2017-04-12 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
一般社団法人キャリア35 理事
土川 雅代 |
春だからこそ起業計画を!年間スケジュールを作って夢を実現へ!
このコラムのポイント
『為せば成る 為さねば成らぬ 何事も…』とはよく言ったもので、「起業したいのになぁ」と漠然と思っているだけでは始まりません。とは言え… 女性が起業の夢を叶えようとすると、男性以上にリスクを抱えなくてはならないのが現実です。「でも、諦めたくない…」この気持ちを、この春、大切に育ててほしい。今回のコラムでは、そんな女性たちの起業を支援してきたキャリア35の土川氏が、起業の夢を前進させるための具体策を伝授します。
フランチャイズWEBリポート編集部
こんにちは! 女性のローリスク起業を支援する「一般社団法人キャリア35」理事、土川雅代です。
1年の中でもこの季節は、会社勤めをされている方なら、異動や転勤などなにかと動きが多い時期ですよね。桜の季節になると、そわそわワクワクする。そんな人も多いのではないでしょうか?
世の中の人たちが動く時期ですから、起業を考える方にとっても、「去年起業しようと思っていたのに結局まだ動けていない」「今年こそ起業を!」と気持ちを新たにする時期かと思います。
起業を目指す方なら、無計画にいきなり起業をしよう、という人はいないはず。事業計画を書かないまでもなんらかの長期的、中期的な目標設定をされることでしょう。
今回のコラムでは、起業するにあたり必要な計画設計についてアドバイスをしていきます。
法人を設立するなら「期間」を念頭に
まずご自身の目標設定をする前に、時間がかかりそうだと感じるものは事前に調べておきましょう。
例えば、株式会社を設立したいと考えている場合、行動を始めてから最短で何日で法人設立ができるか、です。
定款(会社設立の際に必ず必要になる会社の根本規則)を作成する際には、商号、本店所在地、目的、資本金額、営業年度などを決める必要があります。
現在、株式会社は代表取締役1人で設立できますので、自分一人で株式会社設立は可能です。
定款を作成し、公証役場で定款を認証してもらう必要があります。そして資本金を所定の銀行口座に振り込む、設立登記に関する書類を作成、法務局に登記申請をし、そこから3~10日程度で登記が完了します。同日にできることもあるため、定款がきちんとできているのであれば、最短1日で株式会社設立は可能ですが、書類作成などをプロに任せるとしても、1週間~2週間は見積もっておいていただきたいですね。
しかし、これがNPO法人(特定非営利活動法人)となると話は別。
所轄庁の審査などがあり、4か月以上かかります。もしNPO法人を、と考えるなら半年ほどは期間を見ておいたほうがいいと言えるでしょう。
他にも業種によっては許可や届出が必要な業種もあります。許可申請をしたあとに、許可が下りるまで、1か月程度のものもあれば4か月以上かかるものもあるので、時間を無駄にしないためにもやりたいことに付随するであろう業務は早めに洗い出しておきましょう。
事業計画書は作らなければならないもの?
キャリア35、楊 典子さんのコラムにもありますが、事業計画書は目標に向かって進むための航路図のようなものです。
また、以下の準備の際には、事業計画書は大変重要です。
1. 融資申込み
2. 手続きの円滑化(店舗契約、口座開設など)
3. 取引先開拓(仕入先、販売先、事業パートナー)
4. 従業員募集
5. 販促資料の基礎資料(会社案内、チラシ、HPなど)
6. 補助金申請のベースづくり
創業時に事業計画書があるとスムーズにいくことも多いですし、融資や補助金申請をお考えの方はぜひ事業計画書は作っていただいたほうが良いでしょう。
事業計画書の決まった形はありませんが、下記の内容を記載することが通常です。
①事業の意義(WHY?)
②ビジネスモデル(WHAT? WHOM? HOW TO?)
③事業の体制(WHO?)
④資金計画(HOW MUCH?)
⑤実施スケジュール(WHEN?)
これから一年の計画の立て方
〜タイムリミットを決めることで自分を鼓舞させる〜
「事業計画書なんて、難しそうでやはり無理…」という方、「融資や補助金申請は考えていません」という方は、まずは1年間のアクションプランを考えてみてください。
ここで重要なのは「期限を定めること」。起業したいと思っていても、期限を決めなければつい先延ばしになってしまいますし、期限を定めることでモチベーションを下げない効果もあります。
まずは、小さな目標リストを作ってみる
キャリア35でオススメしたいのは「小さな目標リスト」作成。
たとえば、
2017年4月4日 仕事用のブログを開設する
2017年5月1日 名刺を作成する
2017年6月1日 チラシ作成をする
:
2017年12月12日 開業届を出す …etc.
今から1年以内に起業すると想定し、その間になにをするか、日にちを決めて事細かに書き出してみてください。
書いているうちに「名刺を作るなら仕事用の新しいメールアドレスが必要だな」とか「チラシを作るなら先に事務所を借りておかなければ住所が出せないな」などの気づきもあるでしょう。
自分自身でタスクを1つずつこなすことでモチベーションも上がっていきますので、「小さな目標リスト」はオススメです。
キャリア35が推奨する「ローリスク起業」
私たちキャリア35は、あらかじめ想定されるリスクを極力回避しながら、仕事と暮らしのバランスを整え、ゆっくり起業準備を始める「ローリスク起業」を提唱しています。
また、私たちはそのプランのことを「ローリープラン」と名付け、3年かけてゆっくりと起業準備をし、開業後はすぐにうまく事業が回っていくプラン作りのサポートを行っています。
キャリア35が推奨する「ローリープラン」とは
1年目 … 給料を得ながら起業準備
2年目 … コストをかけずに実務経験
3年目 … 週末起業で「強み」作り
4年目 … 独立開業
このような手順を踏み、お勤めや家庭生活を今までのように続けながら、少しずつ起業準備をするやり方です。
今ではインターネットも発達していますから、情報収集をするのも昔と比べて比較的容易になりましたし、ブログやインスタグラム、ツイッターなどで情報発信をドンドン行うことも可能です。
焦って起業をするよりも、このように期限を定めてローリスク起業を選択することで、気持ちも落ち着きますし、その間に資金作りに励んだり、人脈作りに勤しんだり、さまざまなことに時間を割くことができます。
せっかく事業を始めるのですから、それが長続きする=稼げる事業になるように、計画的に物事を進めていきましょう。
参考文献:「好きを仕事に! 私らしいローリスク起業」(一般社団法人キャリア35 株式会社ビーケイシー)