不動産屋の開業はスモールスタートがおすすめ!独立開業で成功するための5つのポイントとは
不動産業界で経験を積んだ人のなかには、独立して不動産業を営むことを考えている人もいるのではないでしょうか。ただ、同じ開業方法でも、独自開業する場合とフランチャイズ契約をして開業する場合で違いもあります。
また、開業する手順をしっかり把握し、免許の申請や資金の準備もしなければなりません。そこで、この記事では不動産業の開業方法や成功するためのポイントについて詳しく解説します。
不動産業務ってなに?
不動産にかかわる仕事は、大きく分けて「賃貸」「仲介」「売買」の3つがあります。賃貸とはアパートの大家さんで、副業+資格なしで始められます。仲介や売買は、自分もしくは第三者の物件を扱うので取引業に当たり、開業するには資格が必要です。この記事では、独立開業を目指す取引業について扱います。
不動産業のビジネス構造は「利益=売上-費用(原価・人件費・経費など)」という関係性にあります。ここでいう売上とは、不動産の仲介(媒介)による手数料収入で、費用は人件費やチラシの印刷などがあたります。基本的に在庫を持たなくて良いので、売買などでは金額が大きい割にはリスクも少ないと言えます。
考えるべき選択……それは賃貸か売買か
不動産取引事業にはいくつかの収益モデルがありますが、大きくは賃貸業と仲介業の2つに分けられます。賃貸業は、物件情報を掲載して問い合わせが来るのを待つ営業なので、営業スキルは必要ありませんし、未経験からでも始められるのが特徴です。ただし、物件を契約してもらうための接客スキルは必要になります。
一方、不動産売買や仲介を行なう取引業は、広告の出稿、物件の査定、ローン審査、決済など、不動産に関する幅広い知識や金融に関する知識、契約につなげる営業力が欠かせません。顧客を納得させられるだけの豊富な知識と訴求力がなければ利益を得るのは難しいものの、経験とスキルがあれば大きな収入につなげられるのが魅力です。
いずれにしても、取引業には宅建資格を持つ人員が必要です。あなた自身が取得しても良いでしょうし、一緒に開業するビジネスパートナーがいる場合はその人が取得するのでも大丈夫ですが、まずは宅建資格の取得が最優先事項です。
一般的な収入
不動産業の収入は、業務内容によっても違いが見られます。一般的に、不動産会社に勤めている人の平均年収は、賃貸を扱う不動産会社なら300~600万円、売買をメインにする不動産会社なら600~2,000万円といわれており、独立開業することでコンスタントに1,000万円以上の年収を狙うことが可能です。
不動産の開業で収入をアップさせるためには、営業スキルを高めるのはもちろん、専門知識を有している証として、後に紹介する宅地建物取引士の資格はぜひとも取得しておきたいところです。
とくに、1人で開業する場合は資格を持っていることが絶対条件となります。
不動産業の開業に必要な資格
営利目的で仲介や売買などの不動産取引を事業として行なう場合、宅地建物取引士という資格が必要です。
以前は「宅地建物取引主任者」でしたが、2015年の宅建業法改正によって「主任者」から「士」に変更されています。ネット上にある情報を見ても、まだまだ宅地建物取引主任者となっているサイトが多いですが、この機会に「宅地建物取引士」という正式名称で覚えておきましょう。
また、不動産に関連する事業としては、アパートやマンションなどを管理する仕事があります。こうした管理業務を行って手数料をもらうときは、マンション管理士の資格が必要です。
さらに、不動産物件を扱ううえで、的確に不動産の価値を判断できることは大切なポイントになるでしょう。そのため、不動産の価値を判定する不動産鑑定士の資格もあれば、不動産取引において説得力が増します。
不動産の取引に必要な国家資格「宅建」とは
宅建や宅建士という言葉をよく耳にしますが、これらは「宅地建物取引士」の略称で、国家資格です。 多くの人にとって住宅の賃貸契約や購入は、そんなに頻繁には行わず、かつ高額な金銭のやりとりが発生するものだと思います。そのため不動産の売買や賃貸物件のあっせんをする際には、その物件の重要事項を買主または借主へ説明し、契約書の内容を確認し、契約の当事者同士が記名・押印をする手続きが必要になります。
宅地建物取引士の資格を持っていると、不動産取引に精通した専門家として、重要事項の説明、重要事項の説明書面への記名・押印、契約書への記名・押印の手続きをできるようになります。資格を持っていない人は、このような行為ができません。宅地建物取引業法では、ひとつの事務所において従業員5人につき1名以上の割合で、専任の宅地建物取引士を設置することが義務付けられています。
資格を取得するには、毎年20万人ほど受験する「宅建試験」に合格する必要があります。宅建試験は、一般財団法人 不動産適正取引推進機構が年に1回、10月の第3日曜日に開催しており、試験内容は民法、宅建業法、不動産の知識、税金に関する内容など多岐にわたります。
2時間の試験で出題数は50問あり、すべてマークシート方式で行なわれます。およそ75%の正解で合格できますが、合格率は15%〜17%くらいのため簡単に取得できる資格ではありません。独学で合格を目指す人もいますが、専門的な知識を身につける必要があるので、通信講座や専門学校で学ぶのが一般的です。
独立したい!不動産業の開業方法
不動産業をはじめるためには、事務所を構え、会社の設立や開業届の提出をしなければなりません。また、宅地建物取引業免許の申請を行い、宅建協会や全宅保証に加入することも必要です。この段落では不動産業を開業する方法について詳しく説明します。
事務所を構える
不動産業を営むためには、営業の拠点となる事務所が必要です。事務所は賃貸のほか、自宅を事務所として活用する方法もあります。
はじめて自分で事務所を構えて不動産業をスタートさせるときは、規模も小さいことが多いでしょう。そのため、最初は自宅の一部を事務所として開業し、のちに規模が拡大してから大きな事務所を借りて移転するということも可能です。
ただし、事務所と自宅の出入口を別に設けたり、事務所とプライプライベート空間を壁で仕切ったりして独立したスペースにさせる必要があります。さらに、接客用の机、椅子などがあって明確に事務所の形態として整っているスペースになっていることなど、自宅を事務所にするためには欠かせないポイントがあります。事務所とは謡っているものの、自宅との区別がほとんどなく生活感が漂う空間では法人として認められない場合もあるので注意しましょう。
一方、事務所を借りる場合は賃借のためのコストをみておくことが必要です。しかし、営業するうえでは自宅を事務所とするよりは借りたほうがしっかりした事務所に見えて信用度は高いため、資金調達できるなら事務所は借りたほうがいいでしょう。
なお、最近はシェアオフィスの利用も可能になっています。詳しくは、次章の「事務所の今風な開設の仕方」で紹介しています。
会社の設立または開業届の提出をする
実際に営業しようとするときは、会社の設立または開業届の提出が必要になります。個人事業主として開業届を提出し、不動産業を営むことも可能です。しかし、法人のほうが信用度が高いのはもちろん、規模が大きくなれば税法上有利になったり、万一倒産した際のリスクが少なくなったりするメリットがあります。
ただし、会社を設立する場合は手続きに1週間ほど有するため、余裕をみておかなければなりません。事務所を賃貸にする場合は賃貸契約や賃料のことも考えて、設立の手続きは早めにすませるようにしましょう。
なお、法人設立にかかる費用は24万2,000円となっており、内訳は以下の通りです。
設立にかかる登録免許税 | 15万円か出資額の1000分の7のいずれか高い額 |
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定款の謄本手数料 | 1枚250円、大体8枚で2,000円程度 |
定款の認証手数料 | 5万円 |
収入印紙代 | 4万円(電子定款のときは不要) |
※2021年12月時点の情報です。
宅地建物取引業免許を申請する
不動産業を営むためには都道府県知事または国土交通大臣による宅地建物取引業免許を取得しなければなりません。これは個人であれ法人であれ、同じように必要です。
事務所が1カ所の場合や、2カ所以上でも同一都道府県内ならば当該都道府県知事の免許ですが、複数の事務所を構えて2つ以上の都道府県にまたがる場合は国土交通省免許になります。
免許の申請のためには、いくつかの登録基準があります。
・所在地
・一定数以上の宅地建物取引士を設置している
・業務を継続的にできる事務所の形態である
・申請者や会社の役員が欠格事由に該当しない
必要書類をそろえて申請者本人が申請窓口に提出すると、4~6週間の厳重な審査を経て受理されるという流れです。
全宅保証・宅建協会に入会する
全宅保証(全国宅地建物取引業保証協会)
もし、不動産の取引に関して事故が発生した場合、不動産業者は取引の当事者に対して損害賠償をする必要があります。そのようなリスクに備え、不動産業を開業するときは営業保証金として法務局に1000万円を供託しなければなりません。しかし、これから開業しようとする者にとって、1000万円という金額は負担になることも多いはずです。
そこで、営業保証金に代わる制度として、全宅保証(全国宅地建物取引業保証協会)に入会し、弁済業務保証金を預けるという方法があります。全宅保証に入会すれば営業保証金は免除され、弁済業務保証金として預ける分担金は主たる事務所が60万円、その他の事務所ごとに30万円です。
宅建協会(全国宅地建物取引業協会連合会)
不動産業界の発展や、安心・安全な不動産取引による消費者保護などを目指して設立された宅建協会(全国宅地建物取引業協会連合会)には、不動産業者の約80%が加入しています。もちろん、宅建協会に加入しなければ不動産業を営めないというわけではありません。
ただし、宅建協会に加入すると同時に全宅保証にも加入できるほか、開業支援や営業支援をはじめとしたさまざまなサポートを受けることが可能です。
宅建協会に加入すると、レインズという全国の不動産業者だけが利用できる不動産のネットワークシステムを閲覧できます。つまり、宅建協会に加入すれば、他の不動産業者とほぼ同じ物件を扱えるようになるので、新規開業した際の不利がなくなります。
また、物件売買の仲介を事業として行なうには宅建協会への加入が必須です。売買仲介業務は賃貸仲介業務よりも大きな利益を得られるので、不動産業を開業するなら売買仲介事業は外せません。なお、宅建協会への入会金は60万円です。
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小さく独立してみる
不動産取引業を開業するには小さく始めるのもひとつの方法です。事業の規模やサービスを限定したり、一人で開業することを「スモールスタート」と呼びますが、スモールスタートだからこそ事業を成長させる喜びを感じられます。ここでは、スモールスタートの手法と注意点、未経験の場合の壁について解説します。
小さい不動産屋の始め方「集客編」
事業を運営していくには売上が必要で、そのためには集客が欠かせません。スモールスタートの経営者ができる集客方法としては、まずポータルサイトへの出稿があります。小さな不動産屋は注目されにくいので、お金を払ってでも集客するのはとても大切です。
たとえば、大手の不動産系ポータルサイトへの出稿はアクセスが集まりやすい傾向にあり、駆け出しの不動産経営者にとって効率性の高い集客方法と言えます。
インターネットを見ない人もいることを考えると、新聞折り込みチラシも有効です。とくに、購読率が高い中高年をターゲットにした物件を取り扱う場合に効果を期待できます。費用を抑えたい人はポスティングも検討したい手法です。ただし、ポスティングに時間を割いていると本業が疎かになってしまうので、取引先回りのついでにポスティングする程度が良いでしょう。
とくに大切なのは、ネット上の店舗となるホームページ、そしてお客様を紹介してもらえる人脈です。ホームページの制作は費用がかかるうえに即効性が高くないものの、検索サイトの上位に表示されるようになると自然に集客できるので、大切に育てましょう。
また、以前に勤めていた企業や知人などの人脈から集客できるケースも多々あるので、開業前から案内しておくのがおすすめです。
小さい不動産屋の始め方「戦略編」
やるべきことが多岐に渡るスモールスタートだからこそ、経営は戦略的に進めましょう。1人でできることは限りがあるので、広範囲を狙った経営よりも地元に密着して狭いエリアをターゲットにした営業がおすすめです。地域で認知度を高めることができれば、人脈の構築も可能になるでしょう。
また、取り扱う物件ジャンルを絞り込むのも良い方法です。特定の物件だけを取り扱い「〇〇のジャンルに強い不動産屋」といった評判が高まると安定した集客につながります。効率性を重視し、資金にも余裕があるならアウトソーシングを活用するのもひとつの方法です。
経営者として欠かせない仕事は自分で対応し、事務作業は外注に任せることによって経営を効率化し、事業拡大のスピードを早めることが可能になります。
事務所の今風な開設の仕方
開業にあたっては、開業資金がネックと考える人もいるかもしれませんが、シェアオフィスの活用により初期投資を低く抑えられます。法人登記や住所登録ができるシェアオフィスなら開業もスムーズです。
顧客との商談はオンライン形式で可能なので、無理に広くて立派な事務所を構える必要はありません。
むしろ、事務所開設にかかる費用を抑え、経営するうえで必要な部分に資金を投入するのが今風の手法と言えるでしょう。
未経験の壁はどうやぶるか
不動産業未経験でも開業は「可能」ですが、2つの大きな厳しい壁があります。まずは「宅建士」の資格です。一人で開業する場合は宅建士の資格取得が必須ですが、合格率15%前後ともされる宅建士の資格を取得するのは簡単ではないでしょう。
そして、不動産業界が未経験かつ新米経営者ということで銀行からの融資も受けられません。こういった未経験の壁を乗り越えるには、やはり不動産業会に一度身を置いて経験値を重ねるのがおすすめです。
不動産会社で働くと、資格試験の合格率向上につながる宅建登録講習も受けられるので前向きに検討しましょう。
不動産業の開業時に必要な資金
不動産業を開業するとなると、さまざまな資金が必要です。ただし、独自経営するときと、フランチャイズに加盟して開業する場合では準備する資金に多少違いもあるため、それぞれのケースについて説明します。
独自経営の場合
独自経営で不動産業を営もうとする場合、営業保証金だけでも1000万円必要です。全宅保証に入会すると1000万円の営業保証金は免除されますが、宅建協会への入会金60万円および全宅保証への入会金20万円、弁済業務保証金分担金60万円は最低限必要になります。宅建協会への入会金は地域によって異なりますが、この時点で最低140万円程度は必要です。また、法人登記をする場合は、法人設立費用が24万2,000円、宅建都道府県庁申請料が3万3,000円必要です。
事務所を賃貸で借りるときは、賃貸契約の際の初期費用や賃借料、駐車場代も考えておかなければなりません。さらに、事務所の内装費用、業務を行うための事務機器・備品を揃える費用、宣伝費用が合計で200万円ほどかかります。
以上のように、さまざまな必要経費を考え合わせると、独自経営で不動産業を開業する場合、法人なら500万円ほどの資金は用意しておきたいところです。だといわれています。個人事業主として自宅の一部を事務所として開業し、かなり節約したとしても400万円ほどは用意しておかなければならないと考えておいたほうがいいでしょう。
開業費をできるだけ抑えるには、シェアオフィスの活用をおすすめします。シェアオフィスなら、設備も最初から用意されているので最低限の費用で済むのがメリットです。資金の少ない人ほど積極的に検討しましょう。
フランチャイズに加盟する場合
フランチャイズに加盟して不動産業を営む場合でも、宅建業界や全宅保証に加入する入会金や保証金、事務所としての体裁を整えるための費用は同じように必要です。
それに加えて、フランチャイズに加盟すると、ほかにもフランチャイズへの加盟金と保証金も必要となります。さらに、フランチャイズの契約を続けている限りサポートを受ける代わりにロイヤリティを継続的に支払わなければならないため、開業後の費用も考えておかなければなりません。
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不動産業での開業に向けて!知っておくべき成功のポイント
住まいという生活に直結するものを扱い、大きな金額が動く不動産業で成功するためには、なにより信用が大切です。自分では良いと思っていても、相手にとって望んでいるものでなければ顧客の望みを満たすことはできません。
そのため、顧客の要望を的確に把握できるような聞き取りができることや、丁寧・親切な対応ができることが求められます。たとえすぐには契約に至らなくても、信用を得られるような営業活動をマメに続けることで、後に契約に至ることもあります。
また、不動産業では人脈を持っていることも大切なポイントです。開業前に勤めていた会社や不動産業に関連する会社、人物などに、開業直後の事業が軌道に乗るまえでも顧客を紹介してもらえる信頼関係があれば力強い味方になります。開業後すぐでも見込み客を呼べる人脈があることは、成功につながりやすいのです。
コロナ禍で不動産業界はどう変わったかを知る
新型コロナウイルスによって私たちの暮らしは大幅に変わりましたが、不動産業界にもその影響は及んでいます。たとえば、コロナによるテレワークの推進で、東京都を中心にオフィス面積の縮小や移転をした企業がたくさんあります。つまり、東京都内のオフィスビルは空室率が高まっているということです。
また、住宅需要もコロナ禍を背景に様変わりしました。以前はマンション需要が高まっていた地域でも、戸建て住宅の需要が高まりを見せていて、2020年6月以降は中古の戸建て住宅の成約件数が伸びているようです。戸建て住宅は、マンションに比べて利便性が高いとは言えないものの、十分な広さを確保できるうえに騒音のリスクも低減できます。
コロナウイルスが収束した後の世界がどうなるのか、元の生活に戻るかどうかは誰にもわかりません。どちらに転んでも不動産業界には社会情勢を反映した需要があるはずなので、市場動向には常に注意が必要です。
リノベーションにも注目
戸建て住宅の需要が伸びている一方で、新築住宅の着工戸数は減り続けているという事実があります。これには、長引く不況により収入が減ってしまい住宅購入資金を用意できない人、収入が少ない若年層などにとって新築住宅は手が出ないという背景もあるようです。
新築住宅を購入できないのであれば、中古住宅を購入してリノベーションしようと考える人も出てくるでしょう。こういった市場動向に目を向け、売れる戦略を練ることも不動産の開業では大切なポイントです。
インターネットを効果的に使おう
不動産業を開業して成功させるためには、情報の発信が大切です。そこで活用したいのがWebサイトですが、サイトを作るだけでは集客を見込めないので、以下に挙げる2つのポイントを重視しましょう。
まず、顧客がWebサイトを訪れる際に検索するキーワードを知ることから始めます。無料で利用できるGoogleのキーワードプランナーを活用すると、需要の高い検索ワードを調べられます。
次に、不動産に関する有益な情報を記事にして発信しますが、記事内には需要の高い検索キーワードを盛り込むことが重要です。Googleでは、ユーザーニーズを満たす記事ほど上位表示されやすいといわれているので、よく検索されるキーワードを盛り込んで記事を作成しましょう。記事数が100を超えると、広告を打たなくてもある程度のアクセスが集まる可能性が高まるので、広告費の削減と自社のブランディングに役立ちます。
非接触での営業にトライ
コロナ禍を背景に、オンライン接客やオンライン内見が一般的になりつつあります。インターネットを介して顧客に物件の説明をしたり、室内を見てもらったりしてオンラインで契約まで完結するため、遠方にいる顧客には利用価値が高く、不動産会社にとっては業務効率が上がる接客方法です。
なお、VR(ヴァーチャルリアリティ)で実際にその場にいるような体験ができるオンライン内見は契約につなげる武器になるため、開業時に導入しておいたほうが良いでしょう。
デジタル技術の活用
電子契約や不動産業務支援システムなどのデジタル技術も開業時に導入しておきたいところです。インターネット経由で契約する電子契約は不動産取引では適用外でしたが、法改正により遅くとも2022年5月19日までに電子契約ができることが決まっています。
また、不動産業務支援システムがあれば、物件情報の登録や顧客管理、書類管理など、不動産業界における事務作業を効率化できます。
まずは一人で開業することを考える人にとって、ツールは大切なビジネスパートナーになりえるため積極的に活用しましょう。
不動産業をフランチャイズで開業するメリット
不動産をフランチャイズで開業すると、独自経営では得ることができないさまざまなメリットがあります。そこで、この段落では不動産をフランチャイズで開業するメリットについて3つ挙げて詳しく説明します。
全国にあるコンビニ店舗数は約5万件、不動産事務所は約12万件となっており、不動産事務所のほうがコンビニの店舗数よりも2倍以上存在しています(2016年時点)。不動産事務所が乱立しているとも言える状況下で生き残るためにも、以下に挙げるフランチャイズならではのメリットを活かせるといいでしょう。
ブランド力で信頼を得られる
土地や建物の取引となれば、その金額は高額なものになります。一般の消費者にとって、家は一生に一度の買い物といわれるほど、人生の中でも大きな選択を迫られることになるはずです。
そのため、顧客にとっては不動産業者が信頼できるかどうかが重要な決め手になります。知名度の高いフランチャイズに加盟すれば、そのブランド力で顧客の信頼を得やすくなるのが大きなメリットです。
知名度で集客ができる
独自経営で営業をはじめた場合、最初はなかなか信頼を得るのが難しいこともあるでしょう。しかし、フランチャイズでは最初から有名店の看板を借りることができるため、開業当初からある程度の集客を望めるのもメリットです。訪れてくれた顧客を大事にし、営業努力を続けることでさらに集客を増やし、成果に結びつけることができます。
システムの導入や経営の支援を受けられる
フランチャイズに加盟して得られるメリットとして、さまざまなサポートを受けられるということもあります。初めて独立して不動産業を営むときは、わからないことや不安なことも多いでしょう。
フランチャイズ店を多く抱える有名ブランドにはノウハウが蓄積され、システムも整っていることが多いです。そのため、最新のシステムを使用できたり、同業者と交流する機会があったりするなど、独自経営ではなかなか得られないチャンスがあります。もちろん、経営サポートも受けることができるため安心です。
ネット活用が容易、CMも本部がやってくれる
フランチャイズとはいえ、知名度だけで集客するのは限界があるでしょう。多くのフランチャイズ本部では、HPを作るシステムがあったり、広報としてCMが使えたりするので、集客に失敗するリスクを軽減できます。独自経営では多額のコストがかかる部分も、フランチャイズなら本部が対応してくれるので安心です。
不動産業の開業は集客力と信頼が大切!
不動産業を開業するときは、手続きや準備が多くあります。また、不動産業で成功させるためには集客力があることはもちろん、顧客から信頼を得られるかどうかも大切です。
フランチャイズに加盟すれば、有名店ならではの知名度やブランド力があることで開業しやすいといえます。ほかにも、不動産業を営んでいくうえで必要な経営サポートなども受けることができるため、不動産業を開業するときはフランチャイズの加盟も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
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不動産開業についてのよくある質問
宅建協会には研修がありますか?
あります。宅地建物取引士の知識や能力の向上を目的にした研修が全国各地で行われていて、スケジュールもホームページ上で公開されています。研修動画も用意されているため理解できるまで何度でも繰り返して見ることが可能です。研修では、全宅連(全国宅地建物取引業協会連合会)が認定する不動産キャリアパーソンの資格を取得できる講座もあります。任意資格とはいえ、取得によって「消費者への適切な情報提供ができる人」として認められます。
法人だと免許番号を有利に使えると聞きましたが、どんな意味がありますか?
宅建免許は5年ごとに更新があり、法人の場合は更新をする度に免許番号の数字が1つずつ増えていきます。つまり、数字が大きくなるほど長年に渡って営業を続けている証明になり、会社としての信頼度が高くなるのです。不動産取引では業者間の取引も行われますが、そのときに必ず免許番号を確認されます。開業後は、取引をする相手企業の免許番号も必ずチェックしましょう。
無担保・無保証人でも融資してもらえますか?
日本政策金融公庫の「新創業融資制度」は、条件を満たすと無担保・無保証人で融資を受けられます。条件は3つあり、まずは創業後2期を経過していないことが基本的な条件です。そして、新規創業の方は創業資金総額の10分の1以上の自己資金を用意しておく必要があります。自己資金は自分で用意したお金ですから、借りてきたお金を自己資金とするのはNGです。なお、融資を受けるには創業計画書の提出が求められます。難しく感じるかもしれませんが、日本政策金融公庫では積極的に融資を行なっているので、計画書の書き方についてもサポートを受けられます。
株式会社と合同会社(LLC)のどちらがいいですか?
合同会社(LLC)とは、新会社法により新設された会社形態です。社員が資金を出資して会社を経営するのが特徴で、出資者である社員が経営者となるので意思決定が早くなります。6万円の費用で設立できるため、約20万円かかる株式会社に比べてメリットが大きい点も見逃せません。また、利益配分については、株式会社は出資比率に応じて決まり、LLCは定款で自由に決められる点に違いがあります。こういった点に着目し、あなた自身に合った会社組織をつくりましょう。