株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役松下 雅憲
2017-07-02 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

FCオーナー開業の心得!忘れてはならない近隣商店への心配りと商売の本質

 このコラムのポイント

商売に情けは無用!四方皆敵。フランチャイズはどうしても街を破壊するというイメージを持たれがち。しかし形は違えど、人がする商売に違いはありません。新しい土地に移り住む時と同じで、地域の人たちに親しまれてこそ、営業できるわけです。今回のコラムでは、新しく地域に開業する際に、経営者が思い違いをしてはいけないポイントについて知ることができます。

フランチャイズWEBリポート編集部


隣の芝生は、横から見るから青く見える

「チェーン店がやってくると、地元で生活している個人商店の売り上げが下がる!迷惑だ!」

時々、フランチャイズ店と地元の個人商店の間で小さなトラブルが起きることがあります。

どんな地域でも、地方でも都心部の商店街でも同じようなことをよく言われ、それが原因でトラブルが起きたりします。マクドナルドのような超巨大チェーンでなくても、ちょっと名の通ったチェーン店ならば同じように言われるのです。 

また、こんなことも言われます。

「チェーン店は良いよな~名前が売れているから看板を上げるだけで売れるもんな~」

そうでは無いんですけどね… とかくチェーン店というのは、地元の個人商店主さんからは、かなり嫉妬やねたみや厳しい目で見られます。そりゃあそうですよね。

チェーン店は、とにかく有名です。

テレビや雑誌やイベントなどで名前が知られています。そもそも店舗数が多いですからね。目立つのです。

地元の個人商店はそうはいきません。
要は、うらやましいのです。

だから、ちょっと、嫉妬しているのです。
だから、ねたみやっかみの気持ちが出ちゃうのです。
だから、ついつい嫌みを言ってしまうのです。
だから、ほんの些細なことでトラブルになってしまうのです。

チェーン店は、少々の赤字でもそう簡単にはつぶれません。

もちろん、フランチャイズの場合はそうはいきませんが、直営店の場合は、本社が我慢できる間は我慢をしてくれます。

でも、個人商店はそうはいかないのです。

小さなフランチャイズ店も同じなんですけどね… 彼らはそんなことは知らないのです。

個人商店の限界、FCの地域密着の難しさ… 苦労はお互いにあることを承知する

チェーン店は、最初から大きな投資をして、目立つ看板を出し、大量にチラシを折り込みます。

資金力があるのです。

個人商店はそうは一気にお金をかけられないのです。
フランチャイズもそうはお金をかけられないんですけどね… 彼らはそれも知らないのです。 

チェーン店は、仕組みや商品や教育などのシステムがあります。
個人商店では、全部一から築きあげなくてはならないのです。

もちろん、これらのなかには、大きな誤解もたくさんあります。

先ほども書きましたが、フランチャイズの加盟店オーナーは、直営店のようにはお金をかけられません。

チェーン店であってもフランチャイズならば、そのほとんどが「個人オーナー」ですものね。大きな借金を抱えてのスタートもざらなのです。

実情は、街の小さな個人商店と何ら変わりは無いのです。
なかには、ついこの間までその場所で「個人商店」をやっていた人もいるのです。

でも、ねたみやっかみを持つ人達は、そんな事情をよく知らないのです。

逆に「フランチャイズだから」と言って、全てが恵まれているわけではありません。

中小のフランチャイズチェーンの中には、大手チェーンのような仕組みなど全然ない本部もあります。屋号・ブランドだけを貸して、後は勝手にやって… と言うような所もあります。

そうなると、個人商店もフランチャイズ店もほとんど同じなのです。

繰り返しますが、そんな苦しい事情なんて、フランチャイズの経験の無い商店街の個人商店は、知らないのです。

なので、ただただ「有名な名前のチェーン」であること… それがうらやましくって仕方が無いのです。 

だから、あなたは、彼らが「誤解も含めて」そういう気持ちであることを理解しなくてはなりません。
だから、あなたも、相手の立場になって考えて、それに応じた態度言動行動を取りましょう。

すると、そんなトラブルを防ぐことは出来るのです。

その土地で商売をするには、身近で生活する人々の信頼が不可欠

あなたのお店が、例え有名な全国チェーンであっても、あなたのお店で働く人たちの多くは地元の人です。

そして何よりも、あなたのお店のお客様は、地元の人たちばかりなのです。
あなたに文句を言ってくる人達を含めて、あなたを支える『地元の人々』なのです。

彼らがいなくては「あなたの商売は成り立たない」のです。

だから、この場所で商売が出来る事の感謝を忘れてはなりません。
だから、その感謝を、言葉だけでなく態度や行動で示さなくてはなりません。
だから、この町に心を込めてなにかしらの貢献をしなくてはならないのです。

だからこそ、町の仲間にしてもらえるのです。 

もう一度、商店街の個人商店主の気持ちにも立って考えてみましょう。

もう一度繰り返します。

彼らは、フランチャイズチェーンだと言っても「オーナーが全力でがんばらないとやってはいけない厳しい現実」を知らないだけなのです。

フランチャイズは「楽して繁盛する商売」なんて勘違いをしているだけなのです。
加盟店オーナーがたくさんの借金や投資をしていることを知らないのです。

彼らは、誤解をしているのです。
しかし、あなたはその「誤解」を解かねばなりません。

それには、あなたが街の人達に感謝し、そのお返しとして、全力で「貢献」することが大切なのです。 

大事なことだから、もう一度言いますね。

あなたのお店で働くスタッフは地元の人、そしてお客様も地元の人なのです。

店長は、「この町で商売をさせて頂いていることに心から感謝をする。だからこの町に心を込めて貢献をする」 

忘れないで下さいね。 

 

次回は「これからもあなたと働きたいと言われるリーダーはチームスタッフにいつも感謝と誇りを伝えている」というテーマでお話しします。お楽しみに! 

  

  • 参考「『これからもあなたと働きたい』と言われる店長がしているシンプルな習慣」松下雅憲著(同文舘出版) 

株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

大阪出身。1980年日本マクドナルド(株)入社。店舗運営の現場と全社の出店戦略に関わり、2005年4月とんかつ新宿さぼてんを運営する(株)グリーンハウスフーズに入社。すぐに経営情報室を立ち上げ、経営情報の見える化、出店戦略システムの構築、さらにエリアマーケティングをベースにした店長教育システムを導入し大きな成果を上げた。2012年4月株式会社PEOPLE&PLACEを設立。代表取締役に就任。マクドナルドとさぼてんで確立したノウハウを独自の形に仕組み化した「店長ナビ®」を提供し、人材育成を通じて多くの外食企業や小売・サービス企業の業績向上に貢献している。