2017-08-06 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役
松下 雅憲 |
愛はお店を救う!伝えてますか?繁盛店に欠かせない『自店愛』『商品愛』
このコラムのポイント
自分の思っていることがスタッフに伝わらない。そんな風に感じている方は、どの業界でも、プライベートでも多くいらっしゃることと思います。では、如何にして伝えていけばよいのか? 今回のコラムでは、誰もが他の人に伝えたいと思う「自分が愛するモノ・コト」を例に、店長自らが自店を繁盛店へと導く秘訣について知ることができます。
フランチャイズWEBリポート編集部
自分の「自信作」は、誰にとっても『愛おしい』もの
「自分たちが作り上げたものって、自信を持っておすすめできますよね」
ある若いパソコンソフトを作っているプログラマーがこう言いました。
彼は営業担当ではありませんので、直接お客様に商品を営業しているわけではないのですが、その代わりに、自分の会社の営業担当者に、いかにこのシステムが優れているかについていつも熱弁を振るうのです。
そんな彼の熱意が伝染して、営業担当者も、お客様に自社製品についてさらに熱く語っているようです。
自分たちの会社が売っている商品について、その開発プロセスに関わっていたり、実際に作っていたり、また実際に使っていたりすると、その商品の良さが身にしみてわかってきます。
これは、飲食店でも、美容室でも、眼鏡店でも、コンビニでも同じことです。
それくらい、自社商品や自分達のお店で売っている商品に関わることは、とても重要なのです。
マクドナルドのスタッフの「自店愛」「商品愛」は『 超ヘビーユーザー級』
たとえば、マクドナルドだと、アルバイトや社員は、必ずと言っていいほど自分が働いている店の商品を食べます。その量や回数は、毎日来店する超ヘビーユーザー並みなのです。
アルバイトで稼いだお金を、また店に還元してしまうのですから、第3者が見ていると「何しているの?」と思ってしまうでしょうけれど、彼らにとっては、それが自分たちの誇りでありマクドナルド愛なのです。
だから、すでに退職をしているOB達のなかにも、ここ数年のマクドナルドがかつてない苦境に陥ったときに、チョットでもたくさんマクドナルドの商品を食べて貢献しよう!という行動に出ている人が多くいたのです。
いくらマスコミやネットでマクドナルドの批判がたくさん出てきても、彼らは、それに耐えてきました。実際に46年の歴史の中で社員やアルバイトとして働いてきた人やその家族、さらにサプライヤーなどのお取引先様を加えた総数は数え切れないほどの人数になるのです。そんな彼らの行動は、きっとマクドナルド復活劇の一翼を担ったに違いありません。
「自店愛」「商品愛」の強さが『繁盛』の秘訣!
マクドナルド以外でも同じです。
あるレストランでは、シェフ自らが、新メニューやキャンペーンメニューについて、ホールスタッフに対して試食会を開き、しっかり味わってもらいながら熱く想いを語り、商品の良さと自分の想いをお客様に伝えてもらおうとしています。なので、どこにこだわりがあるのか、どういう特徴があるのか、などと一生懸命に説明をしています。
ホールスタッフは、シェフの想いに共感し、お客様のその想いを力を込めて伝えています。
だから、繁盛しているのです。
だって、シェフは、自分の作った料理が好きで好きでたまらないのです。
ホールスタッフも、その熱意にほだされてその料理が大好きになっているのです。
そりゃあ、お客様へのおすすめにも力が入りますよね。
また、コンビニでも同じです。
私のかつての部下が、今大阪であるコンビニエンスストアのオーナーをしています。夫婦でがんばっています。
ご夫婦共々私の部下でした。
実は、彼らのお店は、その地域のコンビニの中で断トツに高い売上を誇っています。
その理由は、二人とも自分達のお店で売っている商品に愛情を持っているからなのです。そのチェーンのプライベートブランドだけではありません。他のコンビニでも扱っている商品も同じように愛しています。その証拠に、彼らは毎日のようにいろんな商品をSNS上で紹介しています。彼らは、自分達が販売している商品が大好きなのです。
その投稿からは、「自店舗商品ラブ」が思いっきり伝わっているのです。
繁盛するはずですよね。
店長の『商品愛』『仕事愛』スタッフに伝わってますか?
どんな業種にかかわらず、繁盛店のスタッフは、自社の商品を誰よりも愛しています。
だから、自信を持って、その商品の最も良いところを明確かつ正確に伝えられるのです。
繁盛店の店長は、そのことをよく理解しています。
だから、スタッフが自社商品を大好きになれるように工夫をしているのです。
それは、シェフによる店内の試食会だけではありません。
・その商品を開発した人は、店長会議でその想いを伝えるようにもしています。
・その商品の原材料を手配している人は、その野菜や肉などを作っている人の想いも店長達に代弁しています。
「とんかつ新宿さぼてん」や「牛タンねぎし」では、自店舗で使っているお米の田植えや稲刈りを手伝ったりして、生産者の思いに触れています。
だから、お客様に伝わるのです。
さて、あなたの店のスタッフは、自店舗の商品の最高の愛用者ですか?
それは、ルールや決まり事ではなく、自主的に愛用者になっていますか?
言い換えれば、スタッフがそうなるように、あなたは「お手本」になっていますか?
そして、あなたは「自社・自店舗商品を愛すること」と「仕事を愛すること」は共通していることに気がついていますか?
次回は「スタッフの力を信じられるようになる『店長が使う魔法の言葉』」というテーマでお話しします。お楽しみに!
- 参考「『これからもあなたと働きたい』と言われる店長がしているシンプルな習慣」松下雅憲著(同文舘出版)