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2016-11-20 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役
松下 雅憲 |
雇ったばかりの新人スタッフを辞めさせない方法 【前編】
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このコラムのポイント
世間にはフランチャイズ店だけをとっても星の数ほど存在します。その中でも、人気のある店もあれば、そうでない店もあるのは何故なのでしょうか。今回のコラムでは、お店の明暗を分ける大きな要因の一つ「良いスタッフを雇い入れるための心構え」について学ぶことができます。
フランチャイズWEBリポート編集部
10月30日のコラム「繁盛店が採用している「従業員満足」の測り方」で、新しい「従業員満足度」の評価の考え方をお話ししました。
簡単に言うと、従業員満足度は満足度の%で計るのではなく、満足度の成長ステージを計ろうというお話しです。そのステージとは、次の6段階です。
【第1ステージ】快適な労働環境
【第2ステージ】報酬と承認
【第3ステージ】目標と評価
【第4ステージ】成長と自律
【第5ステージ】貢献と責任
【第6ステージ】感謝と誇り
今回のコラムは、この第1ステージ「快適な労働環境」についてお話ししましょう。
新しい環境への期待 〜スタッフの一員になる〜
「じゃあ、あなたはこのユニフォームね。ロッカールームで着替えてきて下さい。」
新しいアルバイトやパートさんが、入店初日のオリエンテーションを受け、いよいよユニフォームに着替えてお店に入ります。
なんだかワクワクドキドキしますよね。
私も、高校3年生の時に始めてアルバイトをしたときのあの緊張感は未だに鮮明に覚えています。
先輩スタッフに連れられて事務所に行き、そこでユニフォームを渡され、それに着替えるとき、今まではお客様として客席から見ていたユニフォームに袖を通すのです。身が引き締まる思いです。
期待を「不審」に変えてしまう瞬間
人によっては、そのユニフォームにあこがれ、早く来て仕事をしたいと希望に燃えてその日を迎えているかも知れません。
ところが、そんな新人さんに渡されたユニフォームが、もしも…
・クリーニングしたてのものではなく誰かが着た後のような感じだったら
・ほつれていたり汚れが残っていたりしたら
・サイズが全然合っていなかったら
その新人スタッフはどんな気持ちになるでしょう?… 悲しいですよね。
また、こんな悲しいこともあります。
初日を迎えた新人スタッフが、店にやってきたとき、いきなりベテランスタッフが、「え~今日新人来るって聞いてないよ~」とぼやいたりとか、新人トレーニング用のマニュアルや書類などが準備されていなかったりとか、タイムカードが出来ていないとか、そんな状態だったら、その新人スタッフは、どんな気持ちになるでしょうか?
「自分は歓迎されていない…」そう感じてしまいますよね。
彼らは、イヤイヤ無理矢理アルバイトに来ているのではありません。
彼らは、このお店を選び、面接を受け、採用され、ワクワクドキドキしながらお店に来ているのです。
そんな彼らの初日の不安と期待が入り交じった気持ちを、ボロボロに引き裂いてしまうこんな状態… 仕事の満足以前の問題ですよね。
きちんとした繁盛店では、こう言うことは一切ありません。
売上が低下してきている不振店の方がこう言うことが多いのです。
こんな「歓迎されていない感がいっぱいの状態」では、スタッフは、気持ちよく仕事を始めることが出来ません。こう言う店は、初期トレーニングの体制も整っていない事が多いですから、懇切丁寧な指導を受けることが出来ない可能性が高いのです。
だから、ショックを受けてすぐに辞めてしまうのです。
そして、この店は、ひとりのスタッフと、ひとりのお客様を失ってしまうのです。さらに、最悪の場合、この辞めてしまった新人から悪い噂が広がるのです…「あの店最低!」ってね。
あなたのお店がこんなことにならないようにするには、まず「こころから新人を歓迎」する体制を整えると言うことです。
期待を「満足」に変えるために 〜貴重な戦力として迎え入れる〜
私の経験から言えば、初日の新人スタッフを向かえる役目は「店長」でした。
初日には、1時間のオリエンテーションを行い、その後店長が責任を持ってベテランスタッフにトレーニングを引き継いでいました。
もちろんユニフォームは、クリーニング済みの綺麗な物、トレーニングツールやタイムカードなどは全てきちんと準備しておくのが基本です。ここまでして、新人を受け入れることで、彼らは素直に育っていくのです。
だから、辞めずに続けてくれるスタッフになるのです。
今、新人スタッフの確保は非常に難しい時代なのです。
貴重な新戦力をみすみす失うようなことは絶対無いように、完璧な受け入れ体制を整えていきましょう!
次回は、「新人スタッフがすぐに辞めてしまうもうひとつの理由」についてお話ししましょう。
- 参考「『これからもあなたと働きたい』と言われる店長がしているシンプルな習慣」松下雅憲著(同文舘出版)