2013-03-06 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
フランチャイズ研究会 中小企業診断士
山崎泰央 |
フランチャイズの基礎知識と成功するためのポイント
このコラムのポイント
フランチャイズで独立したいけど、具体的にどのようにアクションしていけばわからないという方に。そもそも自分はフランチャイズでの独立向きなのか?、どのように加盟検討を進めていけばいいのか?などをフランチャイズ初心者の方にもわかりやすく解説したコラムです。
フランチャイズWEBリポート編集部
STEP1:自己分析とフランチャイズの理解
自己診断は、個人法人別にそれぞれ五つの項目で行うことができるので、チェックしてみてほしい。その中でこれはできていなかったというものがあれば、それが今後考える必要のある点になる。
自己分析~個人・法人それぞれの場合~
個人の場合
- フランチャイズは、自分にとってふさわしい独立の方法であるか
- 自分の性格や趣向性に合った業種・業態・チェーンを選択しているか
- 自己資金(少なくとも開業資金の半分以上)を用意できているか
- 自分は独立事業者という自覚がある(契約書なども正確に理解することができている)
- 複数店展開も視野に入れた中長期的なビジョンを立てることができている
法人の場合
- 新規事業の一環として、フランチャイズに加盟する目的は明確か
- フランチャイズ加盟の必要性を従業員に伝えているか
- 本部任せにせず、将来的なビジョンを立てているか
- エース的人材をフランチャイズ部門に配属できるか
- 情報収集に時間をかけて、じっくり検討したか
以上は、五つの項目で簡単に自己分析が行える内容になるが、もっと細かく行いたいという人は、日本フランチャイズチェーン編集の『よくわかる!フランチャイズ入門』(出版:同友館)という書籍があるので、そちらを手にとって見ることをおすすめする。
STEP2 :加盟先の検討
幅広い情報収集はもちろんのこと、業種・業態の特徴や動向、業界内のフランチャイズ本部企業の状況を知っておくことが、このステップでは必要になる。
業種・業界の動向の見方
- 社会の動向や世間の消費者のトレンドは何かを正確につかむ
- 自分が独立したい業種業態の市場規模と成長性
- 初期投資額
- オペレーション(運営)の難易度
1については、ニュースや新聞などで日頃からチェックしておき、感度を高める
2~4については、自分が独立したいと考えるフランチャイズ本部に質問してみるとよいだろう。
業界内の企業(フランチャイズ本部)の状況を知るには
- 企業数・店舗数の推移、業態開発の状況
- ライフサイクルの状況
- リスクの状況(社会的、技術的、政治的など)
上記三点は、募集内容の書かれた資料だけでは読み解くことが難しいように思う。
本部と面談する機会に、しっかり抑えておきたい部分である。
STEP3:本部評価と絞り込み・選択
このステップでは、自分が興味を持ったフランチャイズ本部の情報収集をし、その結果、本部を評価するまでの流れを説明する。
自分自身も独立事業者として適切であるかを本部から見られていると同時に、加盟希望者自身も本部を判断する目を養うことが大切である。
本部情報の収集方法
- 本部の企業サイト
→ 会社概要など基本情報や加盟希望者向け募集ページがあるか確認 - 事業説明会
→ 本部にとって不利な情報など、ココだけの話が開示されているか確認 - フランチャイズ本部の会社訪問
→ 本部の社風や社員の対応を肌で感じ取る - 実際に加盟しているオーナーの店舗を訪問
→ 本部サイドの説明とズレがないかヒアリングする
まずは、情報がオープンになっているかをチェック。
そして、実際にそのフランチャイズに携わっているヒトを見ること。
募集要項や実際に加盟しているオーナーの話が、フランチャイズ本部の言っていることと食い違いがないか確認する必要がある。
本部評価
- 本部の経営姿勢に共感できるか
→ フランチャイズの理念やビジョンがきちんと示されているか - 情報はしっかりと開示されているか
→ 加盟希望者向けHP、資料に書かれている情報が正確であるか - 収益性が十分であるか
→ 営業利益率10%以上、過去3年間安定しており上昇傾向にあるか - 企業の信頼性、他店舗展開の可能性があるか
→ 立地タイプごとにマッチした店舗造りになっているか、複数出店しているオーナーがいるか - 加盟店へのサポート体制は整っているか
→ 開業前後のサポートや研修はあるか、定期的にSVが訪問しているか 等 - 加盟店満足度は高いか
→ 途中解約率5%未満、契約更新率が他本部より高い状態か
やはり収益が安定しているか、サポート体制が整っているか、加盟店満足度が高いか等、開業後の実情を調べる必要がある。 開業してから、イメージしていたのと違った!では、済まされなくなる。
法定開示書面(用語集にリンク)のチェック
- 本部事業者による情報
→ 会社概要、直近三年の財務諸表とFC店舗数の推移 - フランチャイズ契約概要
→ 加盟金、ロイヤリティなど、本部に支払う対価の金額
→ 使用できる商標、契約期間・再契約・契約解除など、契約に関わる全般のこと
STEP4:最終決断と加盟契約
店舗候補地の検討
- 商圏…十分に人口がいて、目的とする客層がいるか
- 動線…店舗への近づきやすさ、配置は適切か
- 物件…大きさや形状が適したものか、視認性がよいか
店舗の開業地域を決めるときにまずチェックするところが、商圏。
ターゲットの客層がそのエリアにいるのかをまず吟味する必要がある。
そして、店舗への動線はしっかりしているか、物件の造りは自分が展開するビジネスに適しているのかを考えていく流れになる。
事業計画書と開業提案書
- 本部からの「開業提案書」を確認する
→ 初期投資計画、売上予測値など開業する上で確認すべきことが書いてある - 事業計画書作り・資金計画
→ 本部からもらった開業提案書を参考に、自分でも事業計画書を作る
加盟店契約を締結
- フランチャイズ本部トップ(フランチャイズ事業の責任者)と面談
→ トップとの面談では、経営理念や事業に対する熱い思いがあるかを見る - 加盟契約
→ フランチャイズ契約書を本部と一緒に確認する
ここで注意したいのが、その場で署名・捺印するのではないという点。
契約内容を理解し、納得した上で、1週間後を目安に署名・捺印し、本部に渡すこと
最後に
フランチャイズとは何か?というところから始まって、加盟契約にいたるまで、ステップごとの留意点を記事の中でまとめさせていただいたが、良質なフランチャイズを見極めるためのコツが、このセミナーでは凝縮されていたように思う。
最後のステップである、加盟契約を本部と結ぶ際に「すぐに契約書にサインをしない」というところは加盟希望者の方には知っていただきたいと感じた。
フランチャイズ契約は、自己責任であることを自覚しそれぞれの加盟ステップを進んでいくためにも今回のセミナーの内容を、ぜひ参考にしてほしい。