カレー屋の開業資金や必要な資格とは?経営を成功させるポイントを解説

フランチャイズWEBリポート編集部 |2019年09月28日 公開 (2020年10月19日 最終更新)
カレー屋の開業資金や必要な資格とは?経営を成功させるポイントを解説

飲食店の中でも、カレー屋は回転率が高いといわれており、限られた時間やスペースでも利益を上げやすいのが特徴です。しかし、リピーターを獲得するためには、飲食店としての基本を押さえながら、また来たいと思えるような1皿を提供し続けなければなりません。

今回はカレー屋を開業したいと考える人に向けて、開業資金や必要な資格、成功させるためのポイントなどについて解説します。

カレー屋の開業にはいくら必要?

一般的に、カレー屋の開業に必要な費用は、物件取得費や内外装工事費、整備投資費、広告宣伝費、運転資金などです。また、事業が軌道に乗るまでには少なくとも半年程度はかかると言われているので、資金不足ですぐに倒産しないようにするためにも、約半年分の運転資金が必要になります。

具体的な資金額は店舗の規模や内装費、場所や状態などの前提条件などによって異なるものの、都心で15~20坪、席数30席のお店をスケルトンから開業する場合は、次のような資金が必要になります(あくまでも参考例です)。

物件取得費 200万円前後
内外装工事費 400~700万円
設備投資費(厨房や什器など) 100万~250万円
開業諸経費(消耗品や広告費など) 100万~150万円
運転資金 400万円
合計 1200万円以上

平均的な開業資金の総額として800万~1200万円となるので、その程度を目安に用意しておいたほうが良いでしょう。 また、半年分の家賃や人件費など固定費を払えるように計画しておきます。計算の仕方はさまざまですが、開店当初はオープン景気でお客さんがたくさん来たとしても、その後まったく来ない日があることも想定されるので、家賃などの固定費と仕入や人件費などの変動費の両方を考慮した計算方法の方が無難です。
変動費は、一般的に売上目標の50~60%程度がよいとされていますが、これはあくまでも予定する場合の数値です。開店してからは、アルバイトのシフトやメニューを工夫してロスを減らすなどで比率を低くすることも考えていきましょう。

なお、開業資金を抑えるために、バーや居酒屋の店舗を昼間の間だけ借りたり、キッチンカーで開業する方法もあります。キッチンカーの場合、車輌代や設備費が別途発生するとはいえ、店舗を借りる場合と比べて開業資金が半分程度に抑えられることも多いものです。

カレー屋って儲かる?回転率の高さが利益を生む

カレー屋って儲かる?回転率の高さが利益を生む

カレー屋は、あらかじめライスとルーを用意でき、注文を受けてすぐに提供できるうえに、食べるのにさほど時間を必要としないため、必然的に回転率は高くなります。しかも、カレーは比較的多くの人に好まれるメニューであり、老若男女を問わず人気があります。そのため、飲食店の中でも需要が高く、集客しやすいといえるでしょう。したがって、もともとニーズの高いカレー屋にうまく客を引き寄せることができれば短時間でも大きな収益を上げることが可能です。

では、気になる収益額をシミュレーションしてみましょう。

仮に700円のカレーを1日に80皿販売し、月に25日営業できると、ひと月あたり140万円の売上になります。ここから原価や経費などを引いて、おおよその月収を計算します。

収支計算の内訳は次のようになります。

売上項目 金額
売上(700円×80皿×25日) 140万円
経費項目 金額
食材原価 40万円
人件費 30万円
水道光熱費 9万円
賃料 14万円
諸経費 8万円
合計 101万円

つまり、売上140万円―経費合計101万円=収益額39万円となります。 先ほど開業の際にいくら必要か説明した際に、運転資金の話をしました。このシミュレーション内容を元に、必要な運転資金を計算してみましょう。まずはひと月あたりの運転資金を計算してみます。

運転資金=固定費(賃料14万円)+変動費(食材原価40万円+人件費30万円)=84万円 

開業前には半年分の運転資金が必要となりますので、500万円ほど準備しておくことになります。

なお、それぞれの経費内訳には売上に対して適切であると言われる比率があり、それを超えないようにしながら比率を下げていけば収益額を伸ばすことができます。この比率は次のようになります。

経費項目 比率
食材原価 30%
人件費 30%
水道光熱費 7%
賃料 10%
諸経費 10%

この適正比率のままで事業を運営すると手元に残る収益は13%となり、売上額によっては少し物足りない額になることもあるでしょう。また、店舗の規模や人件費といった条件によって必要な経費は異なるため、必ずしも大きなリターンが手に入るとは限りません。

そこで、売上を伸ばすことと同じくらい重要なのが、経費などのコストを下げる工夫をすることです。
飲食店の売上を伸ばすには、客単価を上げるか、回転率を上げることしかありません。ただし、カレー屋は競合店も多く他店との味の差別化がしにくいため、安易な値上げは客離れリスクがあります。メニューの工夫や店舗の雰囲気作りなどでオリジナリティを持たせて固定客を作り、回転率を維持しながらコストを下げていくようにしましょう。

調理師免許がなくても大丈夫!カレー屋の開業に必要な資格とは

飲食店であるカレー屋の開業には、どのような資格や認可が必要なのでしょうか。必須の資格や、カレー屋をやるならとっておきたい資格を紹介します。

飲食店開業には必ず必要な食品衛生責任者

カレー屋を開業するために必要な資格となるのが、食品衛生責任者です。カレー屋に限らず、飲食店を開く場合は店舗ごとに1名以上の食品衛生責任者を置かなくてはなりません。なお、飲食店の開業には調理師免許が必要だと思われることが多いですが、調理師免許は「調理師」を名乗っていいという免許です。そのため調理師免許がなくても、飲食店を開業することはできます

外国人スタッフに必要な資格

特に注意しておきたいのが、外国人従業員を雇う場合でしょう。カレーという食べ物の性質上、雰囲気を作るために外国人を雇うということは十分に考えられます。しかし、外国人が日本国内で仕事に就くためには、仕事内容に応じた適切な在留資格を有していなくてはなりません。

また、雇用する場合には相手が理解できる言語で雇用契約書を作成し、雇用契約を締結するとともに、就労ビザの申請を行なう必要があります。あとから無資格であることが判明したり、申請に不備があったりすると思わぬトラブルが生じるかもしれません。あらかじめ雇用時の必要な手順や注意点はしっかりと確認しておきましょう。

取得していると役に立つ資格

カレー屋を経営するのであれば、ぜひほしい資格が「カレーマイスター」と「カレーエキスパート」です。単なるカレーマニアではなく、カレーやスパイスについての十分な知識を持っていることを証明でき、お店の信頼感を高めたり、競合店との差別化ポイントとして使うこともできます。 それぞれの資格取得のための条件は次のとおりです。

資格 認定者 取得条件
カレーマイスター 日本野菜ソムリエ協会 ・講座の受講
・修了試験の合格
・課題の提出
カレーエキスパート 日本カレー機構 ・カレーに関する実務経験者であること
・以下の3つのうちどれかを満たすこと
 1.認定試験の合格
 2.講習(2時間)+簡易検定の合格
 3.カレー大学の講座(1日)受講

カレー屋をはじめるのに必要な申請は?

カレー屋をはじめるのに必要な申請は?

カレー屋は、単純に開業届を出せば始められるというものではありません。ほかの飲食店と同様に、食品衛生法に基づく営業許可の申請を行なう必要があります。許可を受けるためには各都道府県が定める施設基準に適合した設備が必要です。

申請や査定がスムーズに行った場合でも取得まで2週間程度かかりますので、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。また、イベントなどで臨時出店を行なう場合は、消防署に露店などの開設届出を提出する必要もあります。

なお、キッチンカーで開業する場合は、申請は少し複雑になります。キッチンカーは移動してどこでも店を開くことができる反面、出店場所の地域すべてにおいて食品営業許可をとらなければなりません。

また、営業場所であるキッチンカー以外の場所では仕込みができないうえに、地域によっては車に搭載する給水タンクの容量が決まっていることもあります。各地域での許可申請をおこなう際には、許可が下りる条件をすべて確認しておき、どこでも営業できる状態に持っていくことが大切です。

カレー屋はどうしたら開業できる?開業までの流れを解説

資金調達から物件選び、そして開店準備まで、カレー屋開業のプロセスを紹介します。

資金調達

カレー屋を開業するためには、まず開業届を出すとともに、運営に必要な資金を調達する必要があります。日本政策金融公庫の資料によると、飲食店開設資金の調達先の約55%が金融機関となり、自己資金でまかなえた人は約33%となります。また、「開業時に注意すればよかったこと」として創業者の回答率が最も多かったのは「自己資金が不足していた」です。

自己資金が不足している際に金融機関から調達する場合にも、総投資額の1/3を目安に自己資金の準備をしておく必要があります。計画的に資金を貯めるようにしましょう。

物件取得

開業資金の調達と並行して、店舗とする物件を選定します。立地条件は集客に大きく影響するので、本当にその場所でカレー屋の需要があるかどうか調査しながら、慎重に選ぶようにしましょう。

内装・外装工事

物件が決定した後は、内外装工事を行います。このとき、運転資金が不足しないように、工事費を抑えられるか検討しましょう。設備については中古品をうまく取り入れることによって、コストダウンをはかることもできます。

開店準備

提供すべきメニューも決定したら、いよいよ開店準備です。オペレーションが定まっていないため、人を雇う場合はスタッフは早めに採用し、教育をおこないましょう。集客のためにチラシやDMを近郊に配布するのはもちろんのこと、SNSを活用して情報を広げるのも効果的です。

また、開店前には友人や知人に試食してもらい、出してもらった率直な意見を開店時までにフィードバックするようにしましょう。

自分の店を人気店に!カレー屋の開業を成功させるポイント

カレー屋の開業を成功させるポイント

開業資金をはじめ、営業許可など必要なものさえきちんと用意ができれば、誰にでもカレー屋を始めることはできます。しかし、人気のあるカレー屋を作り事業として成功に導くためには、試行錯誤を繰り返してひたすら努力しなければなりません。こうすれば必ず成功するというポイントはありませんが、成功している店が実施している事柄にはいくつもの共通点があります。

コンセプトがしっかり決まっている

飲食店の成功は、店舗の立地や内装などに大きく左右されると思いがちですが、特にカレー屋は競合店も多いため、その店のカレーのコンセプトやターゲットがしっかりしていることが重要です。

日本ではここ10年ほどでカレーの世界が広がっています。種類だけでも、インド風、タイ風、ネパール風とアジアンテイストのカレーがポピュラーになっていますし、日本発のスープカレーやカレーうどんなど、日本独特のカレー文化も定着しています。

カレーをアジアのスパイス料理としてとらえた上で、自分の店のカレーのコンセプトとは何かを考えていきましょう。

こだわりのカレールーを作る

カレー屋の開業を成功させるためのポイントのひとつは、こだわりのカレールーを作ることです。当然ながら、カレー屋にとってカレーはもっとも重要な商品ですから、誰でもそれなりに美味しいカレーを作ることはできるでしょう。

これからカレー屋を始めてみようという方のほとんどは、カレーが好き、スパイスに詳しい、プライベートでも「自分の」こだわりカレーを誰かにふるまってきたという人が多いと思います。

ただし、いざ客相手にカレーを提供するとなると、それだけでは足りません。数多いるライバル店のなかから選んでもらいリピートしてもらうためには、その店でしか味わえないカレーである必要があるのです。スパイスの調合はもちろん、食材、煮込み時間、辛さ、ライス、ヘルシーさ、見た目の斬新さなどを考えて、ターゲットとなるお客が「また行きたい」と思える独自のカレーを目指しましょう。

こだわりのカレールーを作る

清潔感のある店にする

飲食店の基本であり、もっとも重要なポイントのひとつが、店の清潔感です。特に、カレーは香りや色合いが強いため、清潔感をきちんを保つようにしましょう。

清潔感のある店にする

立地を徹底的に調査する

カレー屋の開業を成功させるためには、店舗の立地も徹底的に調査する必要があります。立地の良さは売上に直結するうえに、一度店舗を構えると移転に手間がかかるので、間違いのないようにしなければなりません。駅前のように人の多いエリアは集客が見込める反面、賃料も高くなりがちです。

また、競合する店舗の存在も売上げ影響を及ぼすでしょう。こうした条件を可能な限り拾い上げるようにすれば、自分の店に適した立地を選べるはずです。もちろん、提供するメニューは立地における客層と一致しているかどうかも視野に入れておくべきでしょう。

住宅地であればファミリー向けのメニューが、オフィス街であれば安くて量が多いものが好まれるものです。立地を決める場合にはこうしたマーケティングにも注意が必要になります。

立地を徹底的に調査する

ターゲットやコンセプトが統一されているか振り返る

日本風や欧風、あるいはスパイスの効いたインドカレーといったように、カレーにはいくつかの種類があります。作るカレーは、そのまま店のコンセプトになるといえるでしょう。店のイメージや味とともに、客のターゲットをコンセプトと揃えることが、カレー屋の開業を成功させるポイントです。

しかし、自分で苦労して生み出したスタイルの場合、仮にコンセプトにずれがあったとしても、自分ではなかなか気づけません。その様なことが無いかどうか、第三者の意見を参考にすべきです。 また、繁盛店がなぜ繁盛しているのか、コンセプトは何か?を探ることも参考になるでしょう。カレー屋で成功している店の中には、創業者が人気カレー屋でアルバイトや修行をし、自分なりのこだわりカレーを研究したというケースもあります。 この様に、自分だけの思い込みによらず、客観的な視点でターゲットやコンセプトを定めるようにし、それに基づいて店を展開していくことが成功への近道です。お店の経営をしていると、何かしら課題にぶつかることも出てきますが、ターゲットやコンセプトがしっかりしていれば、解決策もぶれることがありません。

ターゲットやコンセプトが統一されているか振り返る

廃業する店も多い?カレー屋開業での失敗理由とは

廃業する店も多い?カレー屋開業での失敗理由とは

回転率が高く、利益が大きいカレー屋であっても、経営管理が甘ければ失敗するでしょう。原因のひとつは、カレーそのものにこだわりすぎて原価管理がおろそかになり、利益が上がらないことです。こだわった結果、1皿あたり1000円以上で販売したいと思うカレーになるかもしれません。

しかし、それだけのお金をお客さまからいただくためには、相当の工夫が必要になるでしょう。大衆的なカレーを作るのか、あくまでこだわりを貫き通すのかをよく考えながらメニューと原価の調整をおこなうことが大切です。

また、スタッフのオペレーションがうまくいかず、回転率が上がらないことも失敗の原因に挙げられます。店の規模や構造、客の入りによって最適なオペレーションは異なるものです。場合によってはスタッフの数も調整するなどして、人件費と最適なオペレーションのバランスを分析するようにしましょう。

何度でも通いたい!美味しく独自性のあるカレー屋を開業しよう

カレーは多くの人に好まれるメニューです。しかし、数あるカレー屋の中から足を運んでもらうためには、他では食べることのできない、特徴のあるカレーが必要になります。

なお、フランチャイズであれば、すでに世間に認知されている人気の味をそのまま提供することができます。そのブランドには既にお客がついている状態ですので、開業リスクを減らせるだけでなく、フランチャイズ本部によっては、ノウハウを活かしたさまざまなサポートを行なってくれます。

たとえば、的確な立地探しのアドバイスや、店舗運営の研修、集客、販促のサポートなどです。こうしたサポートにより、個人が一から開業するよりも時間や労力の負担を減らすことができます。

もちろん加盟を検討している方だけでなく、将来的に独自の店舗を作ろうと考えている方も、我流を貫くだけというのは失敗の原因になります。まずはうまくいっている店舗のどういった点が優れているのかを学ぶために、フランチャイズを知ることから始めてみてはいかがでしょうか。

カレー屋の開業資金や必要な資格とは?経営を成功させるポイントを解説

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