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2015-12-21 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ 代表
中土井 鉄信 |
教育コンサルタントが斬る!学習塾の「1コマ=90分」授業は利便性が高いか否か?
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このコラムのポイント
個別指導塾でよく見られる「1コマ90分授業」。これはそもそも利用者となる生徒側の事情からすると利便性に優れた授業時間であるのか?という疑問に対して、教育コンサルタントの中土井鉄信氏が解説します。生徒にとっての利便性を追求することが、塾経営者にとっても集客アップにつながるといえますし、塾関係者の方はぜひ一読してみてください。
フランチャイズWEBリポート編集部
学習塾経営のためのコース設計における利便性を知る!
前回は、学習塾におけるコース設計(通塾日数や授業料など)を考えるために塾のスタンダードを知ることが重要であると、お話しました。そして、全国の大手学習塾の設計を平均値化し、何時から何時までの時間帯が有効かということ、塾に1回くるとすれば、どのくらい滞留時間があるかということもお伝えしました。
今回は、もう少し具体的な話に入っていきたいと思います。コース設計における利便性=時間帯と1時限当たりの時間数についてです。
よくある「1コマ=90分」は利便性を追求できないコース設計である
数多くある個別指導塾のコース設計は、大概「1コマ90分・月4回授業(年48回)」という枠組みです。実はこの設計、私に言わせれば、全く工夫のない安直なものです。そして、この設計では、利便性を追求できません。今回は、その理由を前回の平均値から導き出される数値で、検証したいと思います。
1コマ=90分の弊害その1―週時間を最大化できない―
前回の大手塾の平均データでは、1日の滞留時間は、小学生は約110~120分、中学生は140分~150分でした。となると、1コマ90分授業の場合、1日に2コマを受講しようとすると授業時間が180分になり、平均的な滞留時間を大きく超えてしまいます。
よって1日2コマ受講はほぼ不可能になるのです。実際、1コマ90分授業の個別指導塾では、1日2コマを受講している生徒は、受験学年を除けばほとんどいないのではないでしょうか。
加えて通塾日数の問題があります。小学生は平均週2日、中1・2年は平均週2日です。よって、週に最大2コマ・2教科しか受講できないことになります。5教科取れないということです。これでは、公立高校受験を目指す生徒には、魅力がありません。
1コマ=90分の弊害その2―死にコマが発生する―
小学生の開始時刻の平均は、おおよそ開始が16時50分前後、終了時刻が18時40分、中学生は開始が19時15分前後、終了時刻が21時40分前後でした。この時間帯が、生徒が通塾するにはベストだと、前回挙げたデータは示しています。
そこで、大手FCチェーン塾の平日の時間帯で見ていきましょう。1コマ90分、各コマの間(休憩)は、原則ありません。「1:17時00分~18時30分」、「2:18時30分~20時00分」、「3:20時00分~21時30分」となります。小学生は、主に1の時間帯に来ます。その後の2、3の時間帯に中学生を呼びたいのですが、2のスタートの18時30分という時間が、中学生の開始時間としては少し早いのです。部活動をやっている生徒は、なかなか来られない時間帯です。よって3の時間帯に中学生が集中し、2が死にコマ(生徒数が極端に低い)となる可能性があるのです。
コース設計の中の時間帯は、生徒獲得のための非常に重要な要素です。1コマ=90分が本当にいいのかどうか簡単には決められないのです。
今年は、この号で最後です。皆さん、良いお年を!