一般社団法人キャリア35 代表理事 行政書士尾久 陽子
2017-11-23 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
一般社団法人キャリア35 代表理事 行政書士 尾久 陽子

気が付いたら●●になっていませんか?35歳を過ぎた女性の不満の手放し方


こんにちは。35歳からの女性の起業を支援する、一般社団法人キャリア35の代表理事、尾久陽子です。

キャリア35では、「起業をしたい」「仕事を通じて、自分で主体的に何かをしてみたい」という女性のサポートを行ってきました。筆者は、キャリアコンサルタントとしても、延べ1000件以上の転職や再就職の相談を伺ってきましたが、30代~40代の女性に特有の不満があることを感じています。
そこで、今回は、これからの未来に明るくスッキリ向き合えるための「35歳を過ぎた女性の不満の手放し方」についてお伝えしたいと思います。

35過ぎたら、気持ちも我慢の限界があることを知ろう

ケース1
「会社で営業事務をしています。」
→「営業は私が改善案を提案しても聞きもしません」
ケース2
「コールセンターのオペレーターをしています。」
→「求められるのは処理時間の早さばかり」
ケース3
「結婚して子育てをして、時短している会社では地味な仕事に回されて。」
→「毎日お迎えの時間に追われてるばかり」
ケース4
「10年接客をしてきました。」
→「ノルマの数字に追われるだけで…仕事が好きになれません」

社会人になり、新しい仕事を身に着けるのに精いっぱいだった20代。プライベートでは恋のときめき。友達と寝る間を惜しんで遊びに行って、夜中まで話して、全力疾走の毎日。
そうするうちに、気が付けば30代。いつの間にか、自分は一番の若手ではなくなっていて、新入社員と世代間ギャップさえ感じてしまう。そして30代半ば。仕事は同じことの繰り返し。いろいろな現実も見えてきた。もう恋のときめきどころじゃない。自分はこんなに頑張ってるのに。これだけやっているのに。こうしたほうがいいと思うのに。何も変わらない。わたし、これで、いいのかしら。この職場にいて、何かこれからいいことあるのかしら。周囲は疲れた上司ばかり。尊敬できる人なんていない…。

ふつふつとわいてくる不満。私はこんなに頑張っているのに。
一方で湧き上がってくる不安。私の人生、このままこれで終わってしまうの。そんなのは嫌。

気が付けば外に気持ちが向けられる方なら、イライラの高周波の混じったとげのある声で、部下に注意をして、お局として君臨しているでしょう。声は大きくなっても、でも、全然思いは解消しないんですよね。

一方、内向きな方であれば、だんだん鬱々としてきて、休日はもう誰とも会いたくない、風邪をひいてもなかなか治らない、身体が重い、体調が悪いと、心身に変調をきたすようになります。
そしてこのまま年を重ねていくと、更年期の影響とどちらか判然つかないまま、ますますイライラや不安に抗えなくなっていくのでした。

身に覚えのある方、いらっしゃるのではないでしょうか。

不満を感じているあなたへ

そんな方に、まず一言申し上げたい。
30代を過ぎれば、10代20代の体力より低下したな、限界だなと感じることがありますよね。同じように、気持ちや心にも、我慢の限界があるんです!
小さなイライラ、不安、不満は積立貯金のようにたまっていきます。もうそれが満期の時期だということ。大きくなって爆発するほど、ため込んでいらっしゃるんです。

そしてもう、一言。
職場に対して不満がたまっているあなた。
日々、仕事のことを思う、心優しい、まっすぐなあなたは、とってもいい人です。
でもね…、「○○したらいいのに」と、いくらあなたが強く思っても、残念ながら絶対永遠に実現しません。それは、相手を自分の思い通りにしようとしていることだから。
あなたは、仕事で自己実現できていない、と、イライラしているかもしれない。
でも、あなたの業務内容。女性の多くが自ら志向して従事する、事務系や、スタッフ系の仕事ではないですか。
そうであれば、キャリアの頭打ち感を感じるのは当たり前のことだと、早く気づきましょう。あなたの仕事は、リングに上がるボクサーをサポートしているセコンドなんです。セコンドが、試合中のボクサーに「もっとこう打てばいいのに」とイライラしてるのと何ら変わらない状態。あなたは、まったく筋違いの怒りを会社に向けているんです。

ではどうする?不満の手放し方

不満が生まれる構造はわかっても、では、この膨れ上がっている思い、どう解消したらいいでしょうか。私から提案するのは二つの方法です。
まずここで深呼吸。ガチガチになっている心と体を柔らかくして、聞いてくださいね。

一つ目。頭の中のザワザワを消去し、自分を取り戻しましょう。


自分にOKを出せるのは、実は自分だけなんです。自分の中から湧き上がってくる、不満の声を、思い返してみてください。どれも、自分以外の誰かに向けた「○○したらいいのに」「○○できない」という言葉ではないですか。
これを「私は、××に対して○○したらいいと思っている」「私は○○したい」と、主語を自分にしてみましょう。相手には何ら非がない。自分自身が、そう思っているんです。
自分がどう考えるのか、感じるかは自由。「私は××に対して○○したらいいと思っているが、実現しないので、△△と感じている」。そう感じる自分を受け入れ、許しましょう。心が自然に落ち着いてきます。
しかし、そう頭ではわかっても、なかなかザワザワとした不満や不安は消えないもの。
ザワザワを消すためには、スポーツに取り組むなど、忘我の境地になれることに取り組むことがお勧め。今、流行のマインドフル瞑想をしてみるのもいいでしょう。自然の豊かな静かな場所に旅をして、休息するのもいいものです。

二つ目。自らリングに上がることも、考えてみましょう。


そのイライラ、もっと自分で動きたい、実現したいという前向きな意欲を押さえつけているから起きているのではありませんか?それならば…、自分でやってみましょう。
会社と家庭だけが、あなたの居場所ではない。自分の場所を作りましょう。起業、ボランティア、学業、趣味など。今なら、ブロガーやYoutuberなども、その道はいろいろです。
自分でやってみて気づく困難や限界もあります。でも、やってみなければ、気づきません。真実を知ると、謙虚さや他者への感謝の気持ちが、自然と生まれる爽快な境地になれます。

今感じている不満や不安、自分が守られている温室の中だから生まれているのかもしれません。だからこそ、やってみましょう。やってみる準備をしてみましょう。今見えている世界が、違って見えると思います。

かくいう私も、なかば、当時の勤め先への反発心もあって、起業したのです。いざ、何の後ろ盾もない事業者として社会に出てみたら、当時のボスが漏らしていた弱音、嘆き、不可解だった行動は、いろいろ悩んでいたんだなあと、菩薩のような気持が芽生えたものです。ご支援してきた女性に伺ってみても、起業をしてから、今まで給料を払ってくれていた会社に対して敬意を感じる方が大変多いものです。「親の心」を知るわけです。
また、私が従業員という受け身の立場であったときは、イライラの元であった、ダメな会社、ダメな人、ダメな社会と感じていたあらゆる部分。これは、事業者という立場で見れば、新サービスを提供して改善できるポイントだらけのビジネスチャンスの宝庫だと大発見。ダメなもの大歓迎!の主体的な人間になり、イヤなものはなくなりました。

親や他者にかわいがってもらいたいと自分をないがしろにしてきた娘時代から、これからは大人の女性へ。しかも、人間味まるだしの、美しい中年女性へ。行動することで変貌を遂げていきましょう。
私は、日ごろ、70代、80代の女性から、「女の本番は、更年期を過ぎてから」「70代からが仕事の本番」などと、ハッパをかけられています。30代、40代なんてまだまだヒヨッコ。知識や経験をたくさん蓄えて、より輝く女性になるためには、今日の自分を笑顔にしていきましょう。自分を愛でましょう。育てましょう。まだまだこれから。これからが本番。がんばっていきましょうね。

★ワンポイントアドバイス★
思いのままビジネスパーソンとしての人生を歩みたいというあなたへ。
起業や独立によって自分らしい人生を歩むという人生の選択があります!
でも、自分自身で製造したり、新サービスを考案したりするのは想像もつかない…。
フランチャイズの仕組みを活用すると、未経験でも始められ、選択肢が広がります。
飲食や販売だけでなく、学習塾、家事代行、介護など、生活に密着した女性のセンスが活かせる業態もいろいろありますよ!

 

一般社団法人キャリア35 代表理事 行政書士 尾久 陽子

東京都八王子市出身、早稲田大学第二文学部演劇専修卒業。舞台演劇の脚本・演出・俳優活動を経たのち、法律事務所に勤務。民事・家事・債務整理事件の事務に携わる。2007年東京都行政書士会登録。許可申請のほか、キャリアカウンセラーとしての対話力を生かした業務も多く行っている。おぎゅう行政書士事務所・居宅介護支援事業所代表。女性の起業を支援する一般社団法人キャリア35代表理事。主な著書に『好きを仕事に』(ビーケイシー)、『相続業務に役立つ戸籍の読み方・調べ方』(ビジネス教育出版社)など。