![]() |
2017-06-11 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役
松下 雅憲 |
「あなたの存在が必要である」ことは、言葉にしないと伝わらない

このコラムのポイント
「君は余計なことを考えなくていい、それさえしていればいいんだ!」自分が持て余す仕事を部下に山のように押し付けて、当たり前のようにいつもの業務をこなす上司。部下の日々の貢献無くして、明日の会社など無いというのに。今回のコラムでは、会社にとって大切な人財を失わないためにも、上司が部下からの深い信頼を得る方法について知ることができます。
フランチャイズWEBリポート編集部
相手を「不安」にさせるのは、いつも自分の言葉足らず
「『好きだ』と言葉にして言ってくれなきゃあわからない!」
世の中の多くの男性は、愛する女性からこのように言われるわけです。(私の経験ではなく一般論ですよ)
だって、世の男性は、最初のうちは愛を言葉で伝えるものの、しばらくすると徐々にその気持ちを言葉で伝えることをしなくなります。(くどいようですが一般論ですよ)
きっと、「言わなくてもわかっている」と思っているんでしょうね。
でもそれは大きな間違いなのです!!
人は言葉にして言ってもらえないと「不安」なのです。
言葉で伝えてもらえないと「愛されている確信」は持てないのです。
これ… 実は、恋愛関係だけでなく、仕事上での関係でも同じなのです。
上司と部下の関係、仲間同士の関係、お客様との関係、そしてお取引先様との関係… 全部同じなのです。
言われなきゃあ「不安」なのです。
言われることで「安心」するのです。
上司は、部下を「不安」にさせてはいけません。
「不安」はいつか、「不満」となり、やがては「不信」につながって行くのです。
そんなつもりなどは毛頭無くても、いつの間にか、部下はあなたに「不信感」を持ってしまうのです。
その原因は…「あなたが言葉にして伝えない」からなのです。
必要としていることを、相手にしっかりと認識させることが重要
え?いつも言っているって?
でも、それは「問題点の指摘」や「仕事の指示」でしょ?
私がここで「言葉にして伝えなきゃわからない」と言っていること…
それは
「あなたのことが必要です」
「あなたことを大切に思っています」
「あなたを頼りにしています」
と言う「あなたの想いのこもった言葉」なのです。
多くの上司は、そんなことは「言わなくてもわかっているだろう」と思っています。
というより「上司が部下を必要なことくらい当たり前のことだろう」と思っているのです。
なので、そんなことをわざわざ口にする必要など無いと思っているのです。
ずばり言えば… 恥ずかしいのです。
一方で、部下は、いつも「微妙に不安な気持ち」を持ちながら仕事をしています。
多くの部下は、上司が自分を必要としているかどうかに「確信」が持てていないのです。
なので、認められ、ほめられ、評価されるとうれしくて、ドンドンがんばれますが、逆に、怒られ、しかられ、無視されると、ドスーーーンと、落ち込むのです。
「ああ~私はいらない子なんだ…」とね…
そんな部下の気持ちを「部下の立場に立って」理解することが、上司として部下のやる気を高める第一歩なのです。
だからこそ、存在や行動の承認が必要であり、ほめることが必要であり、評価することが必要なのです。
ところが、多くの上司は、「承認」も「ほめる」ことも、「評価」も「そこそこ」しているのでそれで十分だと思っています。
部下が、「不安」などみじんも持たないくらいに「承認」し「ほめて」、「評価」していればそれでいいでしょう。
しかし、部下の不安を払拭できるほど、「しつこいくらいに」それを実行出来ている上司はほんのひと握りしかいないのです。
いくらやっているつもりでも、ほとんどの場合、全然足らないのです。
大切なものを「大切」にできる、上司に
ならば、「認める・ほめる・評価する」をもっとやればいいのですが、やりなれていない上司、十分と思っている上司、やりすぎるとよくない、と勘違いしている上司たちは、残念ながらそれ以上はできません。
しかし、大丈夫です。
そんな「承認不足をカバーできる」とっておきの方法があるのです。
それが『必要性を伝えること』なのです。
「あなたのことが必要です」
「あなたことを大切に思っています」
「あなたを頼りにしています」
これらの言葉は、部下の不安を一掃し、内なるエネルギーを急上昇させます。
実は、この「必要です」「大切です」「頼りにしています」というのは、ステージ2(※)の承認の段階における『存在承認』をレベルアップさせた言葉なのです。
※ステージ2については、「『これからもあなたと働きたい』と言われる店長がしているシンプルな習慣」(同文舘出版)をご参照下さい。
私自身は、この言葉を「しつこいくらいに」言わなかったことで、大切な部下を失った苦い悲しい経験があります。
さて、あなたは、いかがでしょうか?
あなたには、大切な部下の気持ちを理解しないまま、気がついたら失ってしまう、そんな悲しい目には、あってほしくありません。
さあ、勇気を振り絞って言っちゃいましょう。
「あなたのことが必要です。大切です。頼りにしています。だからこれからも一緒にがんばってほしい!」
次回は「『打倒!ライバル店』でチームの結束力を高めよう!」というテーマでお話しします。お楽しみに!
- 参考「『これからもあなたと働きたい』と言われる店長がしているシンプルな習慣」松下雅憲著(同文舘出版)