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2017-04-23 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役
松下 雅憲 |
デキる上司は実践している!理解度を深めてドンドン伝わる!スタッフの教育法
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このコラムのポイント
次々と繰り出される新商品やキャンペーン。従業員をたくさん抱える店舗、大勢の社員を統括する会社において、それらをスタッフに如何に正しく理解させるのかは、リリースされてからのサービスの質や顧客満足にも関わる重要なポイントであり、多くの店長や上司が労を費やすところです。今回のコラムでは、教わった事をすぐに他のスタッフに教えさせることで、その理解を能動的かつ飛躍的に高めていく指導方法について学ぶことができます。
フランチャイズWEBリポート編集部
アウトプットすることで気づくこと、深まる「理解度」
「それじゃあ、今、あなたに教えたことを、今から新人のBさんに教えてあげてください」
店長はスタッフのAさんに、明日から始まる新商品キャンペーン時に、お客様に新商品をおすすめする方法をじっくりとトレーニングしました。
そして、そのAさんに対して、未だその方法を教わっていない新人のBさんに、今教えた事をそのまますぐにトレーニングするように指示したのです。
「え~そんなの無理です~私トレーナーじゃあないし~」
思わず悲鳴を上げたAさん。しかし、店長は、Aさんのそんな甘えた悲鳴を許しませんでした。
「イイからやってみて」
と、ぐずぐず言うAさんにビシッと指示をしました。
Aさんは、まだ、不安げな表情でしたが、店長の真剣な表情を見て覚悟を決め、後輩の新人スタッフBさんに対して、つい先ほど店長に教わったおすすめの方法や新商品について教え始めました。
そして、一通り教え終わったAさんに対して、店長は
「どう?学んだ事をすぐに教えてみてどんなことがわかった?」と、質問をしたのです。
すると、Aさんは、
「はい、実は、店長から教わったとき、新商品の原材料のところが、チョットよくわかっていなかったんです。それが不安だったんですが、やはり、Bさんに教えてみて、そこが中途半端だったということがわかりました。店長、そこをもう一度教えてください!」
Aさんは、学んだ事をBさんに教えることによって、自分の理解度についてしっかりしているところと、未だ不明瞭な部分とがはっきりさせることができました。
「学んだ事を人に教える」
この方法が、トレーニングの理解度を確認するとても優れた方法なのです。
成長の第一歩は、わからない部分を正確に認識すること
ところが、この確認方法を知らない店長だと、一通り教えた後、こんな事を言います。
「わかった? わからないところがあったら言ってね!」
この言葉ってよく聞きませんか?
でも、この聞き方で、店長は、スタッフの理解度や不明点について正確に確認できるのでしょうか?
まず、できません。
だって、「わからないことがどこかがわかる」ことって、かなり難しいことなのです。
自分では、どこがわからないのかなんてわからないのです。
では、どうすればわからないところがわかる様になるのでしょうか?
その方法が、この店長が行った方法なのです。
つまり、自分が教えた内容の理解度を確認するために、今度はそれを別の人に教えてみれば良いのです。
「教える」という事は「知っている」とか「できる」よりも、更に深く理解をしておく必要があります。でないと、質問をされたり、相手が出来なかったりしたときに、フォローができないからです。
「教える」ことができるならば、もう理解度としては十分なレベルという証拠になるのです。
もちろん、教えた内容を「どう理解したかを反復させる」という方法もあります。
それも良い方法です。
でも、そこまでやるのならば、実際に教えさせてみる方が、更に詳しく「理解度」を見る事ができ、更に本人自身も、何がわかっていて何が不安なのかがより明確になるのです。
教える相手は、何も新人や後輩でなくても構いません。
今教えてくれた店長に対して教えるという方法でも良いのです。
「教える」ことで「理解を深める」
こういう風に指導してくれる上司。いつも一緒に働きたいですよね。
次回は「未来を想像させる言葉でやる気を引きだそう」というテーマでお話しします。お楽しみに!
- 参考「『これからもあなたと働きたい』と言われる店長がしているシンプルな習慣」松下雅憲著(同文舘出版)