「昼はカフェ、夜はサカバ」プロントが38年貫く二面性ビジネスモデルの強みとは

宮原 史知 |2026年05月07日 公開
PRONTOのフランチャイズに加盟されたオーナーの写真

コーヒー豆の高騰や人件費の上昇など、飲食業界を取り巻くコスト環境は厳しさを増しています。そんな中、「1つの場所でいかに稼ぎきるか」という問いに、創業から38年にわたって向き合い続けてきたブランドがあります。昼はカフェ、夜はサカバへと姿を変える「PRONTO(プロント)」です。

今回は、フランチャイズの展示会「フランチャイズ・ショー2026」に11年ぶりに出展した株式会社プロントコーポレーションの鶴本誠都執行役員に、その独自のビジネスモデルと成長戦略を伺いました。

プロントは、朝から夜まで5つの顔を持つ飲食チェーン

――プロントはどのようなフランチャイズブランドですか?
PRONTOの宮原 史知

鶴本 誠都

プロントコーポレーションは飲食事業を展開しており、主に4つの業態をフランチャイズパッケージとして提供しています。まず主力の「PRONTO(プロント)」は、昼はカフェ、夜はサカバとして営業する業態です。次に「ワインの酒場。Di PUNTO(ディプント)」はワインと生ハムなどの料理を楽しめるカジュアルなワイン酒場。「E PRONTO(エ プロント)」は終日セルフサービスで営業するカフェ。そして「和カフェ Tsumugi(ツムギ)」は、和テイストのドリンクやご飯、スイーツを取り揃え、ゆっくりくつろげる空間を提供しています。

――1つの店舗で昼と夜の顔があるというのはユニークですね。
PRONTOの宮原 史知

鶴本 誠都

プロントはモーニングに始まり、昼はパスタを中心としたランチ、午後はデザートやスイーツとカフェ、夜は食事も楽しめるサカバ、さらに閉店の23時まで2軒目としても利用できます。社内では「ファイブチャンス」と呼んでおり、朝・昼・午後・夜・2次会という5つの時間帯で、さまざまなお客様のニーズに応えられるパッケージを展開しています。

――夜のサカバとしての顔も気になります。
PRONTOの宮原 史知

鶴本 誠都

しっかりとお酒を提供しているのが、他のカフェとの決定的な違いかもしれません。サムギョプサルのような季節メニューも用意しており、「ネオ大衆サカバ」をコンセプトにしています。若い方にとっては新しく、居酒屋に慣れた方にとっては懐かしい。昼と夜でここまでメニューを切り替える飲食店は珍しいと思います。

――フランチャイズ・ショーへの出展は11年ぶりだったそうですが、てごたえはいかがでしょう?
PRONTOの宮原 史知

鶴本 誠都

想像以上に反響がありました。5年前のリブランディングで「カフェ&バー」から「カフェ&サカバ」に変わったことを知らなかったという方や、ツムギやディプントがプロントコーポレーションのブランドだったとは知らなかったという声も多くいただきました。フランチャイズとして加盟を募集していること自体をご存じない方もいらっしゃって、知っていただくよいきっかけになったと感じています。

サントリーとUCCが生んだ、38年の歴史

――創業から38年というのは長いですね。どのような経緯で生まれたブランドなのですか?
PRONTOの宮原 史知

鶴本 誠都

直営1号店がオープンしたのは1988年で、フランチャイズ1号店は翌年の1989年に誕生しました。もともとのきっかけは、親会社であるサントリーから相談があったことです。夜はバーとして営業しよう、昼はコーヒーを出そうと。もう1つの株主であるUCCのコーヒーを昼に、サントリーのお酒を夜にという形でスタートしました。

――5年前にリブランディングをされたそうですね。
PRONTOの宮原 史知

鶴本 誠都

はい。以前は「カフェ&バー」として、イタリアンバルのような方向性を目指していました。しかし、より今の若いお客様に来ていただきやすい業態にするため、5年前に「カフェ&サカバ」へと大きく方向転換しました。現在は大半の店舗がこの新しいコンセプトに切り替わっていますが、一部の店舗では「カフェ&バー」の大人の雰囲気も残しています。

――幅広い層に響きそうですね。メインのターゲット層は?
PRONTOの宮原 史知

鶴本 誠都

基本的には働く方々がメインターゲットです。カフェとしては20〜30代の若い方に受けるドリンクを意識しつつ、サカバとしてはある程度の年齢の方にも懐かしく親しみのあるメニューを提供しています。さまざまなニーズを拾っていきたいという考えのもと、幅広い層に楽しんでいただける業態を目指しています。

プロントのフランチャイズ加盟プランと手厚いサポート体制

――現在のプロントの店舗展開についてお聞かせください。
PRONTOの宮原 史知

鶴本 誠都

プロントの店舗数は183店舗、グループ全体では288店舗(2025年12月末日時点)です。ただ、そのうち関東に約200店が集中しているのが現状です。地方出店へのご要望は多くいただいており、九州では福岡の駅周辺に主要4業態すべてが揃っているなど、うまく展開できているエリアもあります。

――プロントの開業資金はどのくらいですか?
PRONTOの宮原 史知

鶴本 誠都

あくまで一例となりますが、40坪の標準的な店舗で5,850万円ほどです。収益モデルとしては、53坪の店舗で月商1,100万円を想定しています。

――立地選定は本部側でサポートがあるのでしょうか。
PRONTOの宮原 史知

鶴本 誠都

駅前・駅構内・繁華街、オフィス街といった、働く方々が多く往来する場所を狙っています。1階路面か駅の基準階が基本です。物件の探索は主に本部側で行っており、鉄道会社やデベロッパーとの交渉も担当しています。もちろんオーナー様がご自身の物件で開業したいという場合にも対応しています。親会社のブランド力もあり、交渉先にも安心感を持っていただけている部分は大きいですね。

――加盟者の層も気になります。
PRONTOの宮原 史知

鶴本 誠都

飲食のフランチャイズを展開されている法人の方が中心ですが、異業種の法人の方もいらっしゃいます。基本的には法人のみでの加盟をお願いしています。

――他業種で参入される方もいるんですね。研修体制はどうなっていますか?
PRONTOの宮原 史知

鶴本 誠都

開業前は、店長もしくは店長候補の方に本社の研修所で約1ヶ月の研修を受けていただきます。カフェ研修2週間、サカバ研修2週間という構成です。すべての業態がシェフレス、つまり調理師などの専門資格がなくても料理を提供できるパッケージになっていますので、安心して取り組んでいただけます。

開業後は、スーパーバイザーが毎月1回以上訪店し、経営指導を継続的に行います。それに加えて、接客レベルを競い合う「ベストホスピタリティ」や調理技術を競うコンテストなども用意しており、従業員同士が健全に高め合える環境を整えています。飲食未経験の方にも伴走しながら、一緒に成長していけるサポート体制を意識しています。

2030年に450店舗へ――多業態ポートフォリオで全国展開を加速

――2030年に向けた目標をお聞かせください。
PRONTOの宮原 史知

鶴本 誠都

現時点で約290店を出店していますが、2030年には450店舗を目指しています。プロントだけではなく、ディプント、ツムギ、エ プロントといった各業態を、場所やオーナー様の特性に合わせて組み合わせながら展開していく方針です。

――4業態あると、棲み分けが重要になりますね。
PRONTOの宮原 史知

鶴本 誠都

それぞれの業態が出店エリアの幅を広げるように設計しています。プロントは働く方が多い駅前やオフィス街、ツムギはショッピングセンター内、ディプントはいわゆる飲み屋街と、出店エリアが重なり合わないようになっています。1つの業態で同じ場所を取り合うのではなく、ポートフォリオとしてレンジを広げていくという考え方です。

――コスト上昇が続く中で、二面性モデルの強みが活きてきますね。
PRONTOの宮原 史知

鶴本 誠都

出店費用、食材の原価、人件費と、あらゆるコストが上がっています。だからこそ、1つの物件でいかに効率的に稼げるかが重要です。一般的なカフェは昼前後がピークで夜に売上が下がりますが、プロントは夜のサカバ営業でもうひと稼ぎできる。朝から夜までさまざまなことに対応する大変さはありますが、1つの場所を存分に収益に変えられるのは私たちの強みだと考えています。

取材を終えて

「1つの場所で、朝から夜まで稼ぎきる」。シンプルながら力強いこのコンセプトが、プロントの38年にわたる歴史を貫いています。サントリーとUCCという日本を代表する企業をバックボーンに持ちながら、5年前のリブランディングで時代に合わせた進化も遂げている柔軟さが印象的でした。

さらに、プロント・ディプント・ツムギ・エ プロントという4業態を、立地特性に合わせて展開するポートフォリオ戦略は、2030年450店舗という目標に向けた確かな道筋を感じさせます。「人と人とをつなぐビジネス」という鶴本氏の言葉どおり、街に愛される飲食店を一緒に育てていきたいという方には、心強いパートナーとなるのではないでしょうか。

PRONTOの宮原 史知

フランチャイズメディア 編集者兼ライター
宮原 史知

大阪府堺市出身の編集者・ライター。フランチャイズWEBリポートの運営メンバーとしてディレクション業務に携わり、現在は合同会社デジタル屋さん代表を務めている。これまで100以上のフランチャイズ関連コンテンツの制作を担当。Web制作やSEO分析など幅広い技術的バックグラウンドを活かし、「実装まで見える編集者」として記事制作に取り組む。既知のテーマに新しい視点を持ち込み、読み手が「ワクワクする」コンテンツ作りを信条としている。