株式会社ディー・アイ・コンサルタンツ 取締役社長榎本篤史
2016-04-01 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社ディー・アイ・コンサルタンツ 取締役社長 榎本篤史

フランチャイズ業界者も注目!競合店に負けないための「売上を数値化する10の要素」

 このコラムのポイント

日本における人口の6割強が特定のエリアに集中している、高齢化が進行しているという傾向にある今、こうした世のニーズに対応した店舗を作ること、そして繁盛店になるために競合調査を欠かさないこと。こちらが必須であることに違いありませんが、そもそも売上に係る要因としては具体的にどのようなものがあるのか?というポイントについて解説されたコラムです。

フランチャイズWEBリポート編集部


日本の購買行動に影響する「人口集中地区に住む層の増加」と「高齢化」

前回までのコラムで、商圏の重要性をご説明しました。

日本の人口は約1億2,800万人。その中で、人口集中地区に住んでいる人が約8,600万人。全人口の約67%が人口集中地区に住んでいます。日本の国土における人口集中地区の割合が約3,4%。

つまり日本という国は、国土の3.4%に67%の人が集中して住んでいるという計算に。すると、店舗を出店できる場所もおのずと限定的になります。そんな中、現在日本の人口は減少傾向にあるのです。単に減少しているだけでなく、その質も変化しています。

65歳以上人口が増加していると同時に、生産年齢人口といわれる15歳~64歳の人口構成比が下がっています。このことにより、日本の購買行動にも変化が現れることになります。

私が取締役を務めるディー・アイ・コンサルタンツでは主に飲食店、小売店、各種サービス提供店など、店舗をチェーン展開している企業にコンサルティングサービスを提供していますが、その中で飲食店一つを取っても、日本中に約67万店、そこで働く人の数は約440万人にも上ります。毎年多くの店舗が出店され、多くの店舗が閉店します。

店舗で起こっているお客様の購買行動(=事実)を数値化し、この事実と論理の積み重ねで、短期間で閉店せざるを得ない店舗を少しでも減らしたい―店舗を利用するお客様の利便性を高め、そこで働く従業員の幸せを実現するような、強い競争力を持った企業が増えることを私は経営コンサルタントとして願っています。

売上を構成する要素は様々だが「立地」と「商圏」はまず失敗できない

それでは、強い競争力を持った企業とは何でしょうか?

限られた出店エリアの中で、どの部分で競合優位性を発揮すべきか。店舗の売上を構成する要素は多岐に及びます。我々は立地と商圏に着目し、店舗の売上をいかに説明するかを試みています。もちろん、売上を構成する要素は多岐に及び、立地や商圏だけでなく、商品や価格、接客や店舗の雰囲気など、挙げればきりがありません

売上の構成要素が、全て高水準であることが望ましいのです、出店後のトライアンドエラーで徐々に精度を高めていくことも可能です。しかし、一度その場所に出店してしまえば、おいそれと他所に移動することはできません。だからこそ優秀な店舗を出店するために、立地と商圏を見誤るわけにはいかないのです。

売上要素を数値化するための10の要素。競合と比較を!

下図は我々が店舗の売上要因を数値化する際に活用する、立地・商圏のフレームです。
それでは、今回のテーマである『競合』とはなんでしょうか?

我々は競合を代替性と定義しています。競合と一口にいっても多種多様ですが、一番大きな競合は同業種であり、その意味からすると、自社競合が一番の競合であると考えられます。特にフランチャイズ展開している場合、自社競合に悩んでいる企業を多く見受けます。

売上要因を数値化するための10の要素は一つひとつが独立した項目ですが、つまるところ競合と比較して自社がどういう状況にあるか、が重要になります。

競合と比較して、自店は顧客誘導施設の近くにあるか?
競合と比較して、自店の認知性はどうか?
競合と比較して、自店の建物構造はどうか?
競合と比較して、自店の入りやすさ(アプローチ)はどうか?
競合と比較して、自店はマーケット規模の大きなエリアにあるか?
競合と比較して、自店は通行量・交通量の多い場所にあるか?
など

自店ばかり観察していても、なかなか課題は見えてきません。自店の近くの競合を観察し、自店と比較することで、本当の課題が見えてくることもあります。判断基準は『競合と比較してどういう状況にあるか。』是非周辺の競合をじっくり観察して下さい。

株式会社ディー・アイ・コンサルタンツ 取締役社長 榎本篤史

2003年ディー・アイ・コンサルタンツ入社。小売業、外食、サービス業、生活関連サービス・娯楽業など、流通全般の成長支援プロジェクトに参画。クライアント企業との協働作業により、戦略の立案および実行を支援。クライアント企業との長期的な信頼関係の構築を重視している。2014年より現職。