株式会社ディライト・ジャパン 代表取締役川上 健一郎
2015-11-26 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社ディライト・ジャパン 代表取締役 川上 健一郎

多店舗展開を目指したい企業が意識すべき「成功といえる直営(プロトタイプ)」

 このコラムのポイント

自社事業、自店が成功しているという方。1店舗だけでなく複数店舗を経営して収益拡大したいという考えはありませんか?その一手段として「フランチャイズ展開」を考えるお店の方、企業の方もおられると思いますが、そのためには検証用のモデル店舗の存在が不可欠で、新店舗のためのマニュアル化をしておくことも考慮すべきです。

フランチャイズWEBリポート編集部


多店舗展開できるかのカギはプロトタイプモデル(施策店舗)

私はコンサルタントを生業としていますが、毎月約7~10件程度の方から「フランチャイズ業界に参入したい(自社のお店を多店舗展開したい)」と言うご相談を頂きます。(フランチャイズとは、飲食店から不動産、コンビニまで多数の業態で活用される効率的な店舗展開の手法のことです。)

その際に、まずはフランチャイズ化できるかどうか、約200項目程度現在の状況をヒアリングさせて頂く訳ですが、その際に最も重要なポイントとして考えているのが直営店やプロトタイプモデルの状況です。

プロトタイプモデルとは何か。いわゆるフランチャイズ化するにあたっての試作店舗といえばわかりやすいでしょうか?直営店でのノウハウが実際モデル通りに通用するか、結果が再現できるのか?の再現性を検証する場と思って頂ければ良いかと思います。

相談を頂く段階ではプロトタイプの検証をされていない会社がほとんどですので、ほぼ我々がお手伝いさせて頂く中でプロトタイプの検証を実施される本部がほとんどです。

ちなみに聞かれた事がある方もいらっしゃるかとは思いますが、フランチャイズの業界用語で「3SHOP 2YEAR」という言葉があります。これは3店舗を2年間運営する事で再現性を検証するという意味で良く伺う言葉です。

最近では2年未満で展開をスタートするケースの方もありますが、複数店舗で再現性を検証するという事は非常に大切な事だと私は思っています。

フランチャイズ業界は約24兆円の成長マーケットだから活用すべし!?

さて、フランチャイズについて前述していましたが、その市場性について触れておきます。

フランチャイズ業界は、先日日本フランチャイズチェーン協会(以下JFA)が発表された2014年度の調査結果によると日本にあるフランチャイズ本部のチェーン数は1,321。昨年に比べ17チェーンが新しく構築されたことになります。業界売上高も24兆円と成長しています。

ちなみに10年前の2004年が1,088社という事ですので、233社が純増数という事になります。

フランチャイズ業界に関わる私にとっても非常に嬉しいニュースなのですが、フランチャイズの方法で多店舗展開をお考えの方も背中を押される気持ちになるのではないでしょうか。

プロトタイプで確かめたいのは実店舗の「収益力」

ただ、フランチャイズに新規参入をしようとする会社の中には十分に再現性の検証をおこなうことも行わずに多店舗展開を始めたいと言われる事があることも事実です。

直営店にて多くの実績がある本部ならまだ良いかもしれませんが、直営店での実績が少ない本部の場合はこういったケースの場合、検証不足の結果、初期加盟店が苦戦するというケースが見受けられますので気をつけて頂いた方が良いかもしれません。

フランチャイズビジネスで、本部が加盟希望者に求められるのは

・成功率が高く検証されたビジネスモデル
・支障無く運営する為のマニュアル
・効率的、効果的に運営する為のシステムやスケールメリット

その他も色々ありますがざっくりした話をすれば上記の3つを求めています。

したがって、プロトタイプモデルを構築して行く中では、まず、事業の成功要因を明確にし、加盟店が十分な収益をあげられる状態になっているかを検証する事が必要となります。

ここでは、初期投資額が適正なのかどうかから、利益率や利益額等の収益性と単月黒字化までの期間や初期投資の回収期間などの部分も含めて検証して行きます。成功率までを含めた再現性の検証が必要になります。

フランチャイズ展開するならマニュアルづくりは必須

マニュアルやシステム関連については、直営の運営と大きく種類や中身が変わってくるところです。直営展開をして行くのには、開業準備に関するマニュアルなどは必要ないですが、フランチャイズ展開になると右も左もわからない企業が運営に参入するケースがあります。

その為、必要となるマニュアルの整備も大きく変わってくると思って頂いた方が良いかも知れませんね。システム関係も同様です。そう言った部分では、魅力的なフランチャイズビジネスにはプロトタイプモデルの成功というのは必ず必要になって来ると言えるでしょう。

もしフランチャイズ加盟での独立を考える際には、実際にモデルになった店舗を加盟したいと考える本部に伺い、このような成功モデルを再現できるのか質問してみましょう。このような視点も本部選びの一つ条件に加えて頂ければなお良いかと思います。

株式会社ディライト・ジャパン 代表取締役 川上 健一郎

福岡県嘉麻市出身。久留米大学法律学部卒在学中、学費や生活費を全てアルバイト代で捻出するため、株式会社光通信関連企業にて営業職に従事し、そのまま就職。その後家業の造船業を経て、2001年長谷川興産入社。加盟店開発の統括責任者として入社当時の200店舗から800店舗までを牽引。退社後は、コンサルティング会社を経て「日本のフランチャイズビジネスの成功率を10%引き上げます!」をミッションに2008年にディライト・ジャパン設立。現在、全国様々なフランチャイズ本部の本部支援コンサルティングを実施。