2015-11-20 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
フランチャイズ研究会 中小企業診断士
楊典子 |
フランチャイズ本部必見!マニュアル作成で成長する本部を目指そう【第四回】
このコラムのポイント
『未来のフランチャイズ本部に捧ぐ。フランチャイズ本部立上げの基本』連載の第4回目です。多店舗展開をする上でおさえておきたい「フランチャイズ」の仕組みを活用した場合、どのように各店舗のオーナーに指導したらいいのか。これにかかせないのが「マニュアル」ですが、コンビニや飲食店などあらゆるビジネスで必要な指南書です。
フランチャイズWEBリポート編集部
マニュアルで成功ノウハウを「見える化」しましょう
今回のテーマは、「マニュアルの作成」です。
フランチャイズはノウハウを売るビジネスと言われていますが、このノウハウを標準化し、見える化したものがマニュアルになります。本部はノウハウをマニュアル化し、見える化したものがマニュアルになります。本部はノウハウをマニュアル化し、研修を通じて加盟店に伝えることで、初めて加盟店の成功を支援することができるようになります。
マニュアルには店舗管理用と業務用の2つを整備すべし
「マニュアルの重要性は分かるけれど、どんなマニュアルを作るべきでしょうか?」
立ち上げ中の本部から必ず出される質問です。マニュアル=ノウハウですので、事業の成功に必要な要素をもれなく網羅することが求められますが、立ち上げ期にはなかなかそこまで手が回らないのも事実です。
そこで、まずは加盟店が使用する『店舗管理マニュアル』と『業務マニュアル』の2つを整備することをお勧めしています。
a.店舗管理マニュアル
店舗管理マニュアルには主にオーナー(店長)が理解しなくてはならない、以下の項目を盛りこみます。
・チェーンのビジュアル、マインドに関する項目
・オーナー(店長)としての心構え、経営に関する項目
・労務管理に関する項目
・顧客クレーム対応に関する項目
・マーケット環境の把握に関する項目
・緊急時対応に関する項目
・事務処理、会計処理、本部報告に関する項目
b.業務マニュアル
業務マニュアルには従業員やパート、アルバイトが従事する業務について、業務の流れやオペレーションの方法などの項目が含まれます。日々の実務を盛りこみます。
・接客サービスに関する項目
・調理に関する項目
・店舗掃除に関する項目
・事務処理に関する項目
この2つを用意して本部となり、加盟店が増えてきたら、次の段階として『スーパーバイザーマニュアル』や『加盟店開発マニュアル』を整備します。これらは本部体制を確固たるものとするために本部が使用するマニュアルです。
c.スーパーバイザーマニュアル
・スーパーバイザー業務に関する項目
・本部事務処理と加盟店からの報告に関する項目
・開業業務支援に関する項目
d.加盟店開発マニュアル
・加盟店開発業務に関する項目
・出店立地判定に関する項目
上記以外にも、個人情報保護などの法令順守に関するマニュアルや緊急時に備えた危機管理マニュアルなどをつくる本部も増えています。この事業を成功させるために必要な要素は何かを洗い出し、マニュアルにしていきましょう。
マニュアル作成のステップとコツ
マニュアルは8つのステップで作成します。
1)マニュアルの目的を明確にする
2)担当者を決める
3)目次を作成し、記載範囲を明確にする
4)マニュアルのフォーマット(構成や言葉遣い等)を決める
5)業務内容を項目毎に箇条書きにする
6)業務内容をいくつかのステップに分割する
7)ステップの内容を行動順に書いてマニュアルにする
8)全体をとりまとめ、整合性をとる
マニュアルは経験のない人が読んでも理解・再現できるもの、そして頻繁に発生する変更を反映させやすくすることが大切です。活用されるマニュアルとするために、マニュアル作成にあたっては、次の点に留意して作成すると良いでしょう。
・説明書きはシンプルで分かりやすく
・知りたいことを検索しやすく
・書体を統一する
・具体的数値やビジュアル(写真、イラスト等)で表現する
・更新しやすく
マニュアル作成の担当者は、マニュアルが実務に根ざしたものにするために、現場経験のある人を選びましょう。もし、担当者に経験がない場合は、現場のスタッフをマニュアル作成業務に参加させ、現実に即したものにするよう努めてください。
<図表1 マニュアルのサンプルと作成ポイント>
マニュアル作成は双方のトラブルを防ぐために
「加盟したものの、ノウハウがほとんど提供されていない」というトラブルも良くある話です。ノウハウの詰まったマニュアルをきちんと整備することで、加盟店との不要なトラブルも防げます。
またマニュアルを作成する中で、自身の事業に足りなかった視点を得て、事業をブラッシュアップすることもできます。ぜひ全力で取り組んでください。
さて、次回のテーマは「開業前研修」がテーマになります。どうぞお楽しみに!