2011-06-27 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
フランチャイズ研究会 中小企業診断士
高木仁 |
成功する本部選び ~失敗しない独立、開業~
このコラムのポイント
フランチャイズといえば、結婚にたとえられることもあります。感覚的な目線で、その本部を好きだと思えることも大切ですがやはり数字的な面などを見ることも大切ですし、客観的な視点を養う必要があります。それでは客観的にどのように見ていけばいいのかということがこのコラムではわかります。
フランチャイズWEBリポート編集部
FCビジネスは、本部と加盟者が相互の信頼関係に基づき、事業の発展に誠意をもって努力するものです。また、一度契約すると、中長期の付き合いになります。そのため、FC加盟においては、しっかりと『自分にあった良い本部』を選ぶことが重要です。
1.客観的評価と主観的評価から総合的に考える
FC加盟する本部を検討する場合、客観的評価と主観的評価から総合的に考える必要があります。まずは、加盟対象本部の全体的な客観的評価をしっかり行いましょう。良い側面だけしか見なかったり、主観や直感のみで決めたりすることは、失敗の原因となります。次に、自分の主観との整合性を慎重に見極めましょう。
2.客観的評価を行う
客観的評価を行うことで、よりよい形で主観的な判断ができるようになります。
評価を行うための情報は、ホームページ、展示会、事業説明会、本部訪問、加盟店経営者へのヒアリング、マスコミ情報、法定開示書面などによって確認できます。
本部の経営姿勢に共感できますか?
経営理念や、将来ビジョンが明確で、加盟店まで十分に浸透しているか、そして、自身も共感を覚え、納得できるかどうかは重要なポイントです。そして、経営者の発言から誠意が感じられるか、多くの関係者からよい評価と印象を持たれているか、関係者の応対も丁寧で好印象を持てるかなど、経営者の資質や企業の品格も評価ポイントになります。
情報はしっかりと公開されていますか?
加盟希望者が不十分な理解や誤解に基づいて本部の評価や選択を行うことがないよう、経営実態をありのままにきちんと開示しているかどうかがポイントとなります。加盟者向けHP、加盟案内(パンフレット)、事業説明会の資料などに、FC契約の内容が詳細に記載されているか、各種情報(資本金、店舗数、直営比率、FC事業年数、出店/閉店数など)について、最新かつ正しい数字が提示されているか、他の資料との相違はないかなどが評価ポイントになります。
店舗収益性は十分ですか?
ビジネスとして優位性があり、加盟店の成功の可能性と度合いが高いかを、具体的数値をもとに評価します。モデル損益、営業利益率、ロイヤルティ、生産性、初期投資額と回収期間などの数値について、経年推移、他本部との比較、支援内容から見た妥当性などの観点から見ます。
多店舗展開の可能性はありますか?
企業としての将来性があり、加盟後の多店舗展開が期待できるかどうかを評価します。モデル店舗が確立されているか、他社には容易に真似できない独自の商品・サービスがあるか、商品・サービス開発を常に行っており、タイミング良く投入されているか、本部が複数出店を応援していて、複数店経営者の比率が3~5割程度あるかなどが評価ポイントになります。
加盟店支援力は十分ですか?
加盟店の成功と発展に不可欠な支援機能を備えているかを評価します。開業前のサポート・研修が十分か、加盟店会があるか、必要なマニュアルが揃っているか、十分なスキルを持ったスーパーバイザーが適正な頻度で訪問しているか、計画的な本部販促や明確な不振店対策が用意されているかなどが評価ポイントになります。
加盟店満足度は高いですか?
既存加盟店のオーナーが満足しているかを、定量的に評価します。加盟店満足度は、複数店舗経営率、途中解約率、加盟店からの訴訟率、契約更新率などの指標から判断します。
3.主観的評価を行う
最後は加盟者自身が「成功の定義」を明確にして、主観的に決定を下さなければなりません。客観的視点で点数化し高得点が出たとしても、自分の望まない本部であれば意味がありません。加盟希望者自身の価値観や目指す理想像、将来の夢といった、主観的な視点を反映する必要があります。
成功の定義は自分が決める主観的なものなので、自身のたな卸しも大切です。たな卸しでは、具体的な夢や将来像を思い描きながら、事業計画を作成すると良いでしょう。
事業計画の作成については、第4回にリポートします。