ゴーストレストランを開業するには?開業方法や注意点、コツもご紹介

フランチャイズWEBリポート編集部 |2020年08月07日 公開 (2024年06月06日 最終更新)
ゴーストレストランとは

皆さんは「ゴーストレストラン」をご存じでしょうか?バーチャルレストランやクラウドキッチンとも呼ばれるこれらは、実店舗を持たない飲食店として、アメリカでは数年前からトレンドになっていました。

コロナ禍で一気に需要が拡大し、現在では「あって当たり前」の存在にもなったゴーストレストラン。きっと開業を検討している方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、ゴーストレストランの開業手順や成功するコツなどを解説していきます!

ゴーストレストランとは

注目度急上昇!? バーチャルレストランとは

ゴーストレストラン(クラウドキッチン)とは?

ゴーストレストランは、別名クラウドキッチンとも呼ばれ、実店舗を持たずデリバリーのみを行なう飲食店のことです。

日本にも弁当屋をはじめとしたテイクアウト専門のお店は数多くあります。しかしゴーストレストランは既存のテイクアウトやデリバリーを専門とする飲食店とは異なり、注文も全てオンライン。インターネット上に開業することになるので、1つキッチン(店舗)であっても、ネット上に複数のブランドを登録して全く違うメニューを取り扱い、複数の店舗があるように見せることができます。

例を挙げると、和食レストランとピザ屋やステーキハウスが全て同じキッチン(店舗)から調理・提供されているといった状態です。注文が入る場所は同じですが、それぞれコンセプトや看板となるメニューが異なるため、利用者が注文するネット上では同じキッチン(店舗)を利用しているとは分かりません。

ゴーストレストランを開業するメリット

ゴーストレストランの経営はどんなメリットや特徴がある?

ここからは、今求められているゴーストレストランをビジネスの観点からみていきます。具体的にゴーストレストランを経営することで得られるメリットや、ゴーストレストランの特徴とはどのようなものがあるのかをご紹介します。

実店舗が必要ない

一般的な飲食店では、調理スペース、会計スペース、飲食スペースと広い場所が必要となります。そのため建物の規模や、土地の確保が難しいことも多くあるでしょう。良い物件を見つけたとしても、開業費用は最低でも数百万円が必要で、こだわりのある飲食店を造ろうと思うと数千万円の資金が必要なケースも少なくありません。

しかしゴーストレストランやクラウドキッチンは、お客様が来店することがないため、飲食スペースや会計スペースは必要ありません。調理ができるキッチンスペースとデリバリー可能なシステムが整っていれば開業できてしまうのです。

そのため三等立地で低コストに開業することも可能で、一般的な飲食店の経営よりも低リスク・低投資で始めることができます。客席を設けずにデリバリー専門で行なうゴーストレストランの場合、調理スペースのみ。内装にこだわる必要がないので数十万円程度で開業することが可能です。さらに、試験営業をしたり、事業の拡大も比較的行ないやすいのが特徴です。

人件費を抑えることが可能

一般的な飲食店は調理だけでなく、接客を行なうスタッフも必要になりますが、ゴーストレストランは来客がないため接客用の人材を確保する必要がありません。少人数でも経営が行なえる点もゴーストレストランの魅力といえるでしょう。オーナー自身が調理をするのであれば、スタッフを雇用せずに開業することも十分に可能です。

また、店舗面積は最小限で済むため賃料を抑えることができますし、電気代も客席がない分だけ安くなります。さらに、実店舗では集客のために多大な広告費を支払う必要性もありますが、ゴーストレストランはSNSやポスティングなどで集客を狙うのが一般的なので広告費の低減化が可能です。

上記のようにコストを大幅に抑えることで、メニューの料金も下げることができるため、お客様にお手頃な価格で商品を提供することが可能になります。多くの飲食店がテイクアウト事業を展開している中で、差別化を図るひとつのポイントとなるのではないでしょうか。

複数の飲食ブランドを扱える

従来のデリバリー専門店ではひとつのブランドのみを取り扱うことになりますが、ゴーストレストランでは複数のブランドを同時に、同じキッチン(店舗)で取り扱うことが可能です。そのため、顧客のターゲット層を広げることができ、幅広い層からの集客やリピーター獲得を可能としています。

既存の調理スペースを活かして開業できる

既に飲食店の経営をしている方の場合、既存の調理スペースを活用してゴーストレストランを経営することが可能です。ゴーストレストランとして新しいブランドを開業しても、すでにある調理スペースを利用することができるので、新店舗をオープンするよりもはるかに投資を抑えることができます。

新たな時代のニーズに対応し、変化が可能

新たな時代のニーズに対応し、変化が可能

ゴーストレストランの特徴として、従来の飲食店に比べるとさまざまな時代のニーズに沿って変化することが可能です。

人口知能(AI)や機械を使いデータを集めたメニュー開発、調理の自動化、自動運転車を使用した配達の自動化など、最新のテクノロジーを駆使した事業を実現する未来はそう遠くないかもしれません。

ゴーストレストランの需要は意外なところにある可能性もあります。そのひとつが、高齢者向けの宅配食事サービスの市場です。「高齢者向け食品・食事提供サービス等実態調査事業」の調査結果によると、高齢者向けの食品・食事提供サービスの利用決定者は、平均値で見ると本人が29.5%、配偶者が23.2%、子息が32.5%となっています。ここで注目するべきは、本人や配偶者よりも子息がサービスの利用を決定している点です。

ゴーストレストランの利用は高齢者よりも若者に支持されるものと想定されます。そのため、高齢者向けの食事提供ができることを配食サービスの決定権者となる子ども世代にアピールできれば、一気に固定客がつく可能性もあります。今後、間違いなく高齢者が増える時代のなかで、実はゴーストレストランは将来性の高いビジネスと言えるでしょう。

ゴーストレストランの開業方法や手順

開業までの流れ

ゴーストレストランの開業は、以下の手順で進めるのが基本です。

1.食品衛生責任者の資格取得
2.調理場所の確保
3.ネット環境の整備
4.デリバリー代行サービスへの登録

詳細は後述しますが、ここで押さえておきたいのがデリバリー代行サービスへの依頼です。自前で配達員を雇用するよりもコストを抑えられるうえに、広告効果を狙えるというメリットもあるため、Uber Eatsや出前館などの宅配代行サービスへの登録をおすすめします。

必要な資格

ゴーストレストランの開業には、最低でも1名の食品衛生責任者がいなければなりません。資格取得は各都道府県の食品衛生協会が行なう1日程度の講習に参加したうえで修了試験に合格すると取得できます。

また、飲食店営業許可の取得も必要です。保健所に営業許可申請書を提出し、審査を受けて営業許可を得る必要があります。審査基準を満たすための工事費が高額になるケースもあるため、飲食店の居抜き店舗を探したほうがスムーズに許可を得られる可能性が高いです。

キッチンの確保

ゴーストレストランの店舗物件は、周辺3㎞以内の需要を見極めて選ぶのが基本です。住宅街やオフィスが近くにある場所だと注文してもらいやすくなるでしょう。店舗自体は特に目立たせる必要はないので、人通りの多い1階の路面店など、家賃の高い場所を選ぶ必要はありません。

また、ゴーストレストランの経営は、既存店舗のアイドルタイムや営業時間外の調理場を借りて始めるケースもあります。調理器具の使用の可否や食材管理の方法など決めることは多いものの、物件を借りて工事をしなくても良いのがメリットです。

共有キッチンスペースを活用する方法も

ゴーストレストランの開業をさらにローコストで始められるのが、クラウドキッチンと呼ばれる共有キッチンスペースです。1つの空間に複数店舗分のキッチンが並んだ造りになっているのが一般的で、キッチンとデリバリー専用の受け渡しスペースが設けられているのが一般的です。

設備が用意された状態になっているためキッチン設備を新たに用意する必要がなく、登録料と月額利用料の支払いなどだけで済み、50~100万円程度の資金から開業することができます。

ゴーストレストランを成功させるコツ

デリバリーアプリとの連携を強化する

ゴーストレストランにとって、デリバリーアプリとの連携は生命線といっても過言ではありません。アプリ上での露出を高めるために、高品質な商品写真の掲載や、ユーザーレビューへの丁寧な対応、割引クーポンの活用など、アプリ内マーケティングにも注力しましょう。また、アプリ側のデータ分析ツールを活用し、売上傾向や顧客属性などを詳細に分析することで、メニュー改善やプロモーション施策につなげることができます。

オペレーションの効率化

キッチンという限られたスペースで最大限の生産性を発揮するには、調理工程の標準化や自動化を進め、無駄を徹底的に排除することが不可欠です。たとえば、食材の事前仕込みや、調理器具の配置見直し、梱包作業の動線改善など、些細な改善の積み重ねが効率アップに直結します。また、需要予測に基づいた適正な食材発注や、在庫管理の適正化など、バックヤード業務の最適化にも目を配る必要があります。

地域のニーズを反映させたメニュー開発

出店エリアの食文化や地場産品を取り入れたメニュー開発は、地域密着型のゴーストレストランの差別化に重要な要素です。地元の人気店とコラボしたメニューや、地域のお祭りイベントに合わせた期間限定商品の投入など、地域に根差した施策を打ち出すことで、ローカルファンの獲得が期待できます。

また、ニーズとは日々変化していくものです。常に流行の変化を察知して、新しい季節や流行を取り入れていきましょう。

ゴーストレストランの収益性

メリットや開業手順が分かったとしても、収益が振るわないのであれば開業はできないですよね。ここではUber Eatsを利用した際のゴーストレストランの収益例を紹介します。

Uber Eatsを利用した場合の例として、10%のサービス料、150円の配送手数料がかかり、1,000円以上で100円の割引があると仮定して、1,200円の商品が売れた場合の収益構造を考えてみます。

【お客様からUber Eatsに支払われる金額】

・商品価格:1,200円
・サービス料:120円
・配送手数料:150円
・割引:-100円
合計:1,370円(税込)

【Uber Eatsから店舗に支払われる金額】

・商品価格:1,200円
・システム利用料(35%):-420円
・割引:-100円
合計:680円(税込)

御覧の通り、商品価格は1,200円ですが、お客様が払う金額は1,370円、店舗の売上は680円です。つまり、お店側は正味の売上が680円だとしても、1,370円に見合った商品を提供できなければ集客に苦しむ可能性が高いということです。

まとめ

飲食店の開業には1,000万円以上かかるのが一般的ですが、ゴーストレストランは初期費用を大きく下げられるうえに、料理だけで勝負できるのが魅力です。ゴーストレストランを試金石として、軌道に乗ってからイートインスペースのある飲食店開業を目指すこともできます。

また、クラウドキッチンを利用すれば同業者がすぐ近くにいるので、良い刺激にもなるでしょう。ゴーストレストランは、その運営方法のため顔が見えにくく、誰が作っているかわからないといった声があるものの、ホームページや広告などで顔を出してアピールすることも可能です。これから飲食業界にチャレンジをするなら、時代にマッチしていてメリットの多いゴーストレストランの開業をおすすめします。

ゴーストレストランについてのよくある質問

ゴーストレストランは自宅で始められますか?

食品衛生責任者の資格と飲食店営業許可を取得できれば自宅でもゴーストレストランを開業できます。ただし、飲食店営業許可を取得するのは簡単ではありません。内装の基準として、床は水洗いができる素材、壁は耐水性があり床から1mの高さまでコンクリートやタイル張りなどの条件があります。また、匂いがこもらない換気システム、2層式のシンク、店舗用の手洗い場など、設備面も細かい条件があるのでシェアキッチンなどを利用するほうが現実的でしょう。

HACCPという衛生基準ってどんなものですか?

HACCP(ハサップ)とは、製品の安全性を確保するために設けられた衛生管理の手法で、業界団体ごとに細部まで衛生管理が定められています。小規模飲食店の場合、衛生管理計画を策定し、計画に従って衛生管理を行い、実施の結果を確認したうえで記録する必要があります。飲食店経営をするにあたって当然の衛生管理について定められているものなので、特に難しく考えなくても大丈夫です。むしろ、基準が明確になっていることで、これから開業する人にとっては衛生管理のポイントがわかりやすいでしょう。なお、2021年6月から完全施行となり、営業許可申請や更新の際に、衛生管理の状況を保健所の担当者がチェックする予定になっています。

シェアキッチンとクラウドキッチンの違いを教えてください?

シェアキッチンは複数のシェフが1つのキッチンを共有する施設で、イートインスペースという考え方が一般的です。クラウドキッチンは、デリバリーサービスを提供するゴーストレストランの集合体として運営されているデリバリー特化型の施設です。そのため、シェアキッチンは初期コストを抑えて店内飲食ができるお店を開業したい人向け、クラウドキッチンはゴーストレストランを開業したい人向けと言えます。

出前とクラウドキッチンの両方対応するサービスはありますか?

新型コロナウイルスの感染拡大によってゴーストレストランの需要が伸び、従来型の飲食店も次々と参入しています。デリバリーサービス大手の「出前館」では、2020年11月からゴーストレス欄向けにクラウドキッチンを運営しており、売上高を大きく伸ばしています。これまでは、クラウドキッチンとデリバリーサービスは別々に契約しなければなりませんでしたが、出前館がクラウドキッチンを始めたことにより、ワンストップで効率性の高い営業が可能になっています。

ゴーストレストランとは

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