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2016-02-12 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社ディー・アイ・コンサルタンツ 取締役社長
榎本篤史 |
日本の人口動向から読み解く!集客に効果的なエリアの見つけ方
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このコラムのポイント
店舗を開業後になると、「人がなかなか集まらない」と言ってすぐに店舗の場所を変更することは難しいと思います。それではその前に、人が集まるところというところに当たりをつけておかねばなりません。 そのためには「国勢調査」と「経済センサス-事業所統計調査」などのデータが読み解くのに効果的ですが、具体的にどう読み取ればいいのか?経営コンサルタントの榎本篤史氏に解説いただきました。
フランチャイズWEBリポート編集部
店舗展開・運営に欠かせない必須データ!「国勢調査」と「経済センサス-事業所統計調査」とは
昨今、人口の減少や少子高齢化など、流通業(ここでは外食・小売・サービス業を指す)を取り巻く環境が大きく変化しています。とはいっても、目に見えて人口が減少している訳ではないので、あまり実感がないかもしれません。しかし、数値をひも解いていくと、現状の日本という国の市場性や、将来の懸念などが垣間見えてきます。
この日本という国で店舗展開、店舗運営されるフランチャイズオーナーの皆さんに、日本の国土の特徴と市場性についてご理解頂こうと思います。
日本における代表的な調査として、5年に1度行われる「国勢調査」があります。
国勢調査の役割として、以下の3点が挙げられています。
1.公正な行政運営の基礎を成す情報基盤
2.国民や企業の活動を支える情報基盤
3.公的統計の作成・推計の為の情報基盤
これらの結果は、福祉施策や生活環境整備、災害対策など、日本の未来をつくるために欠かせない様々な施策の計画策定に利用されています。
それではこの国勢調査で、どんなことが分かるのでしょうか。
日本の人口及び増減率の推移
市区町村別人口増減率
年齢3区分別人口の推移
人口ピラミッド
一般世帯の家族類型別割合の推移
産業(大分類)別15歳以上就業者の割合
など、国内の人口、世帯、産業構造等が取得、集計され、公表されています。
(両図の出所:国税調査2015)
その他、我が国における事業所及び企業の産業、従業者規模等の基本的構造を明らかにする「経済センサス-事業所統計調査」などが我が国を数値で把握する上での代表的な調査となります。
人口集中地区とは?そこから読み取れる日本の国土と市場性
ここから、我が国の国土と市場性の特徴を知るために、総人口と人口集中地区に着目して話を進めていきたいと思います。
ちなみに人口集中地区(DIDという通称アリ)とは、市区町村の区域内で人口密度が4,000人/km²以上の基本単位区が、互いに隣接して人口が5,000人以上となる地区に設定されます。これは都市としての市街地の規模を示す指標として使われています。
1.人口集中地区に住んでいる人の割合は67.3%
人口集中地区に居住する人口は86,121,462人。我が国の総人口(128,057,352人)の67.3%が人口集中地区に居住しています。
一方、我が国の人口集中地区面積は、新潟県の面積にほぼ等しい12,744キロ平方メートルで、国土総面積(377,907キロ平方メートル)の3.4%程度です。つまり、人口の約7割が新潟県の面積に住んでいるということです。
2.人口集中特区では5年間で、人口が2%&面積が1.5%それぞれアップ
2010年の人口集中地区人口は179万人。2005年と比較すると率にして2%上昇。同時に人口集中地区の面積は、2005年と比較して184キロ平方メートル拡大し、率にして1.5%上昇しています。
3.東京・大阪・神奈川では人口集中地区に住む人が9割を占めている
東京都、大阪府、神奈川県では、人口の9割以上が人口集中地区に居住しています。
その割合をみると、東京都が98.2%と最も高く、続いて大阪府の95.8%、神奈川県の94.2%となっています。
4.人口集中地区は東京都特別区、大阪市、名古屋市など11市
人口集中地区が100万人以上の市は11市あります。
市町村別にみると、人口集中地区人口が100万人を越えるのは、東京都特別区部(895万人)、横浜市(359万人)、大阪市(267万人)、名古屋市(222万人)、札幌市(185万人)、神戸市(144万人)、川崎市(142万人)、福岡市(141万人)京都市(140万人)、さいたま市(113万人)、広島市(101万人)となっています。
5.人口集中地区内での人口増加。特定エリアでの人口集中が進行している
人口集中地区人口100万人以上の都市は、人口の増加傾向が顕著で、まさに人口の集中が進んでいるといえます。
顧客獲得には「人が集まる場所」の理解はかかせません(出店前に理解を!)
基本的にお店の売上は、その地域に居住する、もしくはその地域に何かしらの用事があって流入する人達によって支えられています。
日本の国土の特徴として、人口は特定の地域に大きく偏っています。したがって、出店に適した商圏も、必然的に偏りがあるということです。出店にはとても多額の投資が必要です。
また、いざ出店して売上が悪かったとしても、そう簡単にお店を移動する事はできません。出店をする前に、十分にその地域を理解し、人口の裏付けを持った上で、出店を慎重に判断してください。