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2017-05-21 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役
松下 雅憲 |
成長のチャンスを見逃すな!部下の『小さな進化』に気づき育てよう
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このコラムのポイント
皆さんは人や自分の「成長」を何で判断し、どう評価しているでしょうか。成長の度合いやその見え方は人より様々。上司の評価の仕方が、部下の成長の妨げになったのでは、スタッフのスキルを高めることもできません。今回のコラムでは、部下やスタッフを育てる立場にある「上司」が持つべき、評価の視点と成長の促し方について知ることができます。
フランチャイズWEBリポート編集部
成長は、本人も気付かない「小さな進化」の賜物
「成長が遅いスタッフは、ほんの少しでも成長したときに、それを自覚していないひとが多いのです」
私が、部下の育成に悩んでいた時に、ある上司がこのように教えて下さいました。
人間は、ゲームの中の冒険家キャラクターではありませんから、魔物を1匹やっつけたあとに「ちゃらら~ん」と音が鳴って、レベルが上がったとか、攻撃力や守備力がアップした!… 何てことはわからないのです。
もちろん、チェックリストや評価制度やタイトルなどがありますから、昇格したり、時給が上がったり…一定の仕組みの中で、自分の能力の向上をある程度知ることは可能です。
しかし、昨日から今日まで、1時間前と今まで、それくらいの短い時間経過の中で、どの部分が、どの様に、どれくらい成長したかなどは、スタッフ自身は その変化・成長・進化などを自覚することが出来ないのです。
だって、毎日、毎時のようにチェックを受けたり、テストをしたりするわけではありませんからね。
基本的には、能力というものは「できる・できない」という点においての境目は存在しますが、能力そのもののインジケーターは、急激に上昇することはありません。私たちは魔法使いではありませんし、ヒーローではないのです。
もちろん、ある時コツをつかんで急に成長する!といったことはあるかも知れません。
でも、それもまた「その直前まで身につけた能力があり、それの発揮方法を発見した」だけに過ぎないのです。
それまでも、成長は続けているのです。
私たちの能力は、細かく見ると、毎日どこかしらほんの少しずつ変化し、成長し、進化しています。
それは、パッと見ただけでは、なかなか気がつかないくらいの小さな変化かも知れません。
でも、よくよく見れば、昨日まで出来なかったことが、今日は、少しだけ出来るようになっていたりするのです。
ところが、残念なことに、多くの上司は、部下のほんの小さな変化をほとんど見逃してしまっているのです。
だって、部下をしっかり観察していませんからね。気がつくはずがないのです!
でも… これは、実にもったいない事なのです。
「小さな進化」を『自信』に変え、成長を促すことが重要
私たちは、ほんの少しでも成長していることに気がついたら、それが大きな自信となります。
「そうか!これで良いんだ!よし!このまま進もう!」という気持ちになるのです。
あなたもきっとそうだと思います。
自分の成長を自分ではっきりと自覚することは、誰でも、もの凄いモチベーションのアップになります。
だから、スポーツの世界の優秀なコーチは、選手の変化を細かく観察し、それを選手に伝えています。
だから、一流のプロスポーツ選手などは、自分専属のコーチを雇っているのです。
だから、彼らのような優秀なコーチは、選手のことを細かく観察します。
筋肉の動きの微妙な変化、姿勢、目の開き具合、呼吸の回数、汗のかき方、身体のひねり具合などなど。
彼らはその変化を元に、昨日よりも良くなっているポイントを誉めながら指摘し、選手に自信を付けていきます。
時には、失った自信を取り戻すために、絶好調時との違いを見つけます。
これは、お店でも、ビジネスの世界でもまったく同じように応用できるのです。
部下やスタッフの、ほんの少しの変化、成長、進化を見つけて、誉めながら伝えれば良いのです。
基本的に、私たちは自分自身の変化については、うまく自覚できません。
しかし、コーチが毎日その変化を観てくれていると、次は何をすればより良くなるのかがより正確にわかるようになります。
あなたは、部下やスタッフの『専属コーチ』なのです。
彼らは、必ず変化しています。それを見つけて「誉めながら」伝える。
極論すれば、店長の仕事はそれに尽きるということです。
スタッフの成長が遅くて困っている店長。
その原因は、あなたが「スタッフの微妙な進化」をつかんでいないだけなのかも知れませんよ。
次回は「任せて成長させるならば『放任』せずに『見守ろう』」というテーマでお話しします。お楽しみに!
- 参考「『これからもあなたと働きたい』と言われる店長がしているシンプルな習慣」松下雅憲著(同文舘出版)