一般社団法人キャリア35 理事土川 雅代
2017-12-21 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
一般社団法人キャリア35 理事 土川 雅代

家族持ちの独立起業!パートナーの反対対策や、夫婦で事業を行うメリット・デメリット


こんにちは。35歳からの女性の起業を支援する、一般社団法人キャリア35理事、土川雅代です。キャリア35では、「起業をしたい」「仕事を通じて、自分で主体的に何かをしてみたい」という女性のサポートを行っています。

あと1カ月も経たないうちに、2018年を迎えますね。皆様はどのような2017年をお過ごしでしたでしょうか?

さて今回は「家族とのパートナーシップと起業」について、コラムを書かせていただきたいと思います。

独立したい……そう告げた時のパートナーの反応は?

会社を辞めて独立起業したい、そう考えてパートナーに気持ちを伝えたときに、どのような反応が返ってくると思いますか? 

男性なら「あなたの稼ぎが不安定になったら、家族はどうなるの?」と妻に咎められるかもしれません。もしかすると、結婚を前提に付き合っていた恋人だったならば「あなたが安定した職種だから結婚を考えていたのに」と、ストレートに拒絶されるかもしれません。

結婚している女性で仕事をしていない場合は、夫に「えっ? それで月いくら稼ぐつもり? 君にできると思っているの?」となじられたり(私の知人は実際にそのように言われたそうですが)、「仕事なんてしなくてもいいじゃない。子供も小さいし、家族を優先してよ」と言われることもあるでしょう。

独立起業する場合、家族、特にパートナーの理解やサポートは不可欠です。

理解してもらっているつもり、または家族の反対を押し切って起業した場合、もし仮に、ビジネスがうまく回っても、家庭が破たんする、というのは実はよくある話です。

それ以前に、家族の理解やサポートが得られない場合、よほどのことがないと事業が軌道に乗ることは、難しいというのが現状でしょう。 

家族というのはこの世で一番小さな「社会」です。

その小さな社会をうまくコントロールできない人が、多くの人や物事が関わる事業をうまく回していくのは、普通に考えても難しいですよね。

独立起業を提案した場合にパートナーが反対をする、または良い返事をしない場合は、そこになんらかの懸念事項があるから、と考えることが妥当でしょう。

それを見つけて、きちんと相手の不満や不安を解消することで、独立起業への理解を得ることができます。

今までキャリア35や、キャリア35メンバー個別のご相談であった、問題点を挙げてみましたので、独立起業をお考えの方は、パートナーがどこに、何に不安を抱きやすいか事前にチェックしてみられるといいかもしれません。

【不安や不満を感じやすい点】
・収入が不安定になることへの不安
・新しくやることが本当にうまくいくかどうかの不安
・初期費用や固定費がかかることで貯金が減ることへの不安
・会社勤めしか経験がないのに、独立して経営などできるかどうかという心配
・契約などで騙されたりしないか、という不安
・新しいことを始めて、家事や育児の手抜きが発生しないかの不安
・家庭以外に面白いことを見つけて家庭を顧みないようになるのではという不安
・自分や家族のことだけを見ていてほしいのに別のことをする寂しさ

女性の場合は特に、夫の収入が減ることや不安定さが不安材料となる場合が多いでしょう。女性自身が働いていない、収入が低い、という場合だと尚更です。

また男性の場合は、妻が外の世界へ飛び立つことへの寂しさや、家事や育児を手抜きしないか(自分の負担が増えないか)というところが懸念事項となる場合が多いようです。

他にも男性は、「妻が自分より稼いでいる、忙しい」ということに不満を抱く人も相当数いるようです。時代錯誤かもしれませんが……、自分のパートナーの価値観を、今一度見直してみる、きちんと夫婦で話し合ってみる、というのも起業に向けての大事な作業なのかもしれませんね。

夫婦で一緒に仕事をするってどうですか?

キャリア35のご相談や、キャリア35メンバー個別でも、このようなご質問は多々受けることがあります。

■独立起業して、夫婦でお店を経営しようと考えています

■二人とも会社勤めのデザイナーなので、自宅を事務所にして夫婦、デザイン業で生計を立てようと思います

■夫が個人事業主をしていて、子育てにもう少し重点を置きたいので、私は会社勤めを辞めて夫の事業のサポートをしようと思います。

内容や状況は様々ですが、夫婦共々自営の場合のメリットとデメリットをまずは冷静に考える必要があるでしょう。 

思いつく限り、メリットとデメリットを並べてみました。

【メリット】
・一緒の仕事をすることでより連帯感や信頼感が生まれる
・お互いのやっていることが見えるため安心できる
・時間の使い方を夫婦で決めることができる、自由に時間が使える
・子供が小さい場合、会社勤めよりも育児がしやすい
・休みや連休が自分たちの都合でとりやすい
・自宅で働く、また、職場と自宅が近い場合は勤務時間や交通費が削減できる
・人件費が削減できる
・気をつかわなくていい
・連絡や確認が早く済む
・会社都合の何か、が減るためストレスが軽減される
・夫婦で同じ目標を掲げることができる

 

【デメリット】
・共に固定給がないため将来が不安
・有給や育休、社会保険など会社勤めしか得られないメリットがなくなる
・四六時中一緒にいると、仲違いしたときに気まずい
・長時間一緒にいるため、息苦しさを感じることがある
・遠慮がないため、つい言い過ぎるなどのトラブル
・仕事と家事のバランスにどちらかが不満を抱く
・休日が少なくなりがち、完全な休暇がなくなる
・時間が不規則になりがち
・病気や怪我、事故の際の補填がない
・経理、実務、営業など、複数業務を夫婦でなんでもやらないといけない
・事業のお金と家計のお金を混同しがち

挙げていくとキリがありませんし、また「気をつかわなくていい」ということは裏を返せば「遠慮がないため、つい言い過ぎるなどのトラブル」につながることなので、夫婦と言えども相手に配慮をし、バランス感覚が重要だと言えるでしょう。
また上記のメリット・デメリットの中には、結婚していない人も当てはまる部分がありますので、参考にしてみてくださいね。

結婚をしていると、独立起業は個人の問題ではなく、家族の問題とも言えるかもしれません。より良い仕事をするためにも、パートナーの理解とサポートを得ることができるよう、働きかけることがとても大事かと感じます。

編集部より

諸外国に比べても起業に対する意識が低いと言われる日本、会社員を辞めるのは「ギャンブル」と思われることも多いでしょう。フランチャイズというシステムを上手く活用すると、立ち上げもスムーズで経営を軌道に乗せやすい。という成功事例がありますが、やはりご家族やパートナーの協力を得ないと難しくなることが多いです。フランチャイズも事業を共に成長させていく言わば共存共栄のパートナー。人生を共に歩くパートナーと同じように本部への理解が重要となってくるでしょう。

一般社団法人キャリア35 理事 土川 雅代

大学では心理学を専攻し、卒業後はアパレル業界、情報誌の編集を経験後、2009年にライター・プランナー として独立起業。2010年3月5日に株式会社イエティを設立。占い師、カウンセラー、スピリチュアリストなどの、セラピストのマネージメント及びイベント運営を行っている。「みずから望み、叶える女性に」を理念に掲げ、「夢」や「目標」を見つけるサポート、叶える サポートをしている。主な著書に『好きを仕事に』(ビーケイシー)