(株)ストロベリーコーンズ 代表取締役 宮下 雅光 氏
宮下雅光(みやした まさみつ)氏プロフィール
1950年、北海道生まれ。 '70年、日本IBM株式会社入社(在学中に入社) '86年、宮城県仙台市にピザ・アイスクリーム宅配の「ストロベリーコーンズ荒町通店」を開設。 '03年、株式会社いちごホールディングスに社名変更。同年、会社分割により新設された株式会社ストロベリーコーンズの代表取締役就任(現任) '05年、宮城県仙台市に「ナポリの窯仙台南店」を開設 '09年、太陽光発電などにより海水や泥水を飲料水に精製する小型淡水化装置を搭載した車両を開発、販売 社団法人 日本フランチャイズチェーン協会常任理事 社団法人 日本フードサービス協会副会長 情報システム委員長 全日本デリバリー業安全運転協議会(SDA)副理事長 社団法人 民間活力開発機構 専門委員
最初に断っておく。
後半にいくに従って面白い動画です、と。前半部は堅い感じの受け答えが続くが後半になると、宮下社長も調子がのってきたのか、いつものなめらかな弁舌となっている。是非この動画は最後のチャプターまで観ていただきたい。
さて、しかし、先ずはおきまりのフランチャイズとの出会いを尋ねてみた。
コンピュータネットワークとフランチャイズシステム
フランチャイズとは、「フランチャイザーがフランチャイジーとの間に契約を結び、商標等の使用を許諾し、経営ノウハウを与え、一方フランチャイジーはその見返りとして一定の対価を支払い、事業に必要な資金を投下してフランチャイザーの指導及び援助のもとに事業を行う両者の継続的関係。」だと一般的には定義されている。
細かい部分では、解釈が違っていたり、フランチャイズの定義から外れるチェーンがあったりし、え、これでもフランチャイズなのかな?と思えたりするチェーンもある。
しかし、どんなチェーンにも必ず存在するのが本部と加盟店という関係の存在。これがないフランチャイズチェーンはありえない。
そしてその関係は必ず1対多である。視覚的には本部を中心として、その周りを加盟店が取り巻いているような感じだ。
そして、この関係はまさにコンピュータの世界における、ホストコンピュータと端末の関係ではないかと感じ取ったのが今回インタビューした株式会社ストロベリーコーンズの宮下社長だ。インターネットが一般に普及するよりずいぶんと前、20年以上前のことである。
「権利」と「義務」
前述したフランチャイズの定義には現れないが、定義の中に秘められた言葉として、本部、加盟店双方の「権利」と「義務」がある。フランチャイズ本部には加盟店からロイヤリティ等を徴収する権利があるが、一方でそれに見合うノウハウを提供する義務が本部にはある。 他方、加盟店はそれらノウハウを受け取る権利があると同時に、一方でロイヤリティ等を支払う義務がある。(※それ以外にも多くの約束事が加盟契約書には盛り込まれています。)
宮下社長はこの本部がノウハウを提供することもコンピュータシステムになぞらえている。つまり、ノウハウを提供するためにはそれらノウハウを蓄積することが前提となってくるわけだが、それこそがホストコンピュータがデータを蓄積し、そしてそこにつながった端末(加盟店)が情報を引き出すという行為だと話す。
フランチャイズを説明するときに、本部は頭脳、加盟店は手足だとも表現されることがある。確かにそういう部分もあるが、それだとなんだか加盟店は頭を使わず、ただ働いていれば良いみたいで一段低く見られている感じがする。当然そうではなく、加盟店は地域地域に根ざして、そのエリアでいかに売り上げをアップしていくかを考えなければならないし、アルバイトを管理したりだとかのマネージメントもしていかねばならない。
単純な手足であるはずがない。そこにはそれぞれの立派なCPUが存在するのだ。そういった意味で宮下社長のたとえは的を射ている。
どんな素晴らしいブランドも色あせる時がくる
20数年前多くのピザ宅配チェーンが誕生した。その中で残っているのはもうごくわずかになってしまった。
強い者が生き残るのではない。生き残った者が強いのだ。という進化論的な言葉は流通の世界でも通用するのではないだろうか。生き残るために強者は時代とともに形を変えていく。結果として表れた姿に大きな違いは見られないが、よくよく見てみると随所に工夫の跡がみてとれたりする。
インタビューの中で宮下社長は「自分たちが20数年前にピザを販売してきたということは既に20年以上ピザを食べてきた人がいると言うことになります。当時30歳で食べていた人は今は50歳を越えているのです。私たちは彼らがいま求めているピザを作っていかなければならないのです。」と述べている。
これは、対象となる年齢は違うが、日本マクドナルド創業者の田氏が銀座に1号店をオープンし、そこで子どもたちがハンバーガーを食べているのを見ながら、この子たちが大人になり家庭を持ったときにハンバーガーが普通の食事になるり、私の事業もそのとき飛躍すると言ってっていたエピソードを思い出す。食文化とはそういうものなのだろう。
この20数年間の間に日本人の年齢構成は変化した。一世帯あたりの人数も変わった。そして食の嗜好はすっかり変わってしまった。
それに合わせてストロベリーコーンズも変わった。そして新しく生まれたのが「ナポリの釜」というブランド。
筆者自身がそうだったのだが、このネーミングからこのブランドはストロベリーコーンズの上のブランド、いわゆる本格的であり高級なバージョンであろうと考えていた。しかし、今回のインタビューを通して、全く違うコンセプトのもとに開発されたものだというのが分かった。実に今的な事情を意識した商品なのだった。
加盟希望者の変化
ムービーのチャプター7~10にかけては加盟希望者のパーソナリティに関する内容だ。社会が変化するのであれば、その間、加盟希望者の性格も変化するのではないかという疑問だ。フランチャイズの歴史を有する本部には聞いてみたい質問だった。
フランチャイズの加盟には法人加盟か個人加盟かという違いがあるが、時代によってこれらの比率が変わるというのもおもしろい回答だった。法人が多い時と個人が多い時がわかれているのだ。
関係した質問として加盟希望者の本気度をどうやって本部ははかっているのかも聞いてみた。「最終的には、直感というか感覚しかないですよね。」が回答だった。しかし、そのほかにも条件はあるようで、ピザという物作りをしている者として外せない基準があるようだ。
一方で勉強熱心な加盟希望者が増えているのも現実のようだ。これはネットの発展などが大きいのではないか。弊社のこのサービスにしても、インターネットが普及する前であれば、動画で加盟希望者に本部の声を届けようとしたら、テープやDVDあるいはテレビ放送を通じてでなければ難しかった。しかし、ネットの発展によって加盟希望者は居ながらにして本部代表者の人となりを知ることができるのだ。ちょっと宣伝めいてしまうが、ぜひこれは活用してほしいものだ。
宮下社長はそういう状況の中、フランチャイズシステムのことをちゃんと勉強し、全部分かった上で問い合わせてきたり、来社される方は大歓迎だと言っている。恐らく良いことも悪いことも分かった上で来てくれる人は長い目で見た場合トラブルも少なく、努力される方だと言えるのではないだろうか。
もし、逆に、分からないままで、勉強なんかしないで来てほしいというフランチャイズ本部がいたとしたらそれはかなり怪しいと言って良いだろう。
この加盟店に関する宮下社長の発言を聞いていると仲間意識の強さを感じさせられる。加盟希望者を加盟させるのも断るのも本部。そしてそれを最終的に判断するのは代表者である社長だ。その時の判断基準に現在の加盟店オーナーの姿が映っているのは間違いない。話は、オーナーとの関係から、そのオーナーの店で働く店員、バイトの子たちへの思いへと発展していく。「運び屋になっちゃだめだ。」という言葉には、お店のマネージメントを憂う本部代表者の言葉以上に父親的気持ちも感じられたりする。
JFA常任理事として
このシリーズでは、一昨年JFA前会長の株式会社ユニバーサルホーム加藤氏にインタビューしている。宮下社長はここの常任理事を長く務めているだけにチャプター11ではJFAのことも尋ねている。
このJFAにはちょっと厳しい入会基準があるようなのだ。最初は準会員、次に年数を経ると正会員となることができるというもの。
なぜそのような基準があるのか、これは推測だが、フランチャイズ本部というのは大げさに言うと加盟店の生殺与奪権を握っているとも言って良い存在だからではないだろうか。”本部と加盟店とは対等”とはよく言われることだが現実にはそうではない。それは最近セブンイレブンの加盟店が数店集まって労働組合を結成しようととしたことからも分かる。まるで労使関係だ。
それだけに、正会員になるまでの期間に時間のフィルターをかけているのだろう。わが国にはフランチャイズ法という法律は存在しない。それ故に一部の条件をクリアすれば自分はフランチャイズ本部であると宣言することができる。つまり実に安易にフランチャイズ本部であることを名乗ることができるのである。しかし、フランチャイズ本部であるという衣をまとっているだけで、実体が伴わない本部はやがて時間というフィルターで濾され淘汰されていく。逆に言うと、ある一定の本部経営の歴史を持っていれば安心ではないが、不安の一要素を取り除いたと言えなくもない。(逆に時間が経ちすぎている本部も考えものだ。内部でリストラクチャリングが行われていない本部はフランチャイズ本部としての歴史だけを有し、その他の開発力も何も有しない幽霊本部のような存在になっている場合があるのだ。)
環境ビジネス
同社のホームページを見るとピザの宅配事業とは全く異質とも思える事業を行っていることが分かる。参入の動機や将来性について尋ねたが、それ以外にも同社はライセンス販売なども行っている。それらの様子は昨年のFCショーでも取材し、こちらもムービーとしてアップされているので興味のある方は参考にしていただきたい。
[名 称] 株式会社ストロベリーコーンズ
[英文名称] Strawberry Cones Co.,Ltd.
所在地 [本社] 〒105-0013 東京都港区浜松町2-7-16 第3小森谷ビル6F
TEL 03-3432-8215 FAX 03-3432-9615
代表取締役 宮下 雅光
資本金 100,000,000円
ホームページ http://www.strawberrycones.com/
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