株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役松下 雅憲
2017-08-13 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

スタッフの意見が溢れ!好循環を生む!店長に使ってほしい『魔法の言葉』

 このコラムのポイント

こんなお店にできたら、絶対儲かるのに…イメージばかり膨らむのに、その想いにスタッフがついて来ない。そうお悩みの店長、リーダーは意外と多いはず。さて、その想いや方針を、スタッフはあなたの見えていない現実も含めて、どう見ているのでしょうか? 今回のコラムでは、お客様の目に次いで「第三の目」とも言える『スタッフの意見』を運営に上手く活かしてための方法について知ることができます。

フランチャイズWEBリポート編集部


自分の想い通りにならない…?

「スタッフと一緒に考えていたら時間がかかるし、しようと思っていたことが出来なくなることもあるんですよ… それでも、スタッフと一緒に考えることの方が大切なんですか?」

いつも私は、店長達に「店長が独断で決めて指示だけをするのではなく、何をどうするのかをスタッフと一緒に決めていきましょう」とお話をしています。

すると、『そうしようとしてうまくいかなかった店長』からこのような相談を受けることがあります。相談というよりも、ぼやきというか、クレームというか… もしかしたら弱音かもしれませんけどね。

先日も、ある女性の店長が相談に来ました。

彼女が言うには、 

「スタッフを幹部ミーティングなどに参加させると、話がまとまらない」
「自分が、これが最も良いと思っていた方法と違う意見ばかり出てくる」
「意見が幼稚で話にならないことが多い」 

その結果、彼女がしていた方法は、『誘導』『否定』『命令』ばかりでした。

「私は、この方法が良いと思うよ。これにしようよ」
「あなたの意見はわかるけれど、それじゃあうまくいかないわ」
「もっと真剣に考えてよ」
「もう、あなたの考えはいいから、私の言う通りにやって!」 

これでは、スタッフは積極的に意見を言おうとはしなくなります。 

「みんなで決めようと言いながら、最後は店長の意見で決まってしまうのならば、別に自分たちの意見なんて必要ないよね。店長ひとりで決めれば良いじゃん」

スタッフ達は、このように考えるようになってしまうのです。

店長以外に、スタッフが存在する意味

ほんとうに『店長の考え』が最も良い考えなのですか?

・スタッフ達は、店長よりも低いレベルの考えしか持っていないのですか?
・スタッフ達は、ほんとうにまじめに考えてはいないのですか?
・スタッフ達は、目標なんてどうでも良いと考えているのですか?

「スタッフの意見が参考にならない」などと言っている店長は、そもそもスタッフの良い考えを引き出せるような環境を普段から与えていないのです。

店長の方が、経験や情報、知識をたくさん持っているのは当たり前です。店長ですからね。

でも、店長は、スタッフの持っている経験や知識や情報を「全て」持っているわけではありません。

店長は『完璧ではない』のです。
もちろん、スタッフも完璧ではありません。

・店長は、会社から得る情報を省略せずに、きちんと確実に提供していますか?
・スタッフ達が、彼らの人生や生活、経験の中で多くの学びを得ていることを理解していますか?

そして、そんなスタッフが

・彼らの中にあるアイデアを自由に出せるようなミーティング環境を作っていますか?

そんなスタッフ達は、もっと鋭いアイデアを出してくる可能性があると思いませんか? 

スタッフの意見を引き出す『魔法の言葉』

「あなたはスタッフを信じることは出来ますか?」

店長にそう問いかけると、ほとんどが「出来ます」と答えてくれます。

でも、行動はそれを証明していません。
口では「信じている」と言いながら、行動は「信じていない」ことを表しているのです。

たとえば、スタッフの意見に対して「でも」「しかし」「いや」「ちがう」などと否定したり、条件付きで肯定したりしていませんか?

実は、そんな店長にお勧めの魔法の言葉があります。

それを使えば、スタッフ達の意見の質がドンドンと上がり、積極的に良い意見を出すようになるのです。

あなたに使って欲しい『魔法の言葉』とは…

「へえ~」「なるほど」「そうなんだ」「いいね」「面白いね」「もっと教えて」という、肯定と興味関心を表す言葉です。

溢れるスタッフの意見が、店を好循環に!

あなたがこの言葉を使うようになると、スタッフはもっとポジティブに「深掘りした考え」を出すようになります。

すると、まだスタッフを信じる行動が出来ていない「あなた」の、彼らを観る目が変わります。

そして、あなたはスタッフを信じることが出来るようになるのです。

言い換えれば、あなたがスタッフを信じられないのは、実はあなたの反応や言葉が原因なのです。

つまり、まだ「信じ切れていない」あなたは…
「へえ~」「なるほど」「そうなんだ」「いいね」「面白いね」「もっと教えて」が足らないのです。

さぁ、この言葉を言ってみましょう!

これを言えば、「こいつ… すごい!」と思えるようになりますよ。

間違いありません!私が保証します!!
 

次回は「コミュニケーションが上手く行かない『不安』は『相手に聴いて』打破しよう」というテーマでお話しします。お楽しみに!

  

  • 参考「『これからもあなたと働きたい』と言われる店長がしているシンプルな習慣」松下雅憲著(同文舘出版) 

株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

大阪出身。1980年日本マクドナルド(株)入社。店舗運営の現場と全社の出店戦略に関わり、2005年4月とんかつ新宿さぼてんを運営する(株)グリーンハウスフーズに入社。すぐに経営情報室を立ち上げ、経営情報の見える化、出店戦略システムの構築、さらにエリアマーケティングをベースにした店長教育システムを導入し大きな成果を上げた。2012年4月株式会社PEOPLE&PLACEを設立。代表取締役に就任。マクドナルドとさぼてんで確立したノウハウを独自の形に仕組み化した「店長ナビ®」を提供し、人材育成を通じて多くの外食企業や小売・サービス企業の業績向上に貢献している。