飲食店経営者必読!年間10万食を販売する藤沢名物バラ丼のライセンス契約がスタート
年間10万食を売り上げた実績のある「里のうどん」のバラ丼。神奈川県・藤沢市の名物として地元を中心に多くのファンを抱える大ヒットメニューです。そんなバラ丼のライセンス契約が2022年3月にスタート。バラ丼を既存店のメニューのひとつとして取り扱えるライセンス契約で、売り上げアップや、さらなる集客を期待できます。
そこで、バラ丼の生みの親で、里のうどんを展開するワンオータス株式会社の西嶋芳生代表にインタビュー。バラ丼の魅力はもちろん、誕生した背景、コロナ禍の苦悩、ライセンス契約の内容についてお聞きしました。
30秒でわかる「里のうどん」とは
神奈川・藤沢市で3店舗を展開する「里のうどん」。うどん屋さんでありながら、お客さまの9割がオーダーするのはうどんではなく看板メニューの「バラ丼」だといいます。白いごはんの上にキャベツの千切りと、甘辛の特製ダレで絡めた豚のバラ肉を乗せたバラ丼は、年間10万食を売り上げた実績もあるなど、いまや“藤沢名物”として人気を得ています。
そんなバラ丼のライセンス契約が2022年3月からスタートしました。既存店舗のメニューにバラ丼を追加、提供することで売り上げや集客アップに貢献。しかも初期費用は100万円以下で月々のロイヤリティはゼロ。リスクを抑えて大ヒットメニューを提供できるライセンスビジネスです。
バックパッカーを経て1997年に「里のうどん」を創業。海外の店舗も含め、最大で12店舗まで拡大。しかし、コロナ禍の影響を重く捉え、早期に直営2店舗、フランチャイズ店舗1店舗まで縮小。2022年3月から大人気メニュー「バラ丼」のライセンス契約をスタート。
“自称”からスタートした藤沢名物「バラ丼」
甘辛の特製ダレを絡めて焼いた豚のバラ肉を乗っけた丼ものです。キャベツと一緒に食べるので、意外とさっぱりと食べられます。おかげさまで「藤沢名物」や「藤沢のソウルフード」などといっていただいており、多いときは年間で10万食を売り上げた実績もあるくらいの大ヒットメニューです。タレの原料の一部には、神奈川県藤沢産のハチミツを使用していて。タレは「ふじさわ観光名産品」にも認定されているので、藤沢のお土産としてご購入いただく方も多くいらっしゃいます。
そうですね。「里のうどん」がオープンしたのは1997年なのですが、当時は藤沢に名物がありませんでした。なのでこのバラ丼を藤沢の名物にしようと、「藤沢名物バラ丼」の野立て看板をそこら中に設置したり、バスに広告を出稿したりしたんです。もちろん当時は名物ではないので“自称”です(笑)。
そうなんです。ずっといい続けていたら口コミなどで広がって。ネットで「藤沢名物」と検索するとバラ丼が上位に表示されるようになったり、テレビの街頭インタビューなんかで藤沢名物を聞かれた人が「バラ丼です!」と答えてくれるようになったり。いつの間にか本当にバラ丼が藤沢名物になったんです。
そうですね。お店の名前が「里のうどん」なので本当はうどんがメインのお店なのですが、バラ丼の売り上げが9割を占めています。実質、バラ丼屋ですね(笑)。
バラ丼誕生のきっかけはお客のひと声
「里のうどん」をオープンする前に、友達を集めて試食会を開いたんです。両親が岡山出身ということもあり、小さい頃からわたしも薄味のうどんで育ったので、試食会のときも薄味のうどんを作って食べてもらいました。すると、「確かにおいしいけど味が薄い」と指摘されたんです。アドバイスを求めたところ「しょっぱいものが食べたくなるから、ごはんとしょうが焼きを付けて定食にしたら?」と。
そうなんです。しょうが焼き定食だと一般的にはごはんがあって、汁物・お漬物にキャベツが添えられたしょうが焼きが乗っている。そうなると使うお皿の数が増えますよね。当時は4坪の狭いお店だったので作業スペースが狭かったんです。どうしようか考えた結果、丼ものにすればお皿を重ねて置いておけるし、作業するスペースも狭くて済む。使うお皿の数も減るから片付けも楽になるなって。バラ肉にしたのは、当時はバラ肉が一番安かったというのが理由です。
はい。よくうどんのお店にカツ丼やカレーのサイドメニューがあるのと同じで、バラ丼をサイドメニューに用意してオープンさせました。すると今度は、「いつも味が違うね」というご指摘をいただくように。毎回、砂糖としょうゆを目分量で入れて味付けしていたので、そりゃいつも味が違うのも当たり前なんです。どうしたらいいか聞いたら、「バラ丼用のタレを作ったらどうか?」とアドバイスいただきました。
そうですね。でも今のタレが完成するまでには2年半くらいかかりましたよ。しょうゆもさまざまあるのでいろいろ試したり、しょうゆの量を増やしたり減らしたり。さらにレモンを絞ったりナッツを入れてみたり。試行錯誤しながら少しずつ改良していき、2年半くらいでようやく「これでいける!」と思うものが完成しました。
タレはもちろん、使っている食材もとくに目新しいわけではないんですけどね(笑)。寄せ集めで作っていたらオリジナリティの高いメニューができ、今度はお客さまのほうで「キャベツをこぼさないような食べ方」などをオリジナルで発信してくれるようになって。クチコミでどんどん広がっていき、2年半経ったころには店の前に行列ができるくらいの人気メニューに成長していきました。
「バラ丼のタレがおいしいから分けてくれませんか?」と空のペットボトルを持ってくる方や、「販売したら売れそうだから商品化してみたら?」という方がいらっしゃったんです。わたし自身は「売れるのかな?」と半信半疑だったのですが、半年かけて商品化したら多いときは年間で1万本も売れる大ヒット商品になりました。製造を依頼しているメーカーさんからは、「11年も売れ続けている商品は、うちの90年の歴史ではじめてだ」とおっしゃっていただいています。
はい。飲食経験もなく、ど素人でお店をスタートしているので、いろいろな方のアドバイスを取り入れて改良を重ねました。そもそもバラ丼はしょうが焼きをどんぶりに乗っけているだけですからね。
プロの方ならごはんの上に乗っけないで定食として提供すると思いますよ。でも店が狭く、素人で料理のことは何も分からないからこそ、オリジナリティの高いバラ丼という商品ができあがった。むしろ、これしか作れなかっただけなんです。
藤沢名物が海外2ヶ国、6店舗を出店
そうですね。2014年にはタイでもオープンしていて。その後、タイでは最大で5店舗を展開しました。また、ハワイにも進出していて、ハワイで最大のショッピングセンターといわれている「白木屋デパート」で2年ほどお店を出していました。
はい。外国人もバラ丼の甘辛いタレが好きみたいですね。2015年には国内の店舗でインバウンド需要が急激に伸びました。というのも「トリップアドバイザー」という口コミサイトがあるのですが、バラ丼を食べてくれた外国人のお客さまに口コミを書いていただくようお願いしました。
そうしたら、みなさん満点の5点と良い口コミを書いてくれたんです。その結果、翌年の2016年にはトリップアドバイザーの「外国人に人気の日本のレストランランキング」で26位になれました。トップ30に入ったのは神奈川県内ではじめてだと聞いています。
はい。50万~60万店舗もあるなかで26位ですから。そのかいもあって、鎌倉にあった「里のうどん」は3割弱が外国人のお客さまで埋まるようになるなど、インバウンド需要はかなり増えていきましたね。
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コロナ禍で売上8割減も、クラウドファンディングで再起
おっしゃるとおり、ダメージはかなりのものでした。コロナ禍前は海外もあわせて12店舗を展開していたのですが、2020年3月5日には3店舗まで縮小しています。
はい。鎌倉の店舗はエリア的にインバウンド需要が高く、2月の段階で中国の方たちからの予約が全部キャンセルになって。売上が8割以上落ちてしまったんです。当時の日本国内の雰囲気的には、「クルーズ船だけの話でしょ」「うちは関係ない」「GWには元に戻るはず」という感じでしたよね。
そんななか、「里のうどん」はインバウンド需要が急激に減ったのと、海外にも店舗展開していたおかげで世間とは感覚がまったく違いました。なので、早めに判断して3店舗まで縮小することにしたんです。
そうですね。それでも資金繰りが間に合わず、1店舗をスタッフに売却してフランチャイズにしたので、現在は2店舗のみを直営で運営しているかたちです。店舗数を縮小するということは、働いてもらっていたスタッフにも辞めてもらうということ……。苦渋の決断でしたが、店舗数縮小に伴って60名のスタッフに辞めてもらいました。
はい。でも、下ばかり向いてもいられず、バラ丼をなくすわけにはいかないとクラウドファンディングで資金を募りました。結果は500万円の目標金額に対し、ありがたいことに800万円以上も支援が集まりました。そこで改めて感じたのは、里のうどんのバラ丼が多くの方から愛されているということでした。
そうですね。なので、今後はバラ丼をもっと多くの人に愛される商品になってもらいたい。そう考え、2022年3月からライセンス契約をスタートすることにしました。アドオン型ライセンスとして、既存店のメニューに「バラ丼」を追加していただき、1日に3万円の売り上げをプラスするなどしていただければと考えています。
飲食業界におけるアドオン型(メニューオン型)とは、他の飲食店が提供しているメニューを自店舗のメニューとして提供可能な契約です。他店の人気メニューを、比較的低コストで自店舗でも取り扱うことができるため、既存飲食店の売上アップが図れるとして注目されています。
バラ丼が「そば屋のカツ丼」のような存在になる!?
そうですね。なかでも、「里のうどん」と同じくうどん屋さんや、そば屋さんとは相性がいいでしょうね。カツ丼などはすでにサイドメニューとしてあるはずですから、同じようにバラ丼をサイドメニューとして提供していただく。将来的にバラ丼がカツ丼と同じような位置付けになったら嬉しいですね。うどん屋さんといえばバラ丼、みたいな。
そうなるといいですね。あとはゴーストレストランとも相性は良いと思います。デリバリー市場が激化するなかで、競合もかなり増えているはずですから、そのなかでもコンテンツ力で勝てる「バラ丼」を商品としてプラスしていただけたらと思います。
もろもろ込みで100万円以下に抑えています。ライセンス契約するにあたり内装工事などをする必要もなく、さらには月々のロイヤリティもないので、費用を抑えつつコンテンツ力の強いバラ丼をメニューに追加できます。リスクを抑えられるのも、今回のライセンス契約のメリットだと自負しています。
はい。セントラルキッチンでバラ丼の調理の研修を2時間ほど、残りの半日で座学の研修をご用意しています。カットして冷凍したバラ肉をお送りしますので、それを解凍して焼いてタレに絡めるだけ。すぐに作れるようになりますよ。
「フランチャイズで店舗を展開したい」という問い合わせが多数
コロナ前ほどはいきませんが、少しずつ盛り返していますよ。 2018年にオープンした「湘南テラスモール店」は、コロナ後の2022年2月に同じフロアの飲食店9店舗のなかで売上1位になりました。
さらに、湘南テラスモール全体の飲食店と比べても、マクドナルトやスターバックスなどの大手飲食チェーンに次ぐ3位となっています。
ありがとうございます。3年かけてじわじわ順位を上げていくかたちでしたが、私自身、街のうどん屋さんがこういった大手の飲食店と肩を並べられるようになるなんて思いもしませんでしたね。
2022年3月にライセンス契約をスタートさせたのですが、じつは「フランチャイズに加盟したい」という問い合わせをかなりの数いただいております。なので、アドオン型のライセンス契約だけでなく、今後はフランチャイズ展開も視野に入れて動いているところです。
とはいえ、フランチャイズ店舗を莫大に増やす計画はなく、現時点では多くても30店舗くらいになると想定しています。
お客さまにおいしいものをご提供し、よろこんでいただきたいと考えている方にご検討いただけるとうれしいですね。やはり、わたしたちは、お客さまのよろこんでいる顔がなによりもうれしくてこの仕事をしていますから。お店を存続させるためにも収益は必要ですが、それだけでなく、「お客さまによろこんでいただくために」という思いの強い方からのお問い合わせをお待ちしております。
「里のうどん」の本部取材を終えて
目玉になりうるメニューを考え、試行錯誤し、お客に提供する。それが受け入れられ、クチコミで広がり、看板メニューとなる。飲食店経営をしたことはありませんが、目玉となるメニューを作ることが簡単ではないことぐらいは容易に想像がつきます。
里のうどんの「バラ丼」は年間10万食を売り上げた実績もあるなど、主力になりうるメニューです。まん防も明けてようやく日常を取り戻しつつありますが、街を歩いていると飲食店が二極化しているように思います。集客に苦戦している飲食店経営者は、一度、「里のうどん」に問い合わせしてみてはいかがでしょうか。困っている飲食店経営者にとって、次につながるきっかけがあるかもしれない。そう強く感じた取材でした。
以下のリンクから「里のうどん」のライセンス契約についての詳細をご確認いただけます。今後はフランチャイズ展開も予定しており、こちらは加盟数に限りがあるとのことなので、気になる方は早めにコンタクトを取っておきましょう!
10年の雑誌編集部経験を経て、2016年にフリー編集者・ライターとして独立しました。その後の2023年にオウンドメディア支援(記事制作代行)をメイン事業とする「株式会社Wordeal」を設立。“上位表示だけでなくCV獲得まで伴走型でサポート”をモットーに、フランチャイズWEBリポートをはじめ多くのWEBメディアで記事を制作しています。