自営業の年収はどう考える?会社員との違いや年収を上げるポイントを紹介

フランチャイズWEBリポート編集部 |2019年11月14日 公開 (2020年07月31日 最終更新)
営業の年収はどう考える?会社員との違いや年収を上げるポイントを紹介

自営業の年収は会社員とは違い、働き方によって大きく金額が変動するものです。そのため、雇われ思考のままでは大きく稼ぐことはできないでしょう。自営業で成功を目指すなら、その考え方を理解する必要があります。

今回の記事では、会社員と自営業はどのように考え方が違うのか、また、年収を上げる方法について具体的に解説します。

自営業とは

自営業とは自分で販売や営業を行なうことで、自営業をする人のことを個人事業主と呼びます。個人事業主は法人とは異なり、運営上のルールや法的な手続きも比較的簡単です。そのため、法人に比べて経営しやすいのが特徴だといえるでしょう。

個人事業主になるときは、管轄の税務署へ開業届を提出するだけで手続きが完了します。このとき、節税対策として青色申告承認申請書を同時に提出しておくと良いでしょう。一方、法人を設立するためには複雑な手続きを行なう必要があり、登記が完了するまでには数週間から数ヵ月の時間がかかります。

このように、個人事業主には簡単になることができますが、社会的信用という点では法人に劣ります。支払う税金の仕組みも異なり、事業規模などによっては法人のほうが税金の負担が軽くなる場合もあるでしょう。そのため、個人事業主は必要に応じて法人化を検討することも重要です。

自営業と会社員の年収の考え方の違い

会社員と自営業では、年収に対してどのような考え方の違いがあるのでしょうか。ここでは、それぞれの考え方の違いについて見ていくことにしましょう。

自営業

自営業の年収とは、経費を差し引く前の年間の売上金額を指す言葉です。自分で何か事業を行なっていれば多かれ少なかれ経費がかかるものですが、その分は年収の金額に含まれるということです。したがって、経費を削減すれば手取りの金額が大きくなり、反対に経費が多額になれば手取りの金額が少なくなるということになります。

会社員でも年収と手取り金額は違いますが、自営業は特にこの傾向が強いことが特徴です。また、自営業の場合は年収ではなく、年商という言い方をすることもあります。

会社員

会社員の年収とは、会社から入った年間の給与額とボーナスを足したもので、年収から社会保険料や税金を差し引いた金額が手取りです。一般的に会社員の年収や手取りは毎年の変動が少なく、安定していることが特徴です。

自営業の場合は大きく年収が上がる可能性もある反面、大きく下がる可能性もありますが、会社員の場合はそのような波が少なく、毎年の年収を計算しやすいでしょう。

自営業の収入・支出の内訳

毎月一定の給料がもらえる会社員とは異なり、自営業の場合は変動しやすい事業所得で生計を立てることになります。また、支出についても会社員の場合は考える必要がない細かい内訳があります。ここからは、自営業の収入・支出の内訳について詳しくみていきましょう。

収入の内訳

自営業の主な職種は、営業職・自由職・その他に大きく分けることができます。卸売業や小売業、製造業などは営業職に分類され、医師や作家、大工などは自由職に、漁業や農業などはその他に分類されるでしょう。

従事する業種にかかわらず、1年間の収入合計が個人事業主の売上金額、すなわち年商となります。

支出の内訳

自営業の支出内訳としては、まず商品の仕入れ金額や材料費などが含まれる売上原価が挙げられます。また、従業員を雇っている場合は人件費が、業務委託を行っている場合は外注費が必要になるでしょう。  

店舗や駐車場、事務所などを借りているのであれば地代家賃も支出項目の一つとなります。その他、減価償却費や水道光熱費、通信費、広告宣伝費などが支出の内訳の代表的な項目です。  

さらに、自営業の場合は会社員と違って社会保険料や税金も自分で納めなくてはなりません。住民税や所得税、国民健康保険料などについては、1年間の所得に応じて納付する金額が決定します

自営業と会社員の年収の確認方法

収入や支出の内訳が異なるのと同じように、自営業と会社員では年収の確認方法にも違いがあります。ここでは、自営業と会社員の年収の確認方法をそれぞれ紹介していきます。

自営業

自営業の場合、年収は確定申告書をもとに確認します。年収には額面年収と手取り年収の2種類がありますが、自営業の場合は売上金額から支出や経費を差し引いた所得金額が額面年収となります。

売上金額、すなわち年商を額面年収と考える場合もありますが、年商がどれほど多くても事業にかかる支出が多ければ手元に残る所得は少なくなるでしょう。そのため、何かの手続きの際に申告する年収には所得金額を用いるのが一般的です。そして、この所得金額から税金や社会保険料を差し引いた金額が自営業の手取り年収となります。

会社員

会社員の場合、年末になると勤務先からもらえる源泉徴収票を確認すれば年収がある程度把握できます。会社員の額面年収は、源泉徴収票の「支払金額」の部分に記載されている金額です。この「支払金額」から、同じく源泉徴収票に記載されている「社会保険料等の金額」と「源泉徴収税額」、そして住民税の金額を引くと手取り年収がわかります。

住民税の金額は、「住民税決定通知書」を確かめるか、ある月の給与明細に記載されている住民税額を12倍すれば大まかに確認できるでしょう。

年収1000万円で自営業と会社員の手取り額の差

同じ年収1000万円でも、会社員と自営業では手取り額が異なってきます。ここでは仮に1000万円稼いだときに、経費を計算に入れずにそれぞれどのくらいの手取り金額になるのか、どの程度の差が出るのかを紹介します。

両方年収1000万円と仮定したときの手取りの例

自営業と会社員がそれぞれ年収1000万円を稼いだときの手取り額は、両者で大きく異なってきます。

まず、自営業の手取り年収を求める過程についてみていきましょう。額面年収が1000万円の場合、社会保険料が約135万円、所得税が約100万円かかります。そして住民税が約70万円、個人事業税が約35万円かかるので、これらをすべて差し引いた手取り年収が約660万円となるのです。

次に、会社員の手取り年収を計算する過程についても紹介します。額面年収が1000万円なら、支払う社会保険料は約145万円です。また、所得税は約70万円、住民税は約55万円かかるため、手取り年収が約730万円となります。会社員は自営業よりも保障が手厚いので社会保険料が高くなっていますが、所得税や住民税は大幅に安くなっています。そして、自営業とは違って内訳に個人事業税が含まれていません。

同じ年収でもこれだけ大きな差が開いてしまう原因の一つは、個人事業税の存在があります。会社員は個人事業税を払う必要がありませんが、自営業の場合は払わなければいけません。そのため、自営業の人は手取りの額が少なくなってしまう傾向にあるのです。

自営業の平均年収はどのくらい?

自営業に携わる人々の平均年収はどの程度なのでしょうか。平成29年分の申告所得税標本調査によれば、この年の自営業の平均年収は414万円となっています。また、平成28年度の同じ調査では411万円であり、わずかながらも増加傾向にあることが分かります。

平均が400万円台というのは、会社員と比べても大きな違いはない数字です。ただ、自営業は会社員に比べると、業種や個人間で収入の格差が激しく、手取り額も少なくなる傾向にあります。

自営業で年収の申告を求められるケース

自営業者が年収の申告を求められるケースとしては、クレジットカードの申し込みなどが挙げられるでしょう。これらのケースでは、基本的に額面年収を申告することになります。

住宅ローンの審査にあたって、会社員の場合は源泉徴収票を提出すれば年収を証明することができます。一方、自営業の場合は収入内訳書などを含む確定申告書類に加えて、納税証明書も提出しなければなりません。金融機関によっては、2~3年分の確定申告書類の提出が求められ、厳しく審査が行われる場合もあります。自営業の年収は金融機関によって計算方法が異なるため、必要に応じて複数の金融機関に相談してみると良いでしょう。

クレジットカードの申し込みについては、キャッシング枠を希望する場合は確定申告書類や納税証明書の提出が必要となります。住宅ローンの審査と同じように年収の計算が行われ、カード会社によっては事業内容が確認できる書類の提出を求められることもあります。

自営業で年収を上げるための方法

会社員のように毎月決まった収入があるわけではない自営業の人々が、どのようにすれば年収を上げていけるのかを紹介しましょう。

稼ぎやすい職種を選ぶ

多くのお金を稼ぎたければ、稼ぎやすい職種を選ぶことは必須となります。なぜなら、職種によって年収の金額というのは全然違うからです。つまり、稼ぎやすい職種を選べば今よりも収入が増える可能性が上がり、稼ぎにくい職種を選べば収入が減る可能性が出てくるということです。

具体的に稼ぎやすい職種といわれているのが、専門技術系の分野になります。技術系であればシステムエンジニアや設計士などが挙げられるでしょう。特にエンジニアは慢性的に数が不足しており、個人で仕事をしていても平均以上の収入を得ている人が多くいる職種の一つです。そのため、自分のスキルに自信のある場合は独立する人も多数います。

営業力・交渉力を上げる

会社員のときは企業に営業専門の人材がいて、自分で仕事を取ってくる必要はありません。しかし、自営業になると専門領域の仕事以外に、自分で顧客を獲得していくことも求められます。そのため、専門領域の勉強だけをしていれば良いというわけではなく、営業や交渉の能力を高めることも必要になってくるのです。

能力を高めるためには、日々スキルアップを意識して行動していかないといけなくなるでしょう。それまで営業の経験が無い場合には苦労することもあるかもしれませんが、自営業としてやっていくことを考えるなら避けては通れないものです。その分、営業のスキルを身に付けて実績を積めば、年収アップにもつながります

軌道に乗せやすいフランチャイズビジネスを検討する

未経験で独立するのであれば、フランチャイズに加盟するという選択肢もあります。フランチャイズに加盟すると本部の商品やサービス、ノウハウを利用して経営することができます。すでに実績のあるビジネスモデルと活用できるため、短期間で事業を軌道に乗せられる可能性が高まるのです。

フランチャイズとして有名なのは大手コンビニチェーン店や飲食店の店舗運営などですが、その他にも塾やフィットネスクラブ、社会福祉など、さまざまな業種業態のフランチャイズビジネスが存在します。また、個人で仕事をするときに比べて、フランチャイズに加盟していると信頼性が増すことも大きな魅力といえるでしょう。

自営業としてお金を管理する際の4つの注意点

年収が上がると税金も高くなる

年収が上がれば当然、税金も高くなります。これは会社員も同じですが、自営業は所得税や住民税に加えて、事業税という税金の支払いもあることには注意が必要です。

また、会社員のように毎月一定の給料が貰えるわけではなく、節税対策も自分でやらなければいけないため、資金繰りは常に意識しておく必要があります。その際は、自分の年収に対してどのくらいの税金がかかるのか、事前にシミュレーションしておくと安心でしょう。

会計の知識は事前に身につけておく

自営業は年間の売上から所得金額を計算し、確定申告をする必要があります。確定申告をするためには、会計の知識は必須となるので事前に勉強しておくと良いでしょう。なお、どうしても勉強する時間が無いなどの理由でできないときには、市販の会計ソフトを活用したり、税理士に直接依頼する方法もあります。

年金や退職金は自分で用意する必要がある

会社員と自営業の大きな違いの一つは、退職金の有無です。会社員は退職金を貰えることがほとんどですが、自営業の人に退職金はありません。そのため、老後のための資金は自分で少しずつ貯めておく必要があります。また、年金も会社員に比べて貰える額は少なくなるので、事前に何らかの対策を立てておくことが重要です。

自営業は会社員よりローンなどの審査に通りにくい

一般的に自営業の人は、会社員に比べてローンなどの審査が通りにくいという特徴があります。その理由は、継続して安定した収入がある会社員とは違い、個人事業主などの自営業は信用が低いとされているからです。したがって、ローンを借りたいと考えても、場合によっては審査に通らないこともあるかもしれません。

また、審査の際に収入額を証明する書類の提出を求められることも多いでしょう。対策としては、事業の安定性や将来性を上手にアピールしていくことなどが考えられます。

自営業の手取り年収を増やすための節税対策

自営業の手取り年収を増やすポイントは、積極的に節税対策を行っていくことです。

まず、業務に関する収入や支出について正確に帳簿をつけ、青色申告を行うことが節税対策の基本となります。「青色申告承認申請書」を提出しておかないと自動的に白色申告となってしまうので気を付けましょう。

そのうえで、配偶者や親族を青色事業専従者として雇って給与を支払うことで、所得が分散されて税額を引き下げることができます。青色事業専従者とは、青色申告を行っている個人事業主と一緒に暮らしている家族従業員のことです。なお、家族従業員を青色事業専従者と認めてもらうためには「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署へ提出しておかなければなりません。

また、自宅や自家用車を事業に使用している場合、水道光熱費や家賃、車の維持費、減価償却費などの一部を事業経費として計上することができます。何割まで経費にできるかということは厳密に定められていないため、合理的に説明できる範囲内で申告するようにしましょう。

さらに、事業規模が拡大すれば法人設立という選択肢も浮かんできます。法人と個人事業主は税金の仕組みが違うことを理解し、それぞれのメリット・デメリットを押さえたうえで検討することをおすすめします。

会社員と自営業の年収の違いを理解して、自分にあった独立を選ぼう

自営業の年収を把握する際は、会社員とは考え方が異なることに注意が必要です。また、会社員として雇われているときは税金などの金銭関係は企業側ですべて対処してくれますが、自営業になるとすべてを自分でやらなくてはいけません。

これから独立開業を考えていたり、自営業をしていて年収が上がらない悩みがある場合は、未経験からでも成功しやすいフランチャイズビジネスを選択肢の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。

営業の年収はどう考える?会社員との違いや年収を上げるポイントを紹介

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