株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役松下 雅憲
2017-08-27 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

相手への理解を深める「なるほど」で始めるシンプルなコミュニケーション方法


相手の「意見」を、肯定的に受け止める

「なるほど… あなたはそう考えているんですね」 

「なるほど」… という答え方って、かなりどっしりした印象のある答え方に感じませんか? 私は、この言葉から「落ち着いた懐の深いイメージ」を感じています。

この「なるほど」は、相手の信頼を得るためのコミュニケーションの会話や態度として非常に大切なスキルです。

また、ビジネス書「『これからもあなたと働きたい』と言われる店長がしているシンプルな習慣」(同文舘出版)の最終章(エピローグ)で書いた「受け入れるのではなく受け止める」ための具体的な方法ですが、私は、この「なるほど」という言葉が一番わかりやすいんじゃあないかなと思ってセミナーなどでも推奨しています。

しかし、「なるほど」という言葉は、人によっては、「なんだか納得し合意をしたように相手に勘違いされないかと心配になる」という意見もあります。

事実、私が行っている「相手軸コミュニケーション」がテーマの研修やセミナーで、良く受講生の方からそんな質問を受けます。

あなたもそうかも知れませんね? 

では、そういうあなたの為に、この「なるほど作戦」をもっと詳しくお話ししましょう。

「なるほど」の後の言葉で、相手の勘違いを回避しておく

実は、「なるほど」と言ったからと言って、「合意」をして「受け入れた」わけではないことを、相手に理解して欲しいのならば、使うテクニックは極めてシンプルなのです。

単に、「なるほど」の後に続く言葉をちょっと追加すれば良いのです。

たとえば… 

「なるほど~つまり、あなたはこういうことを言いたいのですね」
「なるほど~あなたの考えは非常に面白いですね」
「なるほど~たとえば、あなたはこう言うときはどのようにされるのですか?」 

このように、相手を主軸にし、相手の発言を「確認」したり、もしくは、「面白い」という言い方で、興味や関心のレベルという風に限定すれば良いのです。また、例を出して「質問」をするのも良いでしょう。

「なるほど」だけで終わってしまうと、確かに相手も「わかってくれた」と勘違いしてしまう可能性もありますが、その言葉のあとに、このように「確認」「興味」「質問」などを付け加えることで、相手の勘違いをかなりの確率で低下させることが出来ます。

是非、試してみてください。かなり効果的ですよ。

ただし、この「なるほど」の後に続く言葉を間違ってしまうと、相手にはあなたが「合意」したように受け止められてしまいます。 

たとえば…

「なるほど~それってイイですね」
「なるほど~それは素晴らしい考えですね」
「なるほど~それやってみようかな」 

という風に、誉めたり称賛したりすると、あいては「合意」したと理解します。

いったん受け止めるのと、受け入れて合意したり誉めたりするのとでは、この「微妙なニュアンスの違い」を使い分ける必要があるのです。

もちろん、あなたが「合意」している場合はこれで問題ありません。
しかし、そうでは無い場合は使っちゃあいけませんよ。

このふたつは、良く注意をして使い分けて下さいね。

人の数だけ「意見」がある!まずは、相手との「思いの接点」を探ることが大切

さて、まとめです。 

「相手には相手の考え」があります。
「あなたにもあなたの考え」があります。 

時には、その違いが、全く逆のことを言っているように感じられることがあるでしょう。

しかし、たとえ、一見それぞれが、180度違う方向に向いていた様に聞こえたとしても、実はそうでは無いことも良くあるのです。

最後まで、しっかりと、ひとつひとつの言葉のニュアンスを理解しながら聴いてみたら、そこに自分との『思いの接点』が見えてくることがあります。

1度くらいで見えなくても、何度も何度も聴いていたら、そのうちに「接点」が見えてくることも多いのです。

何度も何度も聴いていないから「相手の思い」が見えないだけなのです。

相手の考えを「受け入れる」のは、その「相手の思い」が見えて、自分の考えとの「接点」が見えて(あなたが納得してから)からで良いのです。

それまでは、何度も何度も「受け止める」で良いのです。
『思いの接点』が見えてこないうちに受け入れようとするから(あなたの心に)無理が生じるのです。 

あなたも相手も同じ人間です。

相手が同じ会社の社員・スタッフならば、相手とあなたは、同じ会社で、同じミッションの元で、同じ仕事をしているのです。

同じ方向を見ているはずなのです。

解釈が、少しくらい違っていても良いのです。
それを面白がるくらいで良いのです。

何度も受け止めながら聴き続ければ、必ず『思いの接点』が見えてきます。
面白がるくらいに何度も聴くことで、相手との「接点」は見えて来ます。 

もう一度言いますね。

受け入れるのは、自分との「接点」を見つけてからで良いのです。
それまでは「受け止め」ましょう。

たくさん「受け止め」れば、必ず相手が「接点」が見せてきます。

大丈夫です!

 

次回は「自分の感情をコントロールする『共感思考』のテクニック」というテーマでお話しします。お楽しみに!

  

  • 参考「『これからもあなたと働きたい』と言われる店長がしているシンプルな習慣」松下雅憲著(同文舘出版) 

株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

大阪出身。1980年日本マクドナルド(株)入社。店舗運営の現場と全社の出店戦略に関わり、2005年4月とんかつ新宿さぼてんを運営する(株)グリーンハウスフーズに入社。すぐに経営情報室を立ち上げ、経営情報の見える化、出店戦略システムの構築、さらにエリアマーケティングをベースにした店長教育システムを導入し大きな成果を上げた。2012年4月株式会社PEOPLE&PLACEを設立。代表取締役に就任。マクドナルドとさぼてんで確立したノウハウを独自の形に仕組み化した「店長ナビ®」を提供し、人材育成を通じて多くの外食企業や小売・サービス企業の業績向上に貢献している。