2016-03-01 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
一般社団法人キャリア35 理事
土川 雅代 |
先輩ママ起業家がアドバイス。起業成功の秘訣と失敗しないためのコツ
このコラムのポイント
近年、子育てしながら起業ライフを両立させる「ママ起業家」と呼ばれる女性が増えてきています。起業後数年後までの意識の仕方、どのように開業するのか、夫の扶養に入るのか・・。 自身もママ起業家として活躍しながら、女性の起業支援活動もしている土川雅代氏に解説いただきました。
フランチャイズWEBリポート編集部
仕事と家庭の両立をはかりたい女性に「起業のいろは」伝えます
こんにちは!女性起業の支援グループである一般社団法人キャリア35の理事、土川雅代です。
今回は、「子育て中の起業」について、お伝えさせていただけたらと思います。
私自身も、2012年3月に出産し来月4歳になる男児の母です。実際、私たちキャリア35のセミナーに参加される方や、ご相談に訪れていただく方は、小さなお子さんを抱えているお母さんが多いのも事実です。
子育てをしながら正社員として企業で働くことの限界や苦しさ、そして「仕事と家族の両立」を、子供ができてから真剣に考える女性が多いからだと思います。
ママ起業家がおさえたい。起業で成功するための3つのポイント
これから起業! とお考えの「子育て中の女性」たちに、押さえておいていただきたいポイントが3つあります。参考にしてみてくださいね。
1.半年後、1年後、3年後、5年後……。自分の事業と子供の成長をイメージしてみる
具体的に、現在から一年刻みで、自分の事業イメージと、子供(家族)が何歳になり、どのようなことが起こりうるか、紙に時系列で書き出してみるといいでしょう。
もちろん、書いたことがそのまますんなりいくとは限りませんが、まずは自分で見通しをつけることが大事です。
事業を始めるということは、「自分の子供をもう一人この世に送り出すことと同じ」です。安易に始めて、安易に終わらせてしまうことを避けるために、ぜひ具体的にイメージをしてみてください。
うまく書けない、イメージが描けないという方は、専門家に相談することをおすすめしますよ。イメージができないことは実現しにくいですからね。
2.個人事業主か法人か、夫の扶養の範囲内か否か
ここも、始める前段階で明確にしておくことをおすすめします。
個人事業主であれば、開業届を出すだけで、明日からでも開業することができます。
マイナンバー制度が始まりましたので、今までは開業届を出さなくても、扶養の範囲内で、少額を得て仕事をしていた人も多かったかもしれませんが、企業が税務署に支払いのあった個人の氏名や住所、マイナンバーを報告する義務が発生しましたので、個々人が企業からいくら収入を得ているかがわかるようになります。
たとえば、「子供が小学校に上がるまでは、個人事業主として月○○万円の売り上げを目標とし、子供が小学校に上がったら、仕事にもっと力を入れたいので、法人成りする」という目標を立ててみるのもいいかもしれません。
法人化した際に、夫の扶養から外れて、自分で社会保険を払うなど夫と相談してもいいでしょう。
子育て中起業には、配偶者や家族の理解も必要になってきますし、家族の未来を夫婦でイメージし、ビジョンを共有する必要があります。
これをないがしろにしていると、「ビジネスは軌道に乗ってきたのに、家族の関係がボロボロに」という悲惨な結末を迎える可能性も、残念ながら出てきます。
目標を決めれば、仕事のやりがいも出てきますので、始める前に「個人事業主か法人か」「夫の扶養の範囲内か否か」、どのタイミングで変更するかなど、決めておくといいでしょう。
実際、私の周囲の人を見ていても、この部分を曖昧にしている人は、結局ビジネスがうまく軌道に乗っていないと感じます。腹をくくる、という意味合いもありますが、仕事に対しての本気度が見え隠れしますね。
3.自宅開業するか、場所を借りるか
自宅開業をすると移動時間も削減できますし、子育ての空き時間に仕事ができるというメリットもあります。ただ注意しておいていただきたい点がいくつかあります。
まずは、「仕事とプライベートの区切りがなくなり、だらだら過ごしてしまいがちな点」。自宅と職場が一緒になってしまうと、うまく切り替えができないことも多くなります。
とくに小さな子供と一緒にいると、自分のペースで活動することが難しくなりますので、つい、やろうと決めていたことが伸ばし伸ばしになってしまったり、締め切りがないと惰性が働き、ズルズルと先延ばしになってしまうことも増える可能性があります。
また、自宅を使ってご相談や施術など、お客様を呼ぶようなお仕事をする場合には、住居用の賃貸物件だと開業禁止、不特定多数の人を呼べませんので、お住まいの賃貸契約書をきちんと読み返してみる、また分譲マンションでも住居用のものはマンション内で商売はできませんから注意しましょう。
自宅の住所を不特定多数の人に開示したくない場合は、レンタルオフィスと契約し、そちらに郵便物など届けてもらう方法もありますよ。
ママ起業するときの「職種の選び方」
さて、「起業をしよう!」と思い立っても、「なにを商売にすればいいかわからない」という人も多いかもしれません。
特殊技能がない場合や、今まで積み上げてきたビジネスキャリア以外のことで起業したいという人は、「自分の周りやネット情報から、子育て起業をしている人を参考にしてみる」「自分が昔からやりたかったことや趣味で取り組んでいたことが仕事にできないか考えてみる」「時間の融通が利く職種を選択する」など、考えてみてください。
例えば、趣味でイラストを描いていた人は、子育ての空き時間にオーダーされたイラストを描くことで収入を得ることもできるはずです(ちなみに子供を産んでから、趣味で描いていたイラストで収入を得ている知人を2人、私は知っています)。
創業する人に嬉しい、「助成金」「補助金」について
簡単に、「助成金」と「補助金」についてお伝えしますと、どちらも後払いになりますので、例えば、一戸建ての自宅を改装してパン教室をやりたいと考えたときに、300万円の改装費がかかる場合、まずは自己負担で300万円を支払い、「助成金」で後から100万円をもらう、という形になります。そのため、元手が全くないという人は受けることができないので注意が必要です。
「助成金」は受けるための資格要件を満たせば、ほぼ受けることができ、返済が不要です。「補助金」は予算枠があるため、自分自身の事業を書類上でアピールし、補助金を勝ち取る必要があります。
「助成金」も「補助金」も、自分は該当するのかどうかわからない、また書類作成が難しい……という方はぜひ専門家にご相談ください。
「創業補助金」や「小規模事業者持続化補助金」(ホームページ、ちらし作成などの販路拡大でもらえるもの)など、女性が起業するときに、「多少の貯金はあるけれど、貯金の全部をつぎ込むのはなあ……」というときや、「少し足りない!」というときには、返却不要の補助金はとても役立ちますので、前向きに検討されてみてくださいね。
子供が生まれ、学校に通い始めると学費は大きな出費となります。自分自身の事業も大事ですが、子供が希望することをやらせてあげるためには、現実的にお金が必要になります。助成金や補助金の対象であれば、上手に活用する方法も、賢い子育て起業の一つだと言えますね!