2017-06-22 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
フランチャイズ研究会 中小企業診断士
楊典子 |
補助金・助成金・制度融資!知らなきゃ損する手厚い制度
このコラムのポイント
世界と比較しても起業率が低いと位置づけられている日本。”起業”をリスクと捉えてしまう国民性や、起業に対する投資家の少なさなども原因かもしれませんね。アベノミクス「第三の矢」を実行するにも、個人の創業や起業を国レベルで支援する必要があります。本コラムでは現在国の支援として先輩起業家も活用してきた制度について解説いただきます!
フランチャイズWEBリポート編集部
こんにちは!女性のローリスク起業を支援する一般社団法人キャリア35の理事、楊典子です。
独立して起業しようと考えるとき、頭の中は何を・どこで・どうやってやるか、といった事業の内容でいっぱいになるもの。フランチャイズ加盟での独立でも、立地選定や研修など、みっちりと詰まった先の予定をこなすことに精一杯で、国や行政がどのような施策を行っているかについてまで調べることなく、事業をスタートする方がほとんどです。
創業支援に力を入れている国の施策
あまり実感がないかもしれませんが、国は創業支援に大変力を入れています。その根底には、地域の活性化を図るには、地元に根付いて、その地域の課題を解決するような事業を行う人達を増やすことが大切という方針があり、開業率も欧米並みの10%と、現在の2倍近くまで引き上げようと、いろいろな施策が行われています。
開業前後に使いやすい施策は大きく次の3つがあります。
1.経済産業省関連の補助金
2.厚生労働省関連の助成金
3.日本政策金融公庫の制度融資
勢いだけで走らない「大人の起業」を目指す皆さん、これらの制度を計画的に活用していきましょう!
補助金&助成金
補助金や助成金は、融資とは異なり原則返済不要のお金です。
よくこの2つが混同されて使われますが、次のような違いがあります.
補助金:コンペ形式で給付されるお金。申請内容が審査され、予算の範囲内で評価得点が上位のものから採択される。
助成金:要件を満たせば必ず給付されるお金。
ただし、ぜひ覚えておいていただきたいのが、お金が給付されるタイミング。
どちらも数ヶ月のちに給付されるという形になりますので、先に現金が出ていく形になります。
補助金
通産省関連は基本的に補助金で、事業に必要な設備の購入や売上を伸ばすための広告販促費などが補助の対象となります。ただし、申請しても他の応募者との競争となるので、採択されるとは限りません。
とはいえ、採択率は数%~数十%ですので、宝くじなどにくらべれば、申請の労力に対する費用対効果は抜群です!申請書に自分の事業の魅力や今後のプランを整理して書くということ自体も、経営計画書として役に立ちますので、ぜひチャレンジすることをお勧めします。
共に申請期間は公募から約1ヶ月と限られていますので、公募があってから準備をするというパターンでは、採択される内容まで煮詰めることがなかなか難しいところです。予め昨年の実績などから公募の時期を想定し、事前に案を作っておくことが大切となります。
助成金
厚労省関連は基本的に助成金で、「人を雇ったとき」「教育をしたとき」「労務環境を改善したとき」などに対しての施策となります。要件を満たせば必ず給付されるため、要件に該当する場合には、もらわない手はありません。
日本政策金融公庫の制度融資
国の政策により、創業融資もずいぶんと借りやすくなったとの声がよく聞かれます。中でも、女性やシニアの方が活用しやすい融資制度が、「女性、若者/シニア起業家支援資金です。
借入額にもよりますが、無担保・無保証人という条件での借入も可能となっていますので、万一のリスクも抑えての起業も進めやすくなります。
起業前に着手したい、国&行政制度活用のための下準備
補助金の公募が始まっていざ申し込もうとしたけれど、条件を満たさずに申し込めず、というケースも数多く見聞きしています。
近年、創業系の補助金の申込み要件として「地域の特定創業支援事業を受けていること」が条件になることが増えてきました。
これは、お住まいの自治体などが行っている創業スクールや創業相談などに参加し、起業についてちゃんと勉強しているか?という姿勢が事前に問われているということです。現実問題として補助金の申請期間は1ヶ月程度ですので、これらの支援を事前に受けておく必要があるのです。
「知っていれば!」と後悔をしないよう、開業前には次の3ステップで制度をもっと上手に活用できるよう、進めておきましょう。
1.地元の特定創業支援事業について調べる
https://www.mirasapo.jp/starting/specialist/chiikimadoguchi.html
http://sogyo-shokei.jp/sogyo/
※チェックポイント!
・自分の住んでいるところが特定創業支援事業をおこなっているか?
→ない場合は応募できる補助金が限定されることもあり。
2.地元の特定創業支援事業(創業塾や創業相談)に参加して、事業計画を作り、必要な資金や雇用人数を算定する。
→創業支援を受けていることが補助金や助成金の申請条件になっていることも多い。
3.活用できる可能性のある補助金、助成金、自治体の制度をピックアップし、申請のタイミングや手続きなどを予め開業計画にも盛りこんでおく
自分のケースでどんな制度が使えるのか、どのように進めていけばいいのか、自分で調べるよりも専門家に相談した方が近道なのも事実です。
無料で使える中小事業者&創業者用の相談窓口が各都道府県に設置されていますので、こちらの制度も合わせて使いながら、事業計画のブラッシュアップと制度の活用を進めていくのもお勧めです。
国が全国に設置する経営相談所
→よろず支援拠点 http://www.smrj.go.jp/yorozu/
国の起業推進の追い風に乗って、自分の起業も成功させましょう!
編集部より
過去の当サイト主催のセミナーでも政策金融公庫からが創業支援制度などを講演いただいたこともあります。フランチャイズの場合だと他の先輩オーナーの頑張りや本部が構築した成功パッケージがあるので、公庫から融資を受けることも一からの起業と比べると優位かもしれません。これから起業・創業される方のアイディアは将来の日本を元気にできる力があると思いますので、是非本コラムを参考に国から受けられる支援等は効率よく活用してください。