保育園を開業するには?必要な準備と資金を徹底解説!

フランチャイズWEBリポート編集部 |2019年10月06日 公開 (2020年07月31日 最終更新)
保育園を開業するには?必要な準備と資金を徹底解説!

夫婦ともに仕事をしている共働き家庭の増加にともない、保育園の需要も高まっています。地域によっては、保育園に入れない待機児童の数がかなり多いです。

そのため、新たに保育園を開業すれば、数多くの人を助けられるかもしれません。今回は、保育園の開業に必要な準備や資金、助成金などについて詳しく解説していきます。

保育園が足りない!需要の高い保育園の開業

保育園が足りない!需要の高い保育園の開業

2019年10月からは、子育て世帯の負担軽減を目的として「幼児教育・保育の無償化」が始まりました。この政策によって、従来よりも保育園にかかる金銭的負担が軽くなり、保護者にとっては保育園選択の間口が広がったといえます。

一方で保育園の数や受け入れ人数には制限があり、すべての子どもが問題なく入れるわけではありません。保育園に入りたいのに入園できない待機児童の数が多いことも問題となっています。そのような状況から、保育園のニーズは年々高まっており、保育園開業は多くの人から望まれています。保育園を開業すれば待機児童の数も減りますし、社会貢献にもつながります

そして保育園開業が増え、保護者にとって選択肢が増えるということは、従来よりも保育園の質が問われるようになるということでもあります。今後は保育の質を上げて選ばれる保育園づくりを心がける必要があるでしょう。

保育園の開業に資格は必要?

保育園を経営するうえで、保育士などの資格を取得する必要はありません。また、保育業界で実務に従事した経験が問われることもありません。つまり、保育園はまったく経験がない人でも開業することができるのです

実際、保育に関する資格を持たずに保育園を経営して成功を収めている人もいるので、資格については特に心配する必要はないでしょう。それ以上に、保育にかける情熱や掲げている理念を明確に示し、保護者からの信頼を勝ち取ることが重要だといえます。

ただし、保育園自体には資格保有者を一定数以上配置しなければなりません。特に、認可を受けて補助金などを受給するつもりなら、しっかりと有資格者の設置基準を満たすことが大切です。

保育園の基礎知識!認可保育園と認可外保育園について

保育園を開業するときには、まず認可保育園にするのか認可外保育園にするのかを決めなければなりません。ここからは、それぞれの特徴について解説します。経営の仕方が大きく変わるので、どちらにするのかは慎重に決めるようにしましょう。

認可保育園

認可保育園を開業するときは、社会福祉法人を設立し、届出を出すとさまざまな優遇措置が受けられます。具体的には、独立行政法人や医療福祉機構から低金利でお金を借りられたり、自治体からの助成金の交付を受けることが可能です。しかし、認可保育園を開業するためには、国や自治体が決めている基準を満たさなければなりません。保育室や園庭の広さ、園児や保育士の数などが細かく決められていて、それらの基準をすべてクリアする必要があります。

政府が施行した「子ども・子育て支援法」に伴って始まった「小規模認可保育園」も認可保育園の一種です。小規模認可保育園とは、保育対象となる年齢が0~2歳で、定員が6~19人の小規模な保育園のことです。従来は19人以下の保育所が認可の対象外とされていましたが、2015年より国の認可事業として位置づけられるようになりました。小規模認可保育園の開業に必要な準備期間は4~5ヵ月程度で、通常の認可保育園に比べてかなり短いため、開業しやすいのが特徴です。

認可外保育園

認可外保育園は、認可保育園を設立するための国や自治体が決めている基準を満たさなくても大丈夫です。しかし、何もかも自由にできるわけではなく、認可外保育園を設立するために定められている基準は守る必要があります。ただ、認可保育園よりも自由に保育園を作ることが可能です。英語教育や水泳、体操、音楽に特化しているなどの特色を出すことができます。そのため、認可外保育園だから粗悪であるとは限りません。認可外保育園は、認可保育園のような細かい基準がないため、認可保育園よりも開業はしやすいです。

認可保育園では重要!有資格者の設置基準

保育園における保育士の配置基準は国によって定められています。認可保育園の設立を目指す場合は、この基準をクリアできるように保育士を確保しなければなりません。

まず、保育士の配置基準は預かる子どもの年齢ごとに異なります。定められた基準では、0歳児なら3人につき保育士1人、1~2歳児なら6人につき1人、3歳児なら20人につき1人、4歳児以上なら30人につき1人となっています。ただし、この基準通りの人数だと十分な保育を行うのが難しいため、基準以上の職員を用意しているのが一般的です。

また、自治体によっては独自の基準を設けている場合があるので事前に確かめておく必要があります。なお、保育士以外に嘱託医と調理員の配置も定められています。

ちなみに、保育園は職員の配置基準だけでなく設備の基準も定められているので注意が必要です。例えば、2歳以上の子どもを預かる場合は保育室または遊戯室の設置が必須で、子ども1人につき1.98平方メートル以上の面積を確保しなければなりません。

保育園の開業は準備で忙しい?!保育園の開業に必要な準備とは

保育園を開業するためには、さまざまな準備が必要となります。ここからは、開業に向けて必要なことについて説明します。

開業届の提出

保育園を開業するときには、開業から1カ月以内に開業届を最寄りの税務署に提出しなければなりません。開業届は、保育園経営から得られた利益に応じて税金を支払うために必要です。税金面で優遇される青色申告で確定申告できるように「青色申告承認申請書」の提出もしておくことがおすすめです。

資金調達

保育園を開業するためには、清潔な保育室や遊具などを用意するための資金や、利益が出るまでの人件費など、たくさんの資金が必要となります。自己資金が足りない場合は、事業計画書、もしくは基本運営計画書を作成し、銀行などから融資を受けるようにしましょう。

物件の契約および工事

保育園開業前には、土地や建物などの物件を契約し、新たに建設する、もしくはリフォームなどの工事が必要です。物件は、土地の大きさだけで決めてはいけません。交通量や治安など、周辺の環境がどのようなものかを調査することが非常に大事です。実際に歩いてみて、近くに幼稚園や小学校、公園があるのか、同業の保育所が近いかなどをチェックします。また、閑静な住宅街の中だと、「子どもの声がうるさい」などと周辺住民から苦情がくるかもしれません。子どもが騒いでも問題がない立地や、防音設備がしっかりとしている建物にするなど、周囲に対する配慮もしっかりと行いましょう。

自治体への届け出

認可保育園、認可外保育園に関わらず、開業の際には、自治体へと届け出を出さなければなりません。その他、損害保険会社や給食業者、提携する小児科の先生へ契約書などの書類のやり取りも必要です。

保育用品や消耗品の準備

保育園には、預かる子どもの月齢や保育スペースに合ったおもちゃや家具などの保育用品も必要です。保育用品は、優しい感触である木を使ったものや、清潔さを保ちやすいプラスチック製のものなど、さまざまなものがあります。自分が経営する保育園のコンセプトに合ったものを選びましょう。 また、トイレットペーパーや雑巾、消毒のための薬剤などの消耗品も忘れないように準備しましょう。

保育士やスタッフの確保

保育園の開業では、人材の確保も重要です。国家資格である保育士の免許を持ったスタッフは必ず必要となります。ただ資格を持っているだけではなく、保育士としてレベルが高く、園児や保護者が安心して預けられるような人を雇わなければなりません。また、自分が理想とする保育園を作るためにも、保育士に対する研修も実施しましょう。

選んでもらうための宣伝

保育園経営を軌道に乗せるためには、園児を集めなければなりません。大事なのは、保護者から信頼を得ることです。保護者の目を引くようなオープニングキャンペーンや、こだわりある保育内容をアピールするなど、宣伝は積極的に行いましょう。

いくら準備すべき?保育園の開業資金

20人ほどの児童を定員とする場合、最低でも500万円の開業資金が必要です。建物を借りるためのお金に150万円、内装リフォームに100万円、備品や消耗品、事務用品などに50万円、広告宣伝費に20万円、その他、開業当初の人件費や家賃などを考えると500万円ほどかかる計算になります。しかし、これはあくまで目安です。保育園を開業する立地や、受け入れ人数などにより必要資金は変わってきます。また、保育園を設立したい土地や建物を購入しなければならない場合は、億単位のお金が必要になります。自己資金が足りない場合は、銀行などに融資してもらい資金を確保しましょう。

事前の対策が重要!保育園開業で想定できる問題点

園児同士のトラブルや保育士の不足など、保育園の経営にはさまざまな問題がつきまといます。想定される問題点を事前に押さえておき、実際にトラブルが起きたときに対応できる体制を整えておきましょう。ここでは、保育園開業で想定できる問題点を3つ紹介していきます。

園児のトラブルに注意する

保育園の経営で一番気をつけなければならないのは、園児に関することです。預かり中のケガや病気、園児同士のトラブルなどの問題は必ず起こるといってもいいでしょう。そのような事態に備えて、園児へと十分な注意を払い、取り返しのつかない問題が起きないように保育士の数を確保するようにしましょう。保護者は自分の子どもに関してかなり敏感です。ささいなことでもクレームにつながりますので、送迎時や連絡帳でのやり取りなどで、保護者と密にコミュニケーションを取るようにしましょう。  

保育園のボールが車を傷つけた、保育園内で園児がケガをした、従業員の労災などが起きたときにお金がおりる保育園用の損害保険もあります。そのような事態に備えて、万全な体制を整えるようにしましょう。

経営が軌道に乗るまでに時間がかかる

認可外保育園の場合、開業後すぐには園児が集まらないこともあるでしょう。補助金に頼ることもできますが、認可保育園ほど多くもらえるわけではありません。そのため、経営が軌道に乗るまでの運転資金を多めに用意しておく必要があります

そのうえで、ホームページの開設やチラシのポスティングといった宣伝活動で保育園の認知度を高め、園児を集める努力を続けていくことが大切です。

保育士確保に難航する

保育業界では慢性的な保育士不足の状況が続いており、大きな社会問題となっています。せっかく開業しても働き手がみつからず、予定していた定員よりも少ない園児しか預かれない保育園が増えてきているのです。

保育士の資格を持っていながら現場から遠ざかっている人は、保育士全体の6割にも上るといわれています。そうした潜在的な人材を現場に呼び戻すためにも、保育士にとって魅力的な職場環境を用意することが大切だといえるでしょう。

保育園は信頼が大事!集客できれば安定収入が期待できる

保育園は信頼が大事!集客できれば安定収入が期待できる

保育園経営の大きなメリットは、一度園児が集まれば安定した経営をすることができるという点です。園児は、一度入園すれば、転勤や園との信頼関係が大きく崩れるなどのよっぽどの理由がない限り、卒園まで通い続けてくれます。ただし、途中退園が続出してしまうと、安定経営はできなくなりますし、園の評判は下がるでしょう。保護者は保育園の口コミには、かなり敏感です。評判が悪くなると新たな園児が入ってきにくくなってしまいます。そうしますと、経営破綻が起こりかねません。園児が途中で退園しないように、園児や保護者からしっかりと信頼を得ることが重要です。

保育園の開業を成功させるために!押さえておきたいポイント

保育園の開業を成功させるためには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。ここでは、保育園開業を成功させるための2つのポイントについてみていきましょう。

職員に働きやすい環境を提供する

先述のとおり、保育業界では慢性的な人材不足が問題となっています。そうした状況の中で必要な人員を確保し、保育園を健全に経営していくためには、職員が働きやすい環境を整えることが何よりも大切です。職場の労働環境を整えれば仕事の質が向上し、仕事の質が向上すれば保育園の評判が良くなるでしょう。

そして、保育園の評判が良くなれば園児や職員が集まりやすくなり、経営を波に乗せることができるのです。ビジネスにおいては「ヒト」「モノ」「カネ」の3つが重要だといわれていますが、まずは保育園に欠かせない資産である「ヒト」を大切にすることから始めるべきでしょう

効果的に宣伝する

開業するのが認可保育園であれば、入園を申し込んだ児童を自治体が振り分けてくれるので集客を心配する必要はありません。しかし、認可外保育園の場合はすぐに入園希望者が現れない可能性があり、自力で児童を集めてくる必要があります。

宣伝方法としては、ホームページで保育園の情報を公開する、体験入園で実際の雰囲気を知ってもらう、といったものが考えられます。その他、子育て世帯が多い地域でのポスティングや、フリーペーパーへの広告掲載といった方法も効果的です。

資金を無駄にしないように、費用対効果を考慮しながら宣伝活動を展開していきましょう。

自力での開業が不安なら!フランチャイズという選択肢

先述したように、保育園の開業にあたって資格などを取得する必要はありません。しかし、保育の知識や経営の経験がない状態で保育園の開業に踏み切るのは、実際問題として難しいといえるでしょう。

「幼児教育・保育の無償化」によって保育園の間口が広がったことで、保育園に質の高さを求める保護者が増えることも予想されています。そうした状況の中で生き残るためには、独自のカリキュラムを用意するなど、効果的な経営戦略を展開していく必要があります

自力での保育園開業に不安を感じるなら、フランチャイズに加盟するという選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。フランチャイズを利用すれば、会社が培ってきたノウハウによって保育園の質を高めることができます。トラブルが起こったときも、適切なアドバイスがもらえるので安心して経営に専念できるでしょう。

保育園の開業は園児を集められるかが重要!理想の保育を目指そう

保育園の開業は園児を集められるかが重要!理想の保育を目指そう

保育園の開業には、満たさなければならない基準が厳しく決まっています。さらに、さまざまな手続きや契約、人材確保など、やらなければならないことがたくさんあります。また、園児を集められなければ安定した保育園経営はできません。フランチャイズでは、そのような開業の大変さを手厚くサポートしてくれます。保育園開業を考えている場合は、フランチャイズも検討してみることをおすすめします。

保育園を開業するには?必要な準備と資金を徹底解説!

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