ガソリンスタンドを開業する方法!フランチャイズ?無印店?費用や成功のコツも解説

フランチャイズWEBリポート編集部 |2024年07月18日 公開 (2025年04月15日 最終更新)
ガソリンスタンドの開業方法を解説!

日常生活に欠かせないガソリンスタンドは、安定収入が得られるビジネス。ガソリンスタンドはフランチャイズではなく、代理店方式での開業がほとんどです。

扱う製品の特性上、開業を目指すなら気を付けなければならないこともたくさんあります。そこで今回はガソリンスタンドの開業方法について、費用や成功のコツを交えて解説します。

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実はフランチャイズじゃない?ガソリンスタンドの仕組み

まずはガソリンスタンドの開業方式について解説します。
ガソリンスタンドはフランチャイズではなく、代理店方式での開業がほとんどです。仕組みとしては、元売りである石油メーカーから石油を仕入れ、石油メーカーに加盟している店舗が販売する「製版分離」という仕組みをとっています。同じような仕組みを持つ店舗は、携帯ショップやカーディーラーです。店舗側は、代理店本部である石油メーカーから安定的にガソリンを仕入れられる利点がありますが、売上の一部を石油メーカーに支払わなくてはなりません。

1️⃣ 石油元売り メーカー(ENEOS・出光興産など)
2️⃣ 直営店 石油元売会社からユーザーへの直接販売するお店
3️⃣ 特約店(二者店) メーカーと特約販売契約を結んで仕入れて販売している企業
4️⃣ 販売店(三者店) 特約店と契約し、特約店から仕入れて販売しているお店

ガソリンスタンドの種類には、本部が直接運営する直営店と、特約店・販売店と呼ばれる代理店があります。開業する店舗が特約店と販売店のどちらになるかは、代理店本部によって異なります。

ガソリンスタンドの初期費用・ランニングコスト

続いて、ガソリンスタンドの初期費用やランニングコストなど費用面について解説します。経営前には必ず費用について考え、余裕をもって用意しておくことで、リスクを減らすことができます。

最低でも2000万円から多くて1億円が必要

ガソリンスタンドの開業に必要な費用は明確にはわからないのが現状です。しかし、あくまで参考としてではありますが、費用の概算を出してみたものを紹介します。

建物 1000万~5000万円
※屋内型・屋外型等によって大きく異なります
タンク・ポンプ設備 500万~2000万円
ガソリン計量器(給油機) 100万~500万円/1台
管理・セキュリティシステム 100万~500万円
初期在庫費 500万〜1000万円

表からもわかるように、もっとも費用がかかるのは建物です。地域・土地の賃料等にもよりますが、ガソリンスタンドの経営には広い土地が必要になるだけでなく、地下にガソリン用のタンクを埋めるなど、大がかりな工事が必要なことから建設費用がかさみやすく、開業費が高額になりやすい傾向にあります。建物だけで最低でも1,000万円以上、設備によっては5,000万円以上かかると考えておくとよいでしょう。

よって、自力での開業を目指す場合は、最低でも2,000万円程度は必要です。加えて、土地の取得費用や運転資金などを考えると3,000万円以上、立地などによっては1億円ほどかかるケースもあります。開業したい場所によって費用が大きく異なる点にも注意しましょう。

反対に地方では、ガソリンスタンドの事業継承先を募集しているところもあります。うまく活用できれば、低コストで開業できる可能性もあるでしょう。

ランニングコスト(手数料・ロイヤリティなど)

フランチャイズや代理店に加盟・契約する場合、ランニングコストとして手数料やロイヤリティが必要です。手数料やロイヤリティは本部によって異なるので、必ず事前に確認しておきましょう。そのほか、設備の維持費なども必要になります。。ガソリンスタンドの地下タンクはメンテナンスや補修が必要になるだけでなく、ガソリン計量器にも耐用年数があります。安全な経営をするためにも、定期的なメンテナンスや補修にかかるコストは削減できません。

また、人件費もランニングコストとして発生してきますが、セルフ型店舗にすれば大幅に削減が可能です。ランニングコストを抑えたい場合はセルフ型店舗を検討してみるとよいでしょう。

ガソリンスタンド開業って儲かる?年収は?

続いて、ガソリンスタンド経営の年収について解説します。

年収300~600万円が一般的

ガソリンスタンドは利用者も多く、高収入を見込めると考えている方も多いのではないでしょうか。しかし、ガソリンの販売価格のうち、約4割はガソリン税・石油石炭税・温暖化対策税といった税金です。そこからさらに消費税や手数料、ロイヤリティ、人件費などのランニングコストがかかるため、ガソリンスタンドの利益率はそれほど高くありません。

年収は都市部か地方かにもよって変わりますが、ガソリンスタンドの年収はおよそ300~600万円が一般的とされています。そのため、事前に立地や近隣の競合などをしっかり調査しておきましょう。また、ガソリン販売以外にもカーケアメニューを導入することで売り上げを伸ばす方法もあります。

ガソリンスタンド開業の将来性

ガソリンスタンド経営を考えるのであれば、将来性についても考えておかねばなりません。
ガソリンスタンドの現状から予想されているリスクについてこちらで解説します。

ガソリンスタンドは30年で大幅に減少

じつはガソリンスタンドは30年の間に大幅に減少していることをご存じでしょうか。資源エネルギー庁の調べによると、1994年には6万件以上のガソリンスタンドが存在していましたが、2018年には3万件以上と、およそ半数にまで減少しました。 

ガソリンスタンド減少の理由には、ガソリン価格の変動にともない売上が増減しやすいことや、低燃費車の普及、経営者の高齢化による後継者不足、法律で義務化された地下タンクの修繕が高額のため、継続できないなど多くの要因が挙げられます。これらの複数の要因が重なったことで廃業を選ぶ店舗が増えていると考えられています。

さらに、大幅なガソリンスタンドの減少は人々にも影響を与えました。近隣にガソリンスタンドがない地域では、給油や冬場の灯油供給ができなくなるなど、社会問題にもなっています。資源エネルギー庁は、域内に給油所数が3カ所以下の市町村を「SS(サービスステーション)過疎地」と定義し、対策として、地方自治体が運営する公設サービスステーションが建てられるようになりました。

環境問題による影響

近年は環境問題が世界的に取り上げられるようになり、ガソリンの大手元売りは、水素燃料や新たな次世代燃料の開発に力を入れるなど、新エネルギー分野の研究開発に取り組むようになりました。また、近年はガソリンではなく電気が動力源の「EV(Electric Vehicle)車」の普及も進んでいます。今後もEV車は普及が続くと考えられており、ガソリンの需要は徐々に減少すると考えられます。

一方で、EV車が本当にエコなのか疑問視する意見もあります。EV車は走行時や製造時の二酸化炭素排出量が多いこと、内蔵されている電池を廃棄する際の環境汚染のリスク、電池に用いられる資源の問題などがあります。欧州グリーンディール政策では2035年までにガソリン車廃止を目指す方針が決定したことにより、各種自動車メーカーは電気自動車開発へ力を入れるようになりました。しかし、EV車が与える環境負荷や車体価格が高価な問題から、EV車への急速な移行は負担が大きいと判断したイギリスではガソリン車廃止を2030年から2035年まで延期することを発表しました。

EV車は今後の技術開発によって、より高性能になり、環境負荷を軽減させられると予想されているものの、イギリスのような方針転換によって、日本もガソリンやガソリン車に対する認識が変化する可能性も十分にあると考えられるでしょう。

ガソリンスタンド開業で失敗しないために

ガソリンスタンドを開業する際には失敗リスクを抑えるためのポイントがいくつかあります。こちらで紹介するポイントについてよく考えておきましょう。

油外商品で収益を確保

ガソリンの販売のみでは利益率を上げることが難しいため、ガソリン販売以外のサービスを提供することが大切です。多くのガソリンスタンドではオイル交換・タイヤ販売・洗車など油外商品の販売を強化しています。

また、車検などのカーメンテナンス、最近ニーズが高まりつつあるカーシェアやレンタカーなどの車に関連するサービスを提供することで競合と差別化し、価格競争から脱却することがポイントです。ただし、技術力が求められるサービスを提供したい場合は人材の確保についても考えておきましょう。ガソリン以外を原動力にするEV車の充電・水素車の燃料供給などを取り入れていくことも、より多くの消費者に対するアプローチにつながります。

ガソリンスタンド+〇〇の併設型で収益確保

最近ではガソリンスタンドに他業種の店舗を併設しているところも増えました。具体的には、コンビニやカフェ、コインランドリー、レンタカーなどです。ガソリンの購入以外にも併設された店舗を利用することができ、付加価値を創出できるようになります。

また、ガソリンスタンドと併設店舗で人員を共有すれば人件費を抑えて経営することも可能です。併設店は顧客単価の向上も狙えるため、他店を参考にしつつ考えてみるとよいでしょう。

リピート客を確保する施策を打つ

ガソリンスタンドはリピーターの獲得が重要です。ガソリンスタンドは地域に根づいたビジネスであり、地域の固定客を獲得することが安定した経営には欠かせません。方法として、会員限定価格を設ける、SNSを利用したキャンペーンの施策などで近隣住民が利用したいと思わせるようなサービスを導入するなどが挙げられます。地域住民に愛されるような店舗づくりを心がけましょう

ガソリンスタンドを開業する方法

開業までにはいくつかのステップを踏まなければなりません。事前に把握しておくことで、スムーズに開業が進めやすくなるでしょう。こちらでは簡単に、開業までの手順について解説します。

代理店契約で開業

代理店契約で開業する場合は、まず複数の石油元売りに資料請求し、開業費用やサポート内容を比較して契約先の企業を決めましょう。最初から1社だけで検討すると、本当に自分に合っているサービスが受けられるかがわかりません。

また、できれば本部の説明会に参加することも大切です。説明会では疑問や不安を直接相談する機会もあるので、資料を読むだけよりも多くの判断材料が得られるでしょう。企業が決まったあとは代理店開業に関する契約を締結し、店舗を取得します。ガソリンスタンドは用途地域など定められた地域でしか開業できない点に注意してください。物件が決まったあとは内装や店舗の開業申請を行ないます。

事業承継で開業

とくに地域のガソリンスタンドでは、経営者が高齢となったことで引継ぎや「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」(M&A)を希望する事業主が増えています。事業承継での開業を希望する場合は、まず募集している店舗を探さなくてはならないため、都市部以外を重点的に探すとよいでしょう。希望する店舗があれば、問い合わせをして詳しい条件や情報を聞いてみてください。

無印スタンドを開業

ガソリンスタンドのなかには安価で販売を行なう「無印スタンド」と呼ばれる店舗が存在します。無印スタンドは石油元売りの看板を掲げておらず、石油元売りが原油を加工してできた副産物のガソリンを安く仕入れて販売する仕組みの店舗です。ガソリンの品質には問題がないものの、石油元売り各社が精製したガソリンがミックスされているため、大手メーカーのガソリンと全く同じ品質ということではありません。

しかし、低価格でガソリンの仕入れ・販売ができるので、コストを抑えたい事業主と消費者には魅力的と言えるでしょう。無印スタンドを展開している企業もあるので、気になる方は問い合わせてみてください。

ガソリンスタンド開業に必要な資格

ガソリンスタンドはガソリンを扱うので、小さなミスが重大な事故につながりかねません。
安全にガソリンスタンドを経営するためにも、下記のような資格の取得を考えておきましょう。

「危険物取扱者」資格が必要

「危険物取扱者」はガソリンスタンド経営で必須の資格です。最低でも1名が「乙種危険物第4類取扱者」の資格を有していないと経営できません。そのため、基本的には有資格者を雇う、またはオーナー自身が取得することになります。乙種4類は危険物取扱者のなかでも比較的取得しやすく、数週間の勉強で取得できる難易度です。したがって、有資格者を雇う場合でもオーナー自身も取得しておくことをおすすめします

「揮発油等の品質の確保等に関する法律」に基づく手続き

ガソリンスタンドは揮発油販売所なので、経営するには経済産業省への届け出が必要です。
ガソリン以外に軽油や灯油を販売する場合は別途石油販売業の届出が必要になることもあります。提出方法については各自治体や担当省庁が案内を出しているので、参考にしてみてください。

今後のガソリンスタンドは多角化経営が肝!

ガソリンスタンドは近年、社会的要因によって大幅に店舗数が減少しました。しかし、依然として人々のライフラインであることは変わりません。ガソリンの販売のみでは今後の生き残りは難しいかもしれませんが、多角化経営によってさまざまなニーズに応えられるようになることで、顧客単価が上がり、安定した経営も可能になるでしょう。これから新しくガソリンスタンドを開業したいのであれば、多角化経営についても考えてみてはいかがでしょうか。

フランチャイズWEBリポートでは、ガソリンスタンドと併設できるさまざまな業態の店舗を掲載しています。ぜひあわせてチェックしてみてくださいね。

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