(株)コロンブスのたまご チーフコンサルタント 宇井 義行 氏
宇井義行(うい よしゆき)氏プロフィール
1950年東京都生まれ。学業のかたわら、18歳から飲食店で働き、26歳で「フードビジネスコンサルタント」として独立。 以来、「理論を実践に、情報は実用可能な戦術として形にして提供する」をコンサルティング理念として、全国の飲食店3000店舗以上を指導。 飲食新業態開発、繁盛店創出や不振店を繁盛店へと生まれ変わらせる手腕は業界屈指のリーダーとして国内外で高く評価されている。 また地域に埋もれた名店、オリジナル商品の発掘、チェーン化にも精力的に取り組んでいる。 著書は34冊を数え、60万余りの飲食店経営者・店長の愛読者がおり、中国語・韓国語においても翻訳本多数。テレビ・雑誌を始め、マスコミでも活躍中。 (前)コロンブスのたまご代表取締役
社名は体を表す
鳥の皮を看板料理とした居酒屋「元祖とりかわ権兵衛」、香川県特有の「釜」で味付けした骨付鳥をそのまま焼き上げるという「釜焼鳥本舗おやひなや」、大阪新世界の味、雰囲気に徹底的にこだわった「噂のこの串かつあのおでん」。
いずれも今回取材した「株式会社コロンブスのたまご」が開発した飲食店のブランド名だ。
そこには常識とは違う少し変わった視点から商品を見つめ、着目し徹底したこだわりで作り上げている感性がうかがえる。
それもそのはず、この「コロンブスのたまご」が目指す業務は、こういった地元では注目を集め、それなりのファンを獲得しているが、まだ全国レベルには達していない店舗を見つけ出し、それに自社のノウハウを加えることで日本全国で展開できるものにしてしまうことなのだ。
そうやって開発した新業態はライセンス販売という手法で提供されている。
そのため、ただ珍しいだけや美味しいだけではだめなのだ。それらを購入した方が収益が上がるようなものにしなければならない。そのためにこだわっているのが他店では真似のできない差別化商品開発なのだ。
こだわりの先にあるのは差別化、そしてその先にあるのは高い競争力
発想を転換するという意味の象徴的な言葉である「コロンブスのたまご」を社名にもってきているのは、そういった新業態開発に際して常識にとらわれない自由な発想で物事を見つめていこうという思いが込められているのではないだろうか。
同社が今回新たに見つけてきたのが「ムシパン」。昔から存在した何の変哲もない食べ物に思えるが、そこには同社なりの戦略が含まれているはず。
今回収録したビデオには宇井チーフコンサルタントとともにムシパン開発者の渡辺氏も出演しているので、同社の考えのみならず、商品の開発経過などもお分かりいただけると思う。
新業態、新商品に興味のあるかたはぜひ参考にしていただきたい。
ライセンス販売という手法
ここで一つお断りをしなければならない。「フランチャイズCEOリポート」はフランチャイズ本部の代表者に直接ビデオインタビューを試み、本部代表者の考えるフランチャイズのあり方や経営理念を聞いていくシリーズだ。しかし、今回取り上げた株式会社コロンブスのたまごは正確にいうと”フランチャイズ本部”ではない。
何をもってフランチャイズというかはさまざまな定義が存在し難しいのだが、少なくとも同社の場合は自身がフランチャイズ本部ではないといっている。
同社の業務は飲食の新業態を開発し、ライセンスという形でそれを販売している会社である。
少しイレギュラーなことではあるが、フランチャイズ展開もライセンス販売も非常に似た部分があり、取り上げることでよりフランチャイズビジネスの本質に迫ることができるのではないかと考え取材に出かけた。
場所は東京池袋(現住所は大崎)にある株式会社コロンブスのたまご本社。
両者の違いをとても単純に言ってしまえばフランチャイズは加盟店へのサポートまで含めたトータル的なパッケージ。それに対してライセンスは業態開発を専門に行い、その完成した業態をそのまま販売するという形態だ。
つまりフランチャイズからサポートの部分を取り除いたものがライセンス事業だとも言える。
数年前から、飲食業界ではこのライセンス事業・ライセンス展開がポピュラーになってきているようだ。
最大の理由が、世の中の変化が速く、人々の嗜好の変化も激しいために同一業態での営業が難しいという背景がある。食のトレンドも次々と入れかわり、昨日まで盛況だったお店があっと言う間に陳腐化してしまうという現実がある。そのために飲食業においては客を飽きさせないために新しい業態を次々と開発していく必要が生まれてきた。
かといって新しい業態や斬新なコンセプトを持った食の形態を開発するのは相当の費用を要するものだ。多くのフランチャイズ本部がさまざまな業態を開発しているがその多くが日の目を見ていないという現実からも業態開発がいかに難しいものかが分かる。
例えば、前々回のCEOリポートで取り上げた「際コーポレーション」も業態開発に長けた会社の一つと言えるだろう。時代や地域に合わせた業態開発を行い次々とヒットを飛ばしている。
ライセンス販売の特徴
以上のような理由から通常ライセンス販売先は個人というよりも、既に飲食店を経営している方に対しての方が多い。つまり販売相手がその道のプロであることが多いためライセンス販売においてはサポートをしない代わりにロイヤリティも徴収しないというのが一般的だ。
これはある意味潔いと言えるかもしれない。というのもフランチャイズ本部によってはロイヤリティ無料というのをうたっている場合があるが、現実問題としてロイヤリティを無料にしてしまったら加盟店の恒常的なサポートは困難である。しかしながらフランチャイズ展開においてはブランドの統一は不可避であり、そのためにはSVの定期的な巡回などは必須のものであり、そのためのコストも発生する。
そのためロイヤリティは不要といいながら現実には食材にマージンが乗っかっていたり、別の名目で徴収している可能性がある。言わないだけで取られてはおり、ロイヤリティがないことで見かけ上加盟がたやすいように見せているだけかもしれないのだ。対価が示されないのは不明瞭であり、理想ではあるかもしれないがフランチャイズ展開における不明瞭さは致命的だ。
コロンブスのたまごライセンス販売の特徴
同社のビジネスフォーマットも以上述べてきたライセンス販売だ。しかし、インタビュー中の宇井チーフコンサルタントの発言や提供された資料を見ると、同じライセンス販売でも少し趣が違うようだ。ライセンス販売である以上サポートはしないとうたっている。そこら辺はあくまでドライなのだ。
しかしく宇井チーフコンサルタントの発言をそのまま引用すると、「サポートすると契約に書いてしまってはお互いに依存と責任が発生してしまい、発展が望めないが、決してだからといってサポートをしないというわけではない。」と言っている。
一方でフランチャイズ本部は加盟店の依存性をなくし、独立性と起業の心は保ってほしいが、他方では本部へのロイヤリティ(忠誠心)は求めるという一見矛盾した対応を加盟店には示す。
一方は突き放しつつ加盟店を包もうとし、一方は加盟店を包みながらも突き放そうとしているようだ。両者の手法は正反対のように見えて、実は目的は同じように見える。
インタビュー中でも宇井氏はさかんに家族という言葉を多用している。この感覚はライセンス販売におけるドライさからはほど遠くフランチャイズのそれに似ているように筆者には感じられる。
[名 称] 株式会社コロンブスのたまご
[英文名称] Columbus-egg Corporation
所在地 [本社] 〒141-0032 東京都品川区大崎3-17-26
TEL 03-5436-8908 FAX 03-5436-8909
チーフコンサルタント 宇井 義行
資本金 80,000,000円
ホームページ http://www.columbus-egg.co.jp/
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