株式会社ディー・アイ・コンサルタンツ 取締役社長榎本篤史
2016-03-03 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社ディー・アイ・コンサルタンツ 取締役社長 榎本篤史

多店舗展開で成功している企業はここが違う!売上UPのための「商圏」の規模と性質

 このコラムのポイント

店舗経営者の方、これから開業をお考えの方。商圏と立地の違いは明確に説明できますか?このコラムでは両者の違い、効果的な出店戦略を練るための市場規模のはかり方、エリアの性質を見極める重要性について解説しています。コンビニ業界トップクラスの出店戦略をほこるセブン-イレブンの事例にもご注目を。

フランチャイズWEBリポート編集部


「立地」と「商圏」の違いをそれぞれまずは定義づけ

前回、日本の市場はとても限定的であり、人口の多いエリアを選んで出店する事が望ましいというお話を致しました。今回はもう少し踏み込んで、商圏についてお話します。

まずは前提として、私が代表を務めるディー・アイ・コンサルタンツが定義する立地と商圏について簡単にご説明致します。まず立地とは、店舗を中心とした狭域での事象を指します。一方、商圏とは店舗を中心としたやや広域での事象を指します。

さらに、立地と商圏の大項目の下に、それぞれ5つのカテゴリーを作り、店舗の力を数値で把握する事が重要です。

今回は商圏について踏み込んだ説明します。特に上図にあるマーケット規模は、店舗の売上を左右する、最も重要な指標です。

基本的に店舗の売上は、このマーケット規模(昼間流入者、居住者)以上に獲得する事はありません。つまり、商圏の人口量が、その店舗の最大ポテンシャルといえます。従って、ポテンシャルが大きく、可能性が高い人口量の多い地域に出店する事が重要になります。

マーケット規模をはかるのに有効な「昼間夜間の人口総数&小売販売額」

それでは、マーケット規模を考えるとき、どのようなデータに注目すべきでしょうか。まずはシンプルに人の量を表す昼間人口総数や夜間人口総数をみてみましょう。そのエリアの潜在性を知ることができます。

同時に、そのエリアにおける年間の小売販売額にも注目するとよいでしょう。
人口が潜在的であるのに対し、小売販売額は実際に使われているお金の量なので、顕在的です。どのくらいの人が居て、どのくらいのお金が使われているか。エリアのボリュームを測る指標になります。

コンビニ業界王者「セブン-イレブン」の強さの秘密は出店戦略にアリ

ここでマーケット規模の重要性を再確認する為に、他社の事例をみてみましょう。
セブン-イレブンはなぜ強いのか?

<出所:ディー・アイ・コンサルタンツ調べ>

上表をみると、店舗数ならびに平均日販共に、セブン-イレブンが他社を圧倒しています。その強さの秘訣は色々とありますが、今回は出店戦略に注目したいと思います。

このグラフは横軸がマーケット規模で、縦軸がセブン-イレブンの店舗数です。

グラフをみると、セブン-イレブンがいかにマーケット規模の大きなエリアに出店を集中しているかがよく分かります。この辺りの徹底力がセブン-イレブンの強さの一つだと思います。

マーケット規模にプラスしてエリアタイプの把握も重要

このように店舗(物件)の売上を決めるのは、周辺のマーケット規模です。もう一つ注意しておきたい点は、そのエリアがどのような性質かという事。

例えば、昼間流入度の高いオフィスタイプや商業タイプ、夜間人口の多い住宅タイプなどが挙げられます。このタイプによって、売上が取れる時間や商品が大きく異なります。

どのようなお客様が、どのような商品を、どのような時間帯に・・・お客様の利用シーンを把握する上では重要です。

店舗(物件)の周辺にはどのくらいの人がいるのか?そこはどのような性質のエリアなのか?
店舗の売上を左右するのは、まず商圏の量と質といえるでしょう。

株式会社ディー・アイ・コンサルタンツ 取締役社長 榎本篤史

2003年ディー・アイ・コンサルタンツ入社。小売業、外食、サービス業、生活関連サービス・娯楽業など、流通全般の成長支援プロジェクトに参画。クライアント企業との協働作業により、戦略の立案および実行を支援。クライアント企業との長期的な信頼関係の構築を重視している。2014年より現職。