株式会社ディー・アイ・コンサルタンツ 取締役社長榎本篤史
2016-05-09 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社ディー・アイ・コンサルタンツ 取締役社長 榎本篤史

あなたのお店入りづらくないですか?繁盛店をつくるための集客改善ポイント

 このコラムのポイント

「集客力を上げたい!」という店舗経営者様。すでに開店しているお店の立地を変えることは難しくても、まだまだ改善できるポイントがあります。「なんとなくあのお店入りづらいんだよな・・」と思っているお客様の気持ちを取り除くこと、お店の認知性を高めること―この対策法についてまとめられたコラムです。

フランチャイズWEBリポート編集部


売上を形づくる商圏・立地要因はトライ&エラーで解決しにくい問題である

「売上を左右するものは何でしょうか?」

私が講演やセミナーで、参加者の皆さんによく問いかける質問です。
読者の皆さんは何を想像されますか?

商品、価格、接客、店舗の雰囲気・・・など挙げればきりがありません。
そのくらい『店舗の売上』というのは様々な要因によって構成されています。

私の会社(株式会社ディー・アイ・コンサルタンツ)では、立地と商圏から、店舗展開の戦略を考え、店舗の未来を推し量ることで、クライアント企業にコンサルティングサービスを提供しています。

前述の商品や価格、接客や店舗の雰囲気は、出店後のトライアンドエラーでその精度を高めていくことが可能です。しかし、一度その場所に出店してしまえば、おいそれと他所に移動することはできません。全国に直営で店舗展開している企業であれば、スクラップアンドビルドでより売れる立地への移動が可能かもしれません。

しかしながら、個人でフランチャイズに加盟しているオーナーのみなさんは、そう簡単にスクラップすることも、新たにビルドすることも難しいといえるでしょう。それだけ出店には多額の投資が必要です。だからこそ、立地と商圏を見誤るわけにはいかないのです。

周辺人口は?競合に勝っている点・劣っている点は?

私が執筆したコラム『フランチャイズ業界者も注目!競合店に負けないための「売上を数値化する10の要素」』でも解説したように、日本人はある地域に偏って居住している傾向にあります。

みなさんが出店しているエリアの人口、これが店舗を利用する可能性がある最大ポテンシャルといえます(流入人口も含む)。売上すべてのベースは、周辺エリアにどのくらいの人がいるか(流入、居住ともに)です。

この最大ポテンシャルに対して、競合の有無や多寡、立地条件の優劣、河川や幹線、線路等の分断要素などの阻害要因によって、この最大ポテンシャルが少しずつ削られていきます。

現在の皆さんの店舗売上は、商圏-(競合+立地条件などの阻害要素)の結果です。従って、出店を検討する際、最低限出店候補地の周辺にどのくらいの人口がいるかを確認する必要があります。次いで、直接的、間接的競合がどのくらいあるのか?それら競合にどこが勝っていて、どこが劣っているのか?を注意深く観察します。

例えば、自店よりも競合の方が駐車場台数が多いとか、自店の方が競合よりも人が集中する駅に近いとか。基本的には人口が多く、競合優勢の保てる(立地的に)場所への出店が望ましいといえます。

既に出店している方が改善できるのは「認知性」と「アプローチ(店舗への入りやすさ)」

それでは既に出店している場合はどのように考えるべきでしょうか。
人口の多寡や顧客誘導施設の有無は人為的に改善することは不可能です。『フランチャイズ業界者も注目!競合店に負けないための「売上を数値化する10の要素」』でも解説したように、人為的に改善可能な項目は、認知性やアプローチ。

認知性は視界性と周知性に分類され、視界性は『(店舗や看板が)見える・見えない』、周知性は『(店舗を)知っている・知らない』を指します。

またアプローチは『(店舗や付随する駐車場への)入りやすさ・入りにくさ』を指します。この両要因ともに、ちょっとした工夫で今よりも改善することが可能です。みなさんの店舗の看板は、ちゃんと歩行者に見えていますか?

店舗の存在をきちんとアピールできているでしょうか?また、みなさんの店舗は地域住民に認知されているでしょうか?エリアでの自店の認知度を測る方法として、自店の目の前で歩行者にアンケートする方法をおすすめします。

伺う内容はシンプル。『この周辺で○○という○○屋をご存じですか?』道に迷ったふりをして歩行者に聞いてみて下さい。自店の目の前で聞いて、はたしてどのくらいの認知度でしょうか。

万が一認知度が低かったとして、これはチャンスです。知られていないのなら、知らせればいいのです。看板にもさまざまな種類があり、みなさんの工夫で店舗の認知を高めることは可能です。

店舗の入りやすさは心理的障害と物理的障害の排除で改善される

みなさんの店舗は入りやすいですか?

来店を阻害するアプローチの障害として、心理的なものと物理的なものの二つが存在します。心理的な障害は『何となく入りにくいお店』。地下や二階にあって、店内の様子がわからず、せっかくのチャンスを逃していませんか。

物理的な障害は、店舗前の駐輪自転車(最近は駐輪場が整備され、減りつつありますが)。これは入りたくても入れない、物理的障害の典型例です。この心理的障害や物理的障害を取り除くことも、店舗オーナーの重要な仕事だといえます。

みなさんの店舗(看板)はちゃんとアピールできていますか?
みなさんの店舗は入りやすいですか?

株式会社ディー・アイ・コンサルタンツ 取締役社長 榎本篤史

2003年ディー・アイ・コンサルタンツ入社。小売業、外食、サービス業、生活関連サービス・娯楽業など、流通全般の成長支援プロジェクトに参画。クライアント企業との協働作業により、戦略の立案および実行を支援。クライアント企業との長期的な信頼関係の構築を重視している。2014年より現職。