コロナ禍で売上好調!宅配寿司ビジネスを開拓した「銀のさら」強さの秘密
コロナ禍でデリバリーやテイクアウト需要が高まるなか売上が好調なのは、全国に350店舗以上を展開し、宅配寿司業界で店舗数・売上ともに圧倒的ナンバーワン※を誇る「銀のさら」。
競合店が増加する昨今、尚も成長を続ける「銀のさら」の強さの秘密を、ライドオンエクスプレスで店舗指導者として活躍しているスーパーバイザー(以下、SV)に伺いました。
※外食産業マーケティング便覧2019(株式会社富士経済調べ:2018年実績より)
コロナ禍でも好調、ライドオンエクスプレスが展開する「銀のさら」
全国で350店舗以上展開する「銀のさら」のほか、宅配釜飯の「釜寅」と宅配寿司の「すし上等!」など、3つのチェーンで合計700店舗以上を展開している株式会社ライドオンエクスプレス。現在多くの飲食店が大きな影響を受け、閉店も相次ぐコロナ禍において、「銀のさら」の売上はピーク時で前年対比130パーセント超を記録。
この記事では、ライドオンエクスプレスで店舗運営の指南役であるSV(スーパーバイザー)を務める井上崇氏と松本一成氏に、コロナ禍における銀のさらの売上事情、強さの秘密をお聞きしました。
「銀のさら」のフランチャイズ加盟店で10年の店長経験を経て、ライドオンエクスプレスに転籍。その後、直営店で4年の店長経験を積んだのち、現在は東京・神奈川エリア担当のSVとして従事。
「銀のさら」で2年のアルバイトを経験した後、ライドオンエクスプレスに入社。入社後は直営店で店長を4年ほど経験し、現在は東日本担当のSVとして従事。
コロナ禍におけるデリバリー需要の高まり
銀のさらの東日本エリアを担当しています。よろしくおねがいします。
同じく、北海道エリアの銀のさらを担当しています。よろしくお願いします。
銀のさら以外のブランド(「釜寅」や「すし上等!」など)の複合展開の有無や、地域などによって異なりますが、私が担当している東京都内の店舗だと1日50〜60件ぐらいですね。
チェーン全体の売上は毎年103~105%で成長を続けており、2019年度は350億円を突破しました。平均すると1店舗あたり月商863万円売り上げていることになります。
元々「Uber Eats」や「出前館」などによってテイクアウトやデリバリーといった中食の市場が拡大していました。そこに今回の新型コロナウイルス感染拡大で、外食事業者への営業自粛要請や、感染リスクの懸念から外食を敬遠する動きがでています。しかしその一方で、デリバリーやテイクアウトに対する需要が高まっています。
ライドオンエクスプレスでも緊急事態宣言中の2020年5月には、前年対比で130パーセントを超える売上を記録しました。今(2020年11月現在)は少し落ち着いていますが、それでも前年対比で120パーセント弱をキープしています。
従来のデリバリーといえば、ピザ屋や街の中華屋さんというようなイメージだったと思うので、『競合が増えた』という見方もできます。でも外食事業者の中食市場参入によって、今までデリバリーを利用しなかった方が、デリバリーを利用するきっかけにもなっているんです。
こうした今の状況は「銀のさら」にとってチャンスだと捉えています。
はい。そしてフードデリバリー市場への参入が相次ぐ背景には「Uber eats」や「出前館」などといったフードデリバリーのプラットフォームの存在があります。じつは、それらが一般化する以前は、「出前を頼む」という行為はとてもハードルが高かったんです。
でも近年は、デリバリーという言葉が広く受け入れられているように、スマートフォン一つで誰でも簡単にデリバリー体験を楽しめるようになりました。これによって、20代・30代の若い層や高齢者など、これまでデリバリーを利用したことのない方にとっても、デリバリーがとても身近なものになりました。
そうですね。コロナ前も「女性の社会進出」や「共働き世帯が増加」などを背景に新規利用者は増えていましたが、先ほど取り上げた2020年5月は、新規利用者が前年対比で170パーセントと、一気に増えましたね。
今は外食をはじめ売り上げがどこも落ち込んでいますが、銀のさらの売り上げが伸びているので、どこのフランチャイズ店舗に行っても「銀のさらに加盟していて本当に助かった」といった喜びの声をいただいています。
私のエリアでも聞きますね。外食事業のほうであまったリソースを、銀のさらに回すことで売上だけでなく雇用維持の面でも助かった、という声もいただいています。
正直、新型コロナウイルスの収束がいつになるか予想もできない状況なので一概には言えません。ですが、新規のお客さまが増えていること、そして1度ご注文いただいたお客さまのリピートに繋がっていることは間違いありません。
だからこそ「銀のさら」らしい、いい商品を提供して引き続き、ファンを獲得していきたいと思っています。
[PR]脱サラした先輩が選んだビジネス
銀のさらが選ばれる理由について
もともと日本人にとって「お寿司」は切っても切れないものなんです。少し前までは、お寿司はお祝いやイベント、催事など家族が集まるときに食べる特別なものというイメージが強かったと思います。
でも今は、外国人からの人気も高いですし、回転寿司チェーンなどがメジャーになったことで、日本人にとってもお寿司が身近な存在になっています。
弊社が特に強みにしているのはメニュー開発です。
「銀のさら」は全国で展開していますが、エリアによってメニューを変えています。たとえば、北海道だとサーモンが人気なので、サーモンを主体としたメニューを提供していたり、九州だと巻物文化があるので、太巻きのメニューが豊富だったり。
銀のさらがスタートした当初は全国でメニューが統一されていたんですが、地元のフランチャイズオーナー様の声を反映しながら、エリアの特徴や属性によって少しずつメニューを改良してきました。
そうですね。お寿司のメニューだけでなく、醤油や酢などもエリアによって違うんです。大きくは東日本と西日本で分かれますが、たとえば西日本だと甘い醤油をご提供するなどしています。
次に味の部分ですが、銀のさらでは、お店で魚を切って提供していますが、解凍ってとても重要なんですよ。宅配寿司では銀のさらでしか使えないという契約をメーカーさんとしている、高電場解凍機という解凍機を銀のさら全店で導入しています。これを利用することでドリップ(旨味成分)をほとんど出さずに解凍することができています。
高電場解凍機があるから「銀のさら」チェーンがおいしいお寿司をお届けできてるといっても過言ではないですね。
我々のようにデリバリーに特化した業態では、届いた商品がお店の顔なので、味はもちろんですが見た目の美しさも重要です。「銀のさら」では、きれいに盛り付けるために“盛り付け5ポイント”というのを設定しています。
ネタを盛り付ける角度を均等にするのはもちろん、ネタの向きやラインなどをしっかり揃えるようにしています。
他にもネタの色を考えて同系色が並ばないようにレイアウトしたり、帯のりやエビのしっぽを階段状に盛り付けたり。細かいですが、見た目からして「おいしそう」と思っていただけるように注意して盛り付けています。こういった点も選ばれるポイントだと考えています。
そうですね。ネタの鮮度はもちろんですが、盛り付けの見栄えのきれいさにもこだわり、華やかな商品をご提供するようにしています。飲食で一番怖いのはサイレントクレーマーですが、デリバリーは特に多いんです。
銀のさらは、外食と違って目の前で食べてる姿が見えません。でも、あとあとお手紙をいただいたり、容器の回収に伺ったら付箋が貼ってあったり。そういうのを見ると嬉しくなりますね。見えないお客様の喜ぶ顔を想像する、それが銀のさらの強みだと思います。
[PR]集客力に違いがある