2016-01-23 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
フランチャイズ研究会 中小企業診断士
楊典子 |
元OLが起業する前に「準備すればよかった!」と語る失敗談と準備すべきこと3つ
このコラムのポイント
会社をやめて起業家になる上で知っておくと安心なこと。中でも、女性起業家たちの中で「これは知っておくべきだった、準備すべきだった・・」ということは自身や家族との生活にもかかわる身近なことでした。在職中のうちに準備しておくとベストな3つの要素。ぜひ覚えていってくださいね。
フランチャイズWEBリポート編集部
女性が起業するときの失敗談は「お金」や「保険」などの準備面が多い
こんにちは。女性のローリスク起業を支援する一般社団法人キャリア35の理事、楊典子です。
今回は女性の起業支援の専門家&ひとりの起業家としての視点から、『脱OL』で会社を辞めて起業を目指す方へ、会社を辞める前にぜひ知っておきたい、お金にまつわる3点をご紹介したいと思います。
(『脱OL』後にカフェを開業した女性の起業ストーリーもフランチャイズWEBリポート内で執筆しているので、よろしければご覧くださいね!)
スタートしたばかりの起業家が集まると、起業にまつわる失敗談に花が咲きます。そこで良く聞こえてくるのが
「失業給付(再就職手当)、ちゃんと考えてもらえば良かった~」
「何も考えずに国民健康保険に切り替えて、高くついた!」
「クレジットカード、会社員のうちに作っておけば良かった・・・」
という話。
退職から起業のバタバタで見落とされがちなこれらの点について、後で後悔しないよう、ぜひ知っておいてくださいね。
OL女性が起業する前に準備すべきポイント3つ
1.失業給付の期間に注意!再就職手当についても知っておくと安心
「会社を辞めても、しばらくは失業給付があるから大丈夫」と、安心していませんか?失業給付は離職中の人が次の仕事を見つけるまで支給するものですので、期間内に開業した場合には、例え売上がゼロであっても失業給付の対象から外れてしまうのです。
会社を辞めてすぐに起業したら、失業給付をもらい損ねるのか・・・、ともったいなく感じてしまうかもしれませんが、実は起業家も対象となる『再就職手当』という仕組みがあります。
失業給付の給付期間を一定期間以上残した状態で再就職や自身で開業した場合、失業給付の基本手当日額の60%(もしくは50%)の金額を残りの日数分もらうことができます。
詳しい手続きについては、退職前にハローワークに相談しておくと安心です。
2.起業前に知るべき健康保険3つ
会社員の時には所得税や住民税、健康保険料や厚生年金保険料等はすでに給料から差し引かれ、すべてお任せでOKでしたが、会社を辞めるとこうした作業をすべて自分で行わなければならなくなります。
会社を辞めた後の健康保険は3つの選択肢があり、退職後すぐに手続きが必要となります。
タイプ | 特徴 | 保険料 |
国民健康保険 | 自営業者や無職の人が一般的に加入するもの | 前年の所得に応じて決定。市区町村ごとに異なる |
任意継続保険者 | 任意継続期間は最長2年間。退職前から疾病手当金をもらっている人は、退職日までに継続して1年以上被保険者期間があれば引き続き受給できる | 全額自己負担 |
家族の被扶養者 | 本人の年収が130万円未満。会社の健康保険に加入する家族と同居。開業後の加入可否は健康保険組合による | 家族の扶養になるため本人負担なし |
なお、法人を立ち上げて起業する場合、その法人は社会保険への加入が義務づけられているので、形としては会社員時代と同じ形態の健康保険/厚生年金となります(個人事業主は国民年金)。
3.クレジットカードは、信用がある会社員時代につくっておく
起業は社会的に信用ゼロからスタートするもの。一般的に、起業してから数年間はクレジットカードを作ったり、住宅ローンを組んだりが非常に難しくなります。
ですので、クレジットカードは今の会社に勤めている間に見直し、作っておくことを強くお勧めします。事業を始めると、経費などの大きな金額の支払を一時的に立て替える場面もよく出てきますので、数千円~1万円程度の年会費がかかっても、枠が大きめで保障がしっかりしたカードを持っておくとよいでしょう。