります。客層が弁当屋のコンセプトとマッチしていれば、より多くの集客を期待できるでしょう。
宅配型
宅配型は、オフィスや個人宅などから注文を受けた弁当を届けて販売することです。店舗内に販売スペースを設ける必要がないので、店舗型より省スペースで開業できるメリットがあります。また、お客さまが来店しないので、人通りなど集客に関連する立地を気にする必要がなく、家賃の安い2等立地で開業できます。これにより、家賃や電気代などのコストを削減できるでしょう。
また、宅配型は高齢者からの需要も見込めるビジネスモデルとしても注目されています。その背景には自宅で料理を作れない、食事制限があるといった高齢者が増えていることが挙げられます。そのため、栄養バランスの取れた弁当や持病がある方のための治療食など高齢者向けの弁当を宅配するビジネスが増加しているのです。
キッチンカー型
キッチンカー型は、調理設備をひと通り備えた車で弁当を作り、販売する営業形態です。ケータリングカーやフードトラックなど、さまざまな呼び方があり、イベントへの出店やスーパの駐車場付近、公園で販売するケースが多くなっています。
店舗を持たない弁当屋なので、家賃はかかりませんが、場合によっては場所代が必要になります。店内設備や内装などを整える必要もないので、初期費用も抑えられます。
また、出店場所の選択に失敗した場合でも、車を移動させて営業場所を変えることで、新たな客層を狙うこともできます。
弁当屋の開業資金はいくら?
弁当屋の開業資金は導入する設備や営業形態によって異なります。
店舗型の相場
まず、店舗型の場合、店舗の規模・設備などにより差はありますが、300万~1000万円が開業資金の相場です。店舗の内装・外装や材料費、宣伝費などにコストが発生します。
店舗の借り上げ費用の他に厨房などの設備を整えるための資金も必要となります。おすすめなのが居抜き物件を利用することです。
居抜き物件とは、開業に必要な設備や家具などが残っている状態で賃貸もしくは売買されている物件のことで、必要なものがある程度は最初から揃っています。なので、イチから内外装の工事や設備を揃える場合と比較して、最小限のコストで店舗を構えることができるのです。
ただし、前の店舗がなぜ事業から撤退したのかという理由については必ず確認しておく必要があります。立地の悪さや人通りの少なさなどが撤退の原因であった場合、開業しても同じ理由で経営がうまくいかない可能性が高いためです。
宅配型の相場
宅配型においては、郊外に小規模な調理場を作って自動車やバイクで弁当を宅配する場合、約500~700万円が相場となっています。
店舗に発生する費用は抑えられますが、宅配用の自動車にコストをかけなければなりません。お店の規模によっては、宅配用自動車を数代用意するケースもあります。
キッチンカー型の相場
キッチンカーで開業する場合、車両や導入する設備によっても異なりますが、100万~500万円が初期費用の相場となっています。水道設備や電気設備、調理設備など車にかける費用が大きいです。
弁当屋の開業資金を調達する3つの方法
弁当屋の開業資金を調達する方法としては、自己資金、銀行からの融資、日本政策金融公庫からの融資などがあります。
自己資金で開業
まず、自己資金で開業できるのであればそれに越したことはありません。友人や知人から借金をするという人もいますが、トラブルに発展する恐れがあるので注意が必要です。家族から借りられる場合は一時的に頼るのもよいでしょう。
日本政策金融公庫からの融資
自己資金では足りないときは、銀行や日本政策金融公庫から融資を受けるという方法が考えられます。日本政策金融公庫は、国が100%出資している公的な金融機関のことで、銀行よりも圧倒的に金利が低いので、まずは日本政策金融公庫からの融資を打診してみるとよいでしょう。
中小企業や小規模事業の支援が日本政策金融公庫の役割の一つとなっているため、民間の金融機関より審査に通りやすいというメリットもあります。ただし、審査に3週間から1カ月ほどかかるというデメリットがあるので、早急に資金が欲しいという人には銀行からの融資が向いているでしょう。
銀行からの融資
融資を受ける場合は日本金融公庫・銀行のどちらからであっても、融資するに値すると思わせるだけの事業計画書が必要となるので、きちんと準備をしておきましょう。
弁当屋の開業に必要な資格や申請
開業に必要な申請
飲食店の営業許可が必須
どの営業形態の場合でも弁当屋を開業するには、事前に飲食店営業許可を申請する必要があります。この申請は飲食店の開業に必要なもので、設備や調理場などの査定があるので準備しておかなければなりません。注意点として、この許可を得るまでには最低でも2週間程度の時間がかかります。そのため、オープン予定日までのスケジュールは余裕を持っておくことが大切です。
自宅での開業なら保健所の許可
自宅で弁当屋を開業するためには、いくつかの項目について一定の基準をクリアしていなければなりません。例えば、自宅が住居専用地域にある場合は店舗の床面積に制限が生じる可能性があります。
また、自宅で飲食店を経営する際は保健所の許可を得る必要がありますが、保健所は食中毒を特に警戒しています。食中毒を予防するという観点から、厨房設備については厳しいチェックを受けることになるでしょう。
一般家庭用のキッチンのままで保健所の基準をクリアできるケースは多くありません。手洗い場を設置する、水洗いができる床にする、店舗と住居を壁で仕切るなど、自宅のキッチンを厨房として利用するためには大規模なリフォームが必要となるでしょう。
キッチンカーなどは警察への営業許可
キッチンカーなど道路上で営業するのであれば警察への営業許可申請もしておかなければなりません。
仕込みは申請している場所でのみ許可されており、自宅での仕込みは違反行為となるので注意しましょう。
開業に必要な資格
開業にあたっては食品衛生責任者を1人以上置いておく必要もあります。この資格は栄養士・調理師のどちらかを持っているか、食品衛生責任者養成講習に1日参加することで取得できます。
ほかにもキッチンカー型で営業する場合には、自動車免許も必須です。
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長く愛されるお店に!弁当屋の開業を成功させるポイント
せっかく弁当屋を開業しても、客足が伸びなければ潰れてしまいます。そのため、開業を成功させる秘訣は何かを把握しておくことが重要です。ここからは、開業成功のポイントを3つ紹介します。
ほかにはない強みのある弁当を作る
長く愛される弁当屋にするには、商品に強みを持たせることが重要です。弁当はコンビニやスーパーなどでも販売されているため、これらも競合となります。コスト面や食材へのこだわり、自店でしか食べられない味など、店のコンセプトを意識しつつ検討してみましょう。
また、開店前には知人・友人などに弁当の試食をしてもらい、客観的な視点で評価を得ておくことも大切です。得られた評価をもとに、改良を重ねて自信のある弁当を販売しましょう。
弁当が売りやすい物件を見極める
店舗型で販売する場合、弁当のメニューとターゲットによって集客できる場所が変わってきます。駅前やオフィス街、住宅街、学校周辺など弁当のコンセプトに合わせて立地を選びましょう。
また、周辺の交通量や年齢層など、現場に行って実際に見ることでわかる情報があります。データ上から得られる情報だけでは、わからないこともあるので、実際の場所を確認しておくことは重要です。さらに、近くに競合店がないかどうかも合わせて調査し、自店の弁当が購入されやすい立地を探しましょう。
宣伝活動をする
ただ開業するだけではお客さまは利用してくれません。折込チラシや新聞広告、SNSなどを利用して、自店の存在を知らない人たちに少しでも認知してもらうことが大切です。
ほかにも、運動会やクリスマスなど弁当の需要が高まるシーズンを予想し、期間限定のクーポンを発行することで認知度を上げるなど、広告活動をおこないましょう。
客層に合った価格設定をする
ターゲットとする客層がサラリーマンなのか、それとも学生なのかといったことによって、弁当の適切な設定価格は変わってきます。また、用いる弁当箱の大きさによっておかずの量が変わり、それに伴って仕入れにかかるコストは変動するという点にも注意する必要があります。
このように、弁当の価格設定は客層と仕入れ価格という2点を考慮しながら行うことが大切です。客層によって適切なメニューも異なり、どのメニューを採用するかによって材料の仕入れ価格にも影響します。
価格を高くしすぎて客が来なくなったり、仕入れにこだわりすぎて利益が上がらなくなったりしないように、バランスを重視して弁当の価格を設定しましょう。
定期購入を増やして廃棄率を下げる
売れ残って廃棄する弁当が増えると利益率が下がり、経営を圧迫することになります。そのため、良好な経営を維持するためには廃棄率を下げる取り組みが重要だといえるでしょう。
廃棄率を下げるうえで効果的なのが、定期購入の顧客を増やすという方法です。定期購入ではあらかじめ売れる量がわかっているので、それに合わせて仕入れを行うことが可能です。その結果、廃棄率を下げて利益を出しやすい仕組みを作ることができます。
値引きは慎重に行う
弁当屋を開業すると、さまざまなトラブルが発生します。中でも、周辺店舗との価格競争は想定できるトラブルのひとつです。もし価格競争が発生したとしても、安易な値引きはおこなわないようにしましょう。
店舗型の場合はもともと単価を抑えている場合が多いので、値引きをするためには原価を抑える必要があり、結果的に弁当の質が落ちていってお客さまに利用されなくなるためです。
長期的な損失となるので、もし値引きをする必要がある場合でも、慎重に検討しなければなりません。
弁当屋開業に不安があるならフランチャイズも検討
ここまで弁当屋を開業するために必要な、レシピ開発や申請などを紹介してきました。しかし、独学で開業するのが不安な方は、フランチャイズの仕組みを活用する選択肢もあります。
弁当屋の有名なフランチャイズには誰もが知る、「ほっともっと(Hotto Motto)」や「ほっかほっか亭」など、弁当業界で歴史があり、名前を聞くだけで弁当屋であることを思い描けるような知名度の高いブランドも多数存在します。
これらのフランチャイズに加盟をすることで、弁当屋開業の成功に必要なノウハウ提供や、研修を受けることができます。さらに、本部によるレシピ開発やプロモーションなども期待することができ、店舗の運営に集中することができます。
弁当屋を開業するための無料説明会で相談してみよう
弁当屋はリーズナブルで美味しい弁当を提供できるかどうかが集客アップの鍵になります。
商品開発や集客について自力では難しいという場合は、フランチャイズに加盟するのもひとつの選択肢でしょう。魅力的な弁当開発に関するノウハウを学ぶことが可能で、弁当屋として認知度の高い看板を使えるため、集客力も期待できます。
フランチャイズでの弁当屋開業を検討する場合は、無料で事業説明会を開催しているので、相談に乗ってもらいましょう。