エール労務サービス代表 社会保険労務士兼峯 大輔
2015-12-11 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
エール労務サービス代表 社会保険労務士 兼峯 大輔

マイナンバー制度がもたらすメリットとよくあるQ&A

 このコラムのポイント

4回にわたり解説をいただいたマイナンバーもいよいよ最終回の5回目となりました。まだまだ駆け出したばかりのこの制度。総論とともにQ&A形式でマイナンバー制度の今後を見ていきましょう。

フランチャイズWEBリポート編集部


マイナンバーの今後は未知数・・気になるQ&Aにお答えします!

4回にわたりマイナンバー制度の注意点や企業の対応策について書いて参りましたが今後、この制度はどうなるのかということは未知数です。

しかしながら会社としてはきちんと対応することでメリットもあります。今回は総論として今後の展望とよくある質問をまとめてみたいと思います。

マイナンバー制度がもたらすメリット

今回の制度に対する対策は、今後の業務効率を見直すきっかけとなることは間違いありません。この見直す作業の中で長年放置していた問題も浮き彫りになったり、この制度をきっかけに業務のPDCAの仕組みが回り出します。

そうすることで間接部門の経費の見直しや、安全管理体制の見直し、そこから生まれるコンプライアンスの意識の高まりは期待できるでしょう。そうなると対外的な信用力もますことになります。

マイナンバー制度が個人にもたらすメリットとは

では、個人的なメリットとしてはどういうことが挙げられるのか?

1回目のコラムで述べたとおり行政手続きの簡素化が見込まれます。また将来的には(予定では2021年)預金口座とも連動し、さらに医療分野でも活用されることになります。

公平性中立性が保たれて年金の支給漏れのようなミスが減ると予想されます。

直近ではマイナポータルという制度が導入され(予定では2017年)行政機関がマイナンバー(個人番号)の付いた自分の情報を、いつ、どこと、やりとりしたのか確認できるほか、行政機関が保有する自分に関する情報や行政機関から自分に対しての必要なお知らせ情報等を自宅のパソコン等から確認できるものとして整備します。

例えば、各種社会保険料の支払金額や確定申告等を行う際に参考となる情報の入手等が行えるようになる予定です。

また、引越しなどの際の官民横断的な手続のワンストップ化や納税などの決済をキャッシュレスで電子的に行うサービスも検討しています。

なお、なりすましの防止等、情報セキュリティに十分に配慮する必要があることから、マイナポータルを利用する際は、個人番号カードに格納された電子情報とパスワードを組み合わせて確認する公的個人認証を採用し、本人確認を行うための情報としてマイナンバーを用いない仕組みを導入する予定です。

直近のニュースでは管理体制を懸念する声が多いと思いますが、そこを乗り越えると効率化や公平中立な制度としてメリットの方が高いのです。

マイナンバー制度Q&A 

ここでもう一度、内閣府のサイトからよくあるQ&Aをピックアップしてマイナンバー制度の理解を深めてみましょう。

Q1 自分のマイナンバーが何番なのかを確認するにはどうしたらいいですか?

各人のマイナンバーを記載した「通知カード」を平成27年10月以降、市区町村から送付しますので、そこでマイナンバーを確認できます。詳しくは[個人番号に関する質問]をご覧ください。

また、平成28年1月以降、市区町村に申請すると「個人番号カード」の交付を受けることができます。この「個人番号カード」にもマイナンバーが記載されますので、そこでも確認できます。詳しくは[カードに関する質問]をご覧ください。

さらに住民票の写しや住民票記載事項証明書を取得する際、希望すれば、マイナンバーが記載されたものが交付されます。

Q2 マイナンバー(個人番号)は、誰がどのような場面で使うのですか?

国の行政機関や地方公共団体などにおいて、マイナンバーは、社会保障、税、災害対策の分野で利用されることとなります。

このため、国民の皆様には、年金・雇用保険・医療保険の手続、生活保護・児童手当その他福祉の給付、確定申告などの税の手続などで、申請書等にマイナンバーの記載を求められることとなります。

また、税や社会保険の手続きにおいては、事業主や証券会社、保険会社などが個人に代わって手続きを行うこととされている場合もあります。このため、勤務先や証券会社、保険会社などの金融機関にもマイナンバーの提出を求められる場合があります。

なお、行政機関等がどのような場面でマイナンバーを利用するかについては、法律や条例で定められており、それ以外に利用することは禁止されています。

Q3 マイナンバー(個人番号)を記載する必要のある帳票(調書・届出書類)は、いつ頃決まりますか?

社会保障、国税、地方税、防災の各事務に係る関係省令によって、詳細が規定されます。国税に関する帳票などは国税庁のホームページで、社会保障に関する届出書類の様式などは厚生労働省のホームページで公表されます。

●国税庁:http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/mynumberinfo/jyoho.htm 

●厚生労働省:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000063273.html

Q4 従業員や金融機関の顧客などからマイナンバー(個人番号)を取得する際は、どのような手続きが必要ですか?

マイナンバーを取得する際は、本人に利用目的を明示するとともに、他人へのなりすましを防止するために厳格な本人確認を行ってください。

Q5 税や社会保障の関係書類へのマイナンバー(個人番号)の記載にあたり、事業者は従業員等からマイナンバーを取得する必要がありますが、その際、従業員等がマイナンバーの提供を拒んだ場合、どうすればいいですか?

社会保障や税の決められた書類にマイナンバーを記載することは、法令で定められた義務であることを周知し、提供を求めてください。それでも提供を受けられないときは、書類の提出先の機関の指示に従ってください。 

2016年1月から始まるマイナンバーの本格運用。国民全員が知っておくべき制度です

全5回にわたって連載したマイナンバー制度。まだ始まったばかりで、この先どのような問題が発生するかは未知数ですが今後の動向に注目しながら企業として、また個人としても適正かつ冷静な判断が必要です。

エール労務サービス代表 社会保険労務士 兼峯 大輔

福岡出身。平成20年社労士事務所エール労務サービスを開業。平成22年サービスのFC事業に着手。 平成26年専門分野は介護・障害・保育・整骨院などの制度ビジネスのFCのモデル構築。また、社労士の知識を活かした賃金制度や評価制度、助成金のプランニング、労務リスクを回避する経営・労務監査を得意としている。