コロナ禍で攻めの出店攻勢! 居酒屋フランチャイズ「大衆酒場あげもんや」の社長を直撃
新型コロナウイルスにより、多くの飲食店が閉店を余儀なくされるなど、“コロナ廃業”が後を絶たない状況が続いています。そんななか、続々と新店をオープンしているのが2019年にフランチャイズ展開を開始したばかりの「大衆酒場あげもんや」。
なぜコロナ禍にオープンラッシュを迎えているのか。開業後の集客は成功しているのか──前回の「大衆酒場あげもんやフランチャイズの強さの理由」に引き続き、ワンズトライン株式会社の山内代表にお聞きしました。
コロナ禍でも続々と出店を続ける「あげもんや」とは
「大衆酒場あげもんや」を運営するワンズトライン株式会社。「大衆酒場あげもんや」は串かつ・天ぷら・とんかつ・カラアゲの4種の揚げ物をメインに、さまざまな揚げ物を取り揃えた、いわば揚げ物の総合デパート的存在です。
2019年には満を持してフランチャイズ展開をスタート。急事態宣言の解除後となる2020年7月には東京・八王子に、翌月の8月には岩手・盛岡市に、9月には三重・四日市市に立て続けにオープンを迎えています。
この記事ではワンズトライン株式会社の山内代表に、「あげもんや」がコロナ禍に続々とオープンし、予想をはるかに超える集客を記録した理由。そして、今後、飲食店はどのようにコロナと付き合っていくべきかお聞きしました。
“食を通じて日本を元気にする”をミッションに2017年にワンズトライン株式会社を設立。アイデアマンとして随所にこだわりを発揮。創業以前から掲げているアジア進出を達成するため、日々奮闘中。
コロナ禍のいまだからこそ、いい立地と人材に出会うチャンス
正直、コロナ禍でのオープンは賛否両論ありますので、批判的な意見もあると思いますし受け入れる覚悟です。ただ、理由としては「経済を動かすために」などと格好いいことではなく、僕たちも会社を機能させないといけないし、「あげもんや」に加盟したい人がいる。そうなったらやるしかないですよね。
コロナに限らず台風や地震による被害が絶えないなど、このご時世いつも危険と隣り合わせなんです。何が起こるか分からないですし、この瞬間何が起こっても不思議ではないんです。
なので、いまの逆境をポジティブに捉えてやっていくしかありません。「逆境をチャンスに」とはよく言いますが、口だけでなく行動に移しているだけなんです。本当これに尽きると思います。
例をあげると、今回のコロナ禍では物件取得費を大幅に抑えられました。2020年7月にオープンした「あげもんや八王子店」は、造作譲渡料(飲食店の居抜き物件に残されている設備や内装を譲り受けるための費用)だけでも通常は500万円ほど必要なんですが、コロナ禍ということで0円になりました。
さらにフリーレントが3ヶ月分付いたり、家賃が大幅に減額されたり、敷金が12ヶ月分から4ヶ月分になったり。去年の12月に同じ物件を見にきたときは、物件取得費だけでトータル1100万円ほどでしたが、コロナ禍に取得したら300万円いかないくらいになっていました。
そうなんです。オーナー様の予算もありますし、コロナ禍じゃないとこの立地でオープンすることはできませんでしたね。
また物件だけでなく採用もチャンスです。コロナの流行とともに、大手の飲食チェーンも含めていろいろな企業で人員の整理に踏み切りましたよね。結果、幹部クラスの人材が求人市場に溢れている。コロナじゃなかったら出会えないような優秀な人材とも出会えるんです。
いい物件といい人材に出会えるのは今しかないんです。コロナが落ち着いて日常に戻ったら出会えません。あとは本部が戦略の部分さえしっかり練っていればお客さまもいらっしゃいます。「コロナだから……」と下を向いてばかりいないで、チャンスに変えないといけないんです。
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コロナ禍にオープンした3店舗すべてが好調をキープ
フランチャイズ1号店の「大衆酒場あげもんや八王子店」は、緊急事態宣言が解除された直後の2020年7月1日のオープンでしたが、予想をはるかに上回る売上を記録しました。
席数は60席で、「あげもんや」のなかでもスタンダードな店舗なんですが、コロナ禍ということを考えて月450万円くらいを売上目標にしていました。でも、蓋を開けてみると開店初日からお店の前に行列ができるだけでなく、終日満席の状態が続いて、初月から600万円も売り上げていました。
そうなんです。東京と大阪という違いはあれど、大阪の店舗は売上350万円で投資回収10ヶ月だったので、本来は350万円でもかなり優秀なんですよ(笑)。
八王子店オープン翌月の8月は、東京都の要請で酒類を提供する都内全域のお店で、営業時間を22時までに短縮するよう発表されたんですが、それでも売上は450万円まで伸びました。その後の9月(9月10日に取材)は、目標を上回る500万円ペースで売上が推移していて、このままの調子をキープできれば、9ヶ月もあれば初期投資の1000万円を回収できそうです。
コロナ禍じゃなかったら、半年以内の投資回収も可能だったのでは?と思えるほど売り上げがついてきている状況です。
正直、直営の4店舗は大阪にあるので、売上シミュレーションに東京の人口の多さを加味できていなかったというのはあります。初の東京出店でしたが、大阪と東京とでは集客のレベルが違うぞって。いい意味で本部も勉強になりました(笑)。
2号店は、オープンの直前に県内で初の新型コロナウイルス感染者が出たこともあり、自粛ムード一色になっており厳しい予想を立てていました。でも、店の前に「大阪ソウルフード」「大阪の本場の串かつ」と大々的に貼り出したら、どんどん噂が広がって、ネットニュースなどにも取り上げていただきました。
そうですね。しかし、事前の告知だけでなく、グランドオープンの8月6日には、元県議会議員を務めるなど岩手県で絶大な人気を誇る「みちのくプロレス」のプロレスラー、ザ・グレート・サスケさんに一日店長をやっていただきました。結果不安を払拭できたのはもちろん、本部としても自信につながりました。
ザ・グレート・サスケさんは岩手ではもっとも有名な方なので、それだけでもPR効果はあるんですが、さらに地元岩手のテレビ局の取材が2本も入って。オープンから認知度を上げることに成功しました。
四日市駅前店は三重県が独自の緊急事態宣言を出していたこともあり、オープン前からお店の周りに人がいなくなっちゃったんです。そんな中でオープン準備を進めていたので、今度こそ厳しいぞ、コロナによる打撃は免れないぞと覚悟していました。
でも、オープンの3週間前から2号店と同じように店先に告知を貼り出していたら、オープン初日から開店前に列ができるくらいお客さまにご来店いただきました。
三重県では、開店祝いの花を“縁起が良い”という理由でお客さまが持ち帰る風習があるんですが、オープンから30分後にはなくなるくらい繁盛しました。これには本当にびっくりしました。
コロナ禍でも「大衆酒場あげもんや」が収益を上げられる理由
まずお伝えしたいのは、たまたま集客できたわけではなく、普段からこういった不測の事態を見据えてできる限りの準備をしてきているからなんです。
たとえば、コロナによって飲食のテイクアウトが流行りましたよね。「あげもんや」でも、以前からテイクアウトに対応していたので、なんの問題もなくテイクアウト需要に対応できましたし、多くのお客さまにお求めいただけました。
出来たての料理をすぐに提供できる外食と、数時間後に食べてもらう想定のテイクアウトでは衛生管理も違いますし、やはり一朝一夕では難しい部分がありますからね。ワンズトラインでは、「あげもんや」を以外に6業態の飲食店を展開しています。
そのうちのひとつが弁当店なんですが、これは「あげもんや」の直営2号店がオープンした次のタイミングで立ち上げており、この弁当店で培ったテイクアウトのノウハウは「あげもんや」に落とし込み済みなんですよ。なので新型コロナウイルスでテイクアウト需要が急激に増えても、特に問題なく対応できていますね。
そうです。ですので、弁当店の展開はワンズトラインにとって必須でした。
あとは、ファミリー層も含めた戦略をしていたのも大きな要因だと思います。「あげもんや」では、子供が好みそうなスイーツ串やとんかつなどはもちろん、店舗によっては射的やスーパーボールすくいを設けているなど、ファミリー層をターゲットにした「あの店にいきたい」と選ばれるための仕組み作りをしています。
もちろんそういった背景もありますが、そもそも4年くらい前に“居酒屋の衰退”や“若者の酒離れ”がメディアで取り上げられました。同時に、ファミレスや牛丼店がちょい飲みメニューを設け、ちょい飲みブームがきていたんです。
こういった非居酒屋業態が居酒屋の領域を攻めてくるんだったら、逆に居酒屋は、ファミリー層も取り込んだ戦略をするべきだと考えたんです。
もちろんです。「あげもんや」はお子様からお年寄りまで、ご家族三世帯が楽しめる、笑顔になれる居酒屋をコンセプトにしているんですが、お子さんは一定以上の量は食べないので、単純に射的などを置いてファミリー層を集客するだけでは客単価を上げるのが難しいんです。
なので、スイーツ串やとんかつなど、子どもが“絶対に”食べたいって思うような、楽しめるものをメニューに取り揃えました。子どもは何かを食べて一回エンジンがつくと、他のも食べはじめるんです。すると客単価も上がりますからね。
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そうですね。コロナ禍とはいえ、人口が減っているわけではないんです。言ってしまうと、いつも人が集まる繁華街などに人がいなくても、住宅街ではみんな普通に生活していますから。コロナだからとはいえ、人の動きや流れを100%止めることはできません。もし、お子さんが「あの店に行きたい」って言ったら行きますよね。
その時に選ばれるお店になるために、普段からしっかり準備しておく必要がある。それをやっているかやっていないかだけなんですが、そもそもノウハウがないと準備をしておくこともできない。
それは目指すべきところですよね。実際、いま街を見渡していただいたら分かると思いますが、お客さんが入っているお店とそうでないお店って顕著ですよね。あれは、普段から選ばれるお店づくりをしていたか、していないかの違いなんです。
これまでも、そして今後もトップ、フランチャイズでいうと本部がきちんと先を見越し、普段から準備しておくことがより重要になってくると考えています。コロナ禍で言うと、現状と向き合い、どうするべきかきちんと考えることですね。
とはいえ、お客さんが来なくなってからメニューをちょっと変えてもなんのPRにもなりません。覚えることだけが増えて結果が出ないとなると、関係者の士気も上がらないですから。まずは不安を払拭してあげられるくらい明確な方向性を示す。それができるかできないかが肝になってくると思います。
取材を終えて
コロナ禍とはいえ守りの姿勢ではなく、攻めの姿勢で出店を続けているのが印象的だった「大衆酒場あげもんや」。むやみに出店しているわけではなく、コロナ以前から不測の事態に備えたお店づくりをしているからこそ為せることなんだと思い知らされました。
しかも、それがきちんと集客につながって結果を出しているだけでなく、想定以上の結果になっているのも印象的でした。コロナ禍でも飲食店に参入したいという方は、逆境をチャンスに変える姿勢を貫く「大衆酒場 あげもんや」へのフランチャイズ加盟を検討してみてはいかがでしょうか。
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