コンビニ経営は稼げる? 失敗しないコンビニ開業の秘訣はフランチャイズ本部との関係性
コンビニは、食品や日用品の買い物だけでなく、ATMや宅配便、各種料金の支払いなど数多くのサービスを提供しており、重要な社会インフラとなっています。多くのコンビニはフランチャイズ加盟店で、日本フランチャイズチェーン協会によると、2018年度のコンビニの数は58,340店舗、そのうちローソンとセブンイレブン、ファミリーマートの「大手3大コンビニ」が89%を占めています。
個人経営よりフランチャイズ経営が多いのは、より多くのメリットを得られるからです。今回は、フランチャイズに加盟するメリット・デメリットやフランチャイズ選びのポイントなど、コンビニ経営で失敗しないための知識を紹介します。
誰もが知っているフランチャイズの代名詞!コンビニの社会的役割
いまでこそ24時間営業をしているコンビニですが、できた当初はやや遅くまで開いている地域の商店というイメージが強いものでした。もともとは生活に必要な日用品や食品を購入するために立ち寄る小売店の役割を果たしているに過ぎなかったのです。
公共料金の支払いや郵便物の取り置き、商品の宅配、Wi-Fiの提供などさまざまなサービスを取り入れてきました。さらに、深夜も営業しているため、ストーカーや痴漢からの避難場所としても活用されています。
コンビニは生活必需品や支払いサービスなどを提供してくれるだけでなく、防犯・防災の役割を果たし、災害時でのライフライン機能や、高齢化社会への対応まで幅広い期待が寄せられています。
経験がなくても開業できる?コンビニオーナーの仕事内容とは
コンビニオーナーとしての一番重要な仕事は、店舗の経営と人材育成です。コンビニはオーナー自身が店長として店頭に立つ場合も多いですが、それだけではありません。 オーナーは経営に徹して店長を雇用し、従業員教育に力を注いで人材を育てていけば、多店舗展開も可能になります。コンビニは未経験者でも可能ですが、経営を学ぶ姿勢は必要と言えます。
まずは資金調達!コンビニの開業に必要な費用とは
コンビニを開業するためには、加盟金が必要です。加盟金とはフランチャイズ本部に支払うもので、ブランドや土地の有無によって金額は異なります。
セブンイレブンは、本部が土地や建物を用意する場合の加盟金は250万円で、オーナーが土地と建物を用意する場合は300万円です。例えば、もともと小売店などを経営していた店舗があり、そのまま利用する場合は加盟金が250万円ということになります。
コンビニ経営は稼げる?開業した場合の年収
立地や店舗の規模などで違いはありますが、コンビニオーナーの平均的な年収は700万円ほどと考えておけばいいでしょう。フランチャイズに加盟すると、毎月本部にロイヤリティの支払いが必要になります。ロイヤリティとは、商標やコンビニのオリジナル商品を販売するための著作権などの使用料のことです。
フランチャイズ本部によってロイヤリティの金額は異なり、ロイヤリティによって年収も変わってきます。開業の前にしっかり内容を把握し、売上について試算しておくといいでしょう。
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コンビニを維持するための利益率は?
コンビニ経営を続けていくうえで大切なのは利益の確保です。売上金額から経費を引いた金額が利益になるので、売上を高くして経費を抑えるのが基本と言えます。ただし、単純に利益額だけで判断するのではなく、利益率に目を向けることも必要です。
利益率とは売上に占める利益の割合のことで、利益率が高いほど効率よい経営ができていると判断できます。たとえば、1日の売り上げが50万円で利益が1万5,000円のコンビニの利益率の計算式は、15,000÷50万×100で求められ、利益率は3%となります。一般的に、コンビニの営業利率は約2~5%といわれているので、利益率を高めるには、利幅のある商品の販売に目を向けることが大切です。
たとえば、商品Aの売価が1,000円で利益が300円なら利益率は30%です。商品Bの売価が2,000円で利益が400円なら利益率は20%にしかなりません。つまり、利益率の高い商品を積極的に販売したほうが効率の良い商売ができていると言えます。
コンビニ経営のメリットとデメリットを考える
コンビニの経営を考えるなら、そのメリットとデメリットを知っておきましょう。
コンビニ経営のメリット
開業しやすい
コンビニの経営は新規参入者にとってハードルが低く、小売業なので特別な資格や技術を習得しなくても始められます。フランチャイズに加盟すれば、経営に必要な店舗経営の知識は開業前に行なわれる研修で身につけられますし、開業後に問題が生じた場合は本部のサポートを受けながら進められるので、初めての経営でも安心して開業できます。
集客しやすい
利益を確保するためには売上が必要で、そのためには集客が欠かせません。その点、フランチャイズ展開している大手コンビニは知名度が高いので、立地条件が整っていれば特別に宣伝をしなくても集客できます。
トレンドに流されない
開業しても安定して長く経営できるのかについて、多くの人が不安に感じるところでしょう。コンビニが取り扱う商品のほとんどは食料品と日用品ですから、流行り廃りに関係なく足を運んでもらえる可能性が高いです。
店舗を拡大して利益を増やせる
経営が軌道に乗ってきたら、さらに利益を増やしたいと考える経営者は多いものです。最初の1店舗で培ったコンビニ経営のノウハウがあれば、店舗数を増やしてもうまく軌道に乗せられて利益を増やせる可能性は高いでしょう。ただし、経営者の負担が増えてしまうので、店舗を任せられる店長の育成が必須です。
コンビニ経営のデメリット
経営者の裁量に制限がある
コンビニの経営者だからといって、全ての事柄を経営者が判断できるわけではありません。特にコンビニの場合は仕入れ商品や営業時間がある程度決まっていて、フランチャイズ本部の意向に従って経営を進めていくことになるので裁量権には限りがあります。
スタッフを確保できない可能性がある
コンビニは24時間年中無休で開いていなければなりません。しかし、従業員を募集しても人が集まらなかったり、採用してもすぐに辞められたりして営業がままならない事態に陥るリスクがあります。スタッフが足りなければ経営者が現場に出る必要がありますが、常に現場に出ているようでは経営が成り立たなくなります。スタッフの確保も経営者の大切な仕事のひとつです。
契約期間が長い
本部によりますが、コンビニのフランチャイズの契約期間は10年以上に及ぶところもあります。順風満帆で経営できれば良いですが、収益を上げられずに途中で経営を断念してしまう人もいるかもしれません。ところが、契約を解除する際は違約金が発生します。開業してすぐに軌道に乗るとは言い切れないので、念入りな経営計画を立てておきましょう。
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どのコンビニで開業すべき?選び方のポイントを紹介
各社の特徴を知る
まずは、それぞれのフランチャイザーの特徴を知っておくことです。全国の店舗数から、主要コンビニのシェア、実際の店舗数などを調べ、コンビニ自体が企業としてこの先も成長が見込めるかどうかを分析してみるのもいいかもしれません。
評判や、集客が見込めそうなサービス、商品があるかどうかを確認することも大切です。
各社の説明会に足を運び比較検討する
次に大事なのは、実際に話を聞くことです。ほとんどのフランチャイズ本部は定期的に無料で事業説明会を開催しているので、まずは説明会に参加してみましょう。
説明会に参加すると、ブランドごとの本部の雰囲気や開業のイメージ、必要な資金や開業までの流れについて理解できます。また、施策やサポートなど、開業前に知っておきたい情報の収集が可能です。不安な点や疑問があれば自由に質問もできるので、さまざまなフランチャイズ本部の事業説明会に参加しておくと次第に自分に合ったコンビニがわかってきます。
自分にあったプランを選択する
コンビニ経営といっても、置かれている環境や将来のビジョンは人によって異なるものです。コンビニ選びのポイントとして、自分の状況や理想に合ったプランを選択することを忘れないようにしましょう。
まずは土地や建物をどうするかが大きなポイントです。フランチャイズ本部の中には、土地や建物を用意してくれるプランもあります。
また、コンビニのフランチャイズはペアでの加盟が一般的です。これは2人以上で加盟するもので、夫婦または親子など家族でオーナーとマネージャーとして経営しています。中には1人で加盟できるプランや、社員として給与をもらいながら直営店で学んだ後に独立する制度もあります。 ほかにも、開業後は水道光熱費の一部負担や店舗の引っ越し費用負担などがサポートしていたりと、ロイヤリティも含め、無理のない経営を続けられるプランを選びましょう。
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知っておきたい!コンビニ開業で想定されるトラブル
コンビニの開業にはさまざまなトラブルが発生することもあります。開業前に、どんなトラブルが起こりやすいのか知っておきましょう。
コンビニにも問題点はある
コンビニは24時間営業していて利便性の高さがウリですが、その24時間営業が問題になるケースもあります。そのひとつに、セブンイレブンの本社を相手にフランチャイズオーナーが損害賠償を請求するために起こした訴訟があります。
報道によると、オーナーは人手不足を理由に深夜営業を行なわない時短営業に踏み切り、その後フランチャイズ本部はクレームの多さを理由に契約を解除したとのことです。コンビニ経営において、人材不足は営業を続けるのが難しくなります。従業員がいなければ、オーナー自身が現場に出て穴埋めをしなければならず、オーナーが行うべき仕事ができなくなってしまうでしょう。
ただし、フランチャイズ本部によると、深夜営業の中止は合意が取れていませんでした。契約段階で24時間営業は定められていたため、加盟店側が契約違反をしたことになっています。
とはいえ、24時間営業の問題は人材不足に端を発する社会全体の問題でもあり、コンビニの問題には経済産業省も動き出し「新たなコンビニのあり方検討会」を立ち上げています。検討会の委員を務める専門家によると、営業時間の変更を含めてフランチャイズ本部が事業モデルを変えるべきで、特に、本部の組織風土の変化、フランチャイズ加盟店の経営の自由度向上などが必要だとしています。
このように、国が動き出したことで何らかの変化が起こるかもしれません。コンビニ経営を考えるなら、こちらの動きにも注目しておきましょう。
スタッフの雇用
一つは、雇用の問題です。家族だけで経営するような場合は特に問題になりませんが、アルバイトを雇用する場合、思うように応募が来ないこともあります。雇用できても、アルバイトが休みがちな場合はオーナーが代わりに勤務する必要が出てくるため、自分の休みが取りにくくなるかもしれません。
ブランドの影響力が大きい
フランチャイズ本部や他の加盟店が何らかのトラブルを起こした場合は、コンビニ自体のブランド力が衰えてしまうことも多いものです。たった1つの店舗で不祥事が起こるだけでも、ブランド全体に影響しやすい点はフランチャイズのデメリットかもしれません。インターネットですぐに拡散されやすい時代なので、影響があった場合も早めに対処できる手腕が必要です。
コンビニの開業で失敗する人も!その理由とは
経営をするということは失敗することもあります。コンビニ経営も例外ではありません。失敗する主な理由について紹介します。
1人で抱え込んでしまい経営が回らない
コンビニ経営で失敗しやすい理由に多いのが、オーナーが1人で抱え込んでしまうことです。これは、人材教育ができていないオーナーに多く見られます。24時間営業のコンビニを、オーナーやその家族だけですべてをこなそうとすれば無理が生じるのは当然のことでしょう。
体力的にも問題が生じやすくなるため、続けることが難しくなります。フランチャイズは必要に応じて本部からの支援が受けられるので、スーパーバイザーを頼ったり、サポートや制度を上手に活用しましょう。
出店立地が悪い
コンビニはお客さんが来るのを待つ仕事です。そのため、立地は収益に大きく影響します。人通りや交通量が多い場所、オフィスなど人が集まりやすい場所があるような好条件の立地なら集客は見込みやすいですが、人が集まりにくい立地だと失敗の原因になります。立地が悪い中で打開策を見つけるのはなかなか難しく、そのまま廃業に追い込まれるケースは少なくありません。
コンビニを開業する前には、道路状況や交通量、周辺の環境などをしっかり調査して見極めておきましょう。また、近くに競合が少ないことも失敗を防ぐポイントです。
経営者である自覚が欠如している
フランチャイズ加盟の失敗で多いのは、経営者という自覚が欠如している場合も挙げられます。本部のサポートが充実していることに甘えてしまうオーナーも多く、経営がおろそかになってしまうことがあります。コンビニは初期投資額が少なく、個人でも開業しやすい業種というイメージが持たれやすいですが、経営者という自覚を持っていなければなりません。
アルバイトを雇用する場合でも、オーナー自身が店舗の状況を把握していることが重要です。人材育成や売上など経営に直結する管理はオーナーの仕事であることを忘れないようにしましょう。
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失敗から学ぶ!コンビニ経営で成功するポイント
コンビニ経営は難しい面もありますが、上手に経営ができれば成功できる安定した経営が可能でしょう。基本的には1店舗だけ経営するのではなく、複数の店舗展開を目指すべきです。
人材育成にも力を入れたり、売上を上げるためのアイデアを出していけば、収益も上げやすい業種になります。そのためには、良い立地を選ぶこと、経営者としての自覚を持つこと、他店にはない工夫をするなどがポイントです。例えば、地域に合った商品を独自に置いたり、季節商品を柔軟に取り入れたりするのもいいでしょう。そして店舗を増やしていくのが成功のポイントと言えます。
また、コンビニ経営で成功するためには、以下のポイントも抑えておきましょう。
働きやすい環境づくり
お客様あってこそのコンビニ経営ですから、接客態度は重要な要素です。機械的にレジ打ちをしているお店よりは、いつも明るい声で挨拶をしてくれるコンビニのほうを利用したいと思う人は少なくないでしょう。お客様に気持ちよく店舗を利用してもらうためには、心地よさを与えられる雰囲気づくりが欠かせません。
そこでポイントになるのが、従業員自身が気持ちよく働ける環境づくりです。締めるところは締めつつも、良いところはどんどん褒めて伸ばすなど、経営者自身の工夫によりお店の雰囲気は向上できます。結果的に集客が増えて利益につながる可能性が高まります。
商品をアピールする工夫
同じブランドのコンビニなら商品の取り揃えはどこも同じですが、ちょっとした工夫で売れる商品を作り出せます。たとえば、ポップを作成して特定の商品を目立たせるのは王道の戦略です。利益率の高い商品にターゲットを絞ってアピールすれば効率も良くなります。
また、レジ脇に利益率の高い商品を配置するのも良い方法です。目立つポップをつけておくと「ついで買い」をしてくれるお客様もいるもしれません。
フランチャイズ本部との良好な関係を築く
フランチャイズオーナーと本部は両者とも独立した事業者なので、対等の関係性であると考えて接しましょう。本部の言いなりになるのではなく、要望や意見があれば正直に伝える姿勢も大切です。胸襟を開いて話し合って信頼関係を構築できれば、本部が心強いパートナーに感じられます。より効率的な経営をするためのアドバイスや、多店舗展開に向けたサポートも受けやすくなるでしょう。
多店舗経営で収益を!どのFCを選ぶか納得いくまで検討しよう
コンビニ経営で成功できるかどうかは経営者であるオーナーにかかっています。情報収集したうえで、自分に合ったフランチャイズ本部と加盟プランを選び、売上がアップしそうな商品選びや人材育成が重要です。フランチャイザーのサポートに頼ることも必要ですが、経営者として学ぶことも忘れてはいけません。
説明会は無料で実施されているので、まずできるだけ多くのフランチャイズ本部から話を聞いて、情報収集を行うことが、コンビニ経営で成功できるポイントです。なお、コンビニフランチャイズの説明会はフランチャイズWEBリポートからも参加予約できます。エリアごとに説明会を行っているので気軽に参加してみてはいかがでしょうか。
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